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4.関口 真奈美 センチメンタルジャーニー①

「さぁくぅらぁ〜 さぁくぅらぁ〜 やぁよぅいぃのぉそぉらぁはぁ〜」

「先輩! やめて下さい。皆見てますよ!」

 私は必死に大学の先輩でもあった近藤美也(通称:みゃあ先輩)を宥める。

「らに? わらぁしのうたがぁ上手いからぁ?」

「違いますよ。音痴だからです」

「だぁれがおんちじゃぁ〜 キャハハハ…」


 本当にこの女の大トラはタチが悪い。

 人の話を聞かない。


「よぉし! もう一軒行こう!」

「ダメですってば! 帰りましょうよぅ」


 私もお付き合いで少々飲んだが何とか正気を保っている。

 なのにみゃあ先輩は明らかに飲み過ぎてへべれけだ。


 今日は楽しみにしてる深夜アニメも無いから良いケド……。






 数時間前、仕事帰りに私は職場近くの繁華街でみゃあ(近藤美也)先輩にばったり出くわした。


「え?」

「は?」


 初めは誰だかちっとも分からなかった。

 でも…

「もしかして…マナミン?」

「みゃあ先輩?」

 そう呼びかけあえば秒で学生時代に戻る。

 学生時代の面影などほとんどないにもかかわらずお互いに相手が誰だか認識した。


「きゃあ! どうしたんですか? こんなところで…」

「会社がこの近くなのよ」


 この繁華街って不思議と旧友と会うのよねぇ……。

 近藤先輩は大学のサークルでお世話になった人だ。

 仲も割りと良かった人だったけど卒業と共に会わなくなってしまっていた。


「よし! 再会記念だ! 飲もう!」

「は?」


 かなり強引に誘われ適当な居酒屋へ

 近況等を語りつつ酒を酌み交わす。


「いゃあ…マナミンきれいになったねぇ…。学生時代とは別人じゃん」

「何言ってるんですか。みゃあ先輩こそ垢抜けてオシャレな感じになっちゃって(笑)『かっこわら』」

「(笑)ってなによ(笑)って!」

ガヤガヤとにぎやかな店内でおしゃべりがつきない。


 しかし…私は先輩の地雷を踏んでしまった。

「そう言えば…保先輩はお元気ですか?」


ダンっ!


 何故かみゃあ先輩はグラスをテーブルにたたきつける。

そして…

「フラレた!」

と、叫んだ。


 は?

『フラレた』


 誰が?

 誰に?


 え?

 まさか?


「ホンの一月前にフラレた! 若い派遣の娘が好きになったんだと!」


 あちゃ〜……

 聞いちゃダメな話題だったか……。


 そうだよなぁ…

 繁華街で一人ウロウロしてたんだから、察するべきだったか……。


「せ、先輩! 気を取り直して飲みましょ! 私、常々あの保先輩にみゃあ先輩はもったいないと思ってたんですよ」

 かなりわざとらしく取りつくろってビール瓶を持ち上げた。

「ありがとう。お世辞でも嬉しいよー」

 そこからは思い出話とフラレた相手である保先輩の悪口とフラレてしまった嘆きと……

 ぐちゃぐちゃ言い合いながら二人で飲みまくったのだ。

 まぁ…主に飲んでいたのはみゃあ先輩で私はお酌してただけなんだけど……。


 ははは……

 完全に飲ませ過ぎた……。


 気がつけばみゃあ先輩は完全に潰れてるし、お酒もつまみもほぼ無い。


 ははは……

 笑うしかない……。


 …で、だ。

 いい加減帰らないと…と、思い店を出てから気がついた。

 私、みゃあ先輩の家知らない……。

 どうしよう……。


「先輩。歩けます? 帰りますよ」

「やら! もっろ飲む!」


 ダメだ。足元もおぼつかない。

「帰りましょ。明日仕事じゃないんですか?」

「しごろ(仕事)〜? 休むぅ〜」

「ダメですって!」


 あぁ……

 どっかで酔い覚まさないと……

 無理なら最悪私の部屋まで運ばないと……


 そう思いなんとか私の家の最寄り駅まで連れてきた。

 幸い、まだ夜の10時ぐらいだ。

 漫喫も24時間営業のファミレスも開いている。

 電車もまだ走ってる。


「……ん…? 何じゃここ? 駅?」


 みゃあ先輩が見上げているのは特急列車停車駅のような居酒屋「旅が好き〜列車居酒屋〜」。

 

「駅じゃないです。居酒屋さんです」

「居酒屋〜。よぉし! 突撃じゃあ〜」


 あれよあれよと思う間もなく、みゃあ先輩は店の中に入って行ってしまった。


「ちょっとちょっと先輩! ダメですって!」

 私は慌てて後を追う。

 案の定、席を決める券売機もどきの前で立ち往生している…と、思いきや……


「切符買えたよ〜。マナミンの分も有るよ〜」


 ああぁ……

 遅かったか……

 みゃあ先輩は乗車券を2枚掲げて嬉しそうに笑っている。


 仕方ない…

 付き合おう……

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