R15【結婚初夜編】乙女ゲームの悪役令嬢に転生したが、ヒロインを溺愛する王子に殺されそうになっていて、必死に逃げているところを一番の推しの近衛騎士に助けられた
「今夜は結婚初夜」
ということは、今夜、私達は始めて一緒のベッドで……
ドクン、ドクン!
あまりにも緊張し過ぎて、静かな部屋に音が鳴り響いているのではないかと思うほど、私の心臓は大きく鼓動していた。
リアルな恋愛から逃げるように乙女ゲームにハマって五年プラスこの世界で二年。
当然、そういう行為ができるようになる年齢になってからも一度も経験はない。
うまくできるはずがない。
これはラムドに正直に言うべきだよね。
カチャ!
ラムドがバスローブを身にまとい、浴室から出てきた。
ぐはっ!
半裸のラムドの姿を見ただけで、鼻血が出そうになる。
これは、無理ゲーじゃない?
最後まで心と身体がもつ気がしない。
「だ、大丈夫ですか?! カリア!!」
私がフラフラしている様子を見て、ラムドが身体を支えてくれた。
「い、いえ、あまりにもラムドが魅力的過ぎて、よろめいてしまいました」
「なっ?! そんな堂々と言われると、こっちが恥ずかしくなってしまいます」
ラムドが照れている。
「実は、先に言っておかないといけないことがあるのですが……」
「ま、まさか、今夜は難しいという話ですか?!」
普段は落ち着いているラムドが珍しく焦っている。
「ち、違います! 私、こういう行為をするのは初めてなんです。ですから、きっと、ラムドをがっかりさせてしまうと思ったので、先に伝えておかないとと思ったんです」
「は、初めて……」
「あ、やっぱり変ですよね。この年まで経験がないなんて」
「いえ、俺も初めてなので。むしろ、カリアの初めての人になれると思うと嬉しく思いました」
「……ラムドも初めてなの?」
私がラムドの初めての人?
それは嬉しい。
嬉し過ぎる。
「はい、ですから初めて同士、少しずつ経験を重ねて、一緒に仲を深めていきませんか?」
「はい、私もそうしていきたいです」
そう言いながら、私達は微笑した。
お互いの緊張をほぐすため、私達は一緒にベッドに入った後、これまでの二年間を振り返りながらピロトークをした。
「色々とあったけど、ラムドがいなかったら、私はあの時、王子に殺されていたんだよね」
「それは、俺も同じです。あの時、カリアが俺をかばってくれなかったら、王子に殺されていました」
そう言いながら、私達はお互いの目を見つめ合った。
そして、心が一つになった感覚から惹かれ合うように顔と顔の距離を縮め、私達は口づけを交わした。
何も分からない中、お互いの身体に優しく触れ合っていると、徐々に身体が火照ってきて……
「カリア、俺は君のことを心から愛しています」
「ラムド、私もあなたのことを心から愛しています」
そう告白し合いながら、私達は肌と肌を重ねた。
……温かい……
私以上に大切な人と一つになるって、こんなにも心と身体が満たされるものなんだ……
初めての体験だったが、私は全てが満たされているような、そんな幸せな気持ちに包まれていた。
大好きだった推しのラムドとこんな風になれる日が来るなんて、当時は夢にも思わなかった。
「ありがとう、ラムド」
行為を終えて、隣で寝息をたてているラムドを見つめながら、感謝の気持ちを込めて私はそう呟いた。
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『悪役にされた天然系の令嬢は王都を追放された後も心優しい伯爵の息子達から愛されました』
というタイトルで連載小説を書き始めましたので、興味のある方は、そちらも読んでいただけると幸いです。