茜空
少し仕事が早く終わった帰り道。
いつもは真っ暗な道を慌てて家へ向かうので、実は下ばかり見ていた事に気づく。
ふと立ち止まり久しぶりに空を見上げた…。
まだほんのり明るいけれどこれから夜に向かってゆく茜に染まった空を見上げてその美しさに言葉を失った。
あぁ。この世界はなんて綺麗なんだろうか。
心が洗われるようだと思った。
貴方の顔が浮かんだ。
「…会いたいな。」
小さく漏れていた自分の声に胸がドキリと跳ねる。
やっぱり好きなんだな…と実感する。
こんなにも綺麗な空を貴方と見られないなんて。
いつか二人で並んで歩きながらこんな空を見上げてみたい。
そんな日が来るのかな?
たぶん…きっと…
『…貴方が運命の人ならいいのにな。』
なんて柄にもなくそんな事を願ってしまう程、綺麗な空だった。
さぁ、帰ろう。
きっと明日も晴れるから。