表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名探偵を丸裸! シャーロック・ホームズ大事典  作者: 髙橋朔也 編著
ホームズの概要
8/53

報酬にこだわりがあるホームズ

【報酬にこだわりがあるホームズ】

 平賀(ひらが)三郎(さぶろう)さんの編著(へんちょ)『ホームズおもしろ事典』という、シリーズ第三弾のホームズについての事典があります。


 この本にホームズについての面白いことが書かれていたので引用しましょう。


『《まだらの紐》で、ホームズは依頼人のヘレン・ストーナーに対して、「私には仕事そのものが報酬なのです。けっしてご心配には及びません。ただご都合のよいとき、かかった実費だけを支弁していただければ結構です」と言っている。しかし、仕事そのものが報酬というスタンスで仕事をするためにはその裏付けが必要で、お金持ちの依頼人から高額の報酬を取らなければならなかった。ホームズは依頼人の持ち物などから相手がどのくらいの収入があるかを見抜くことに長けていたようである。

《ボヘミアの醜聞》で、ホームズは「ウム、りっぱな四輪馬車だ。馬もいい。一頭百五十ギニーはする。ワトスン君、この事件は、たとえ内容がどんなにつまらないにしても、金の関係だけは、話が大きいぜ、きっと」と言っている。ホームズは依頼人がボヘミア国王であることを即座に見破り、白紙委任状を渡され、当座の費用として金貨で300ポンド、紙幣で700ポンドを受け取った。

《黄いろい顔》で、ホームズは、依頼人のグラントマンローが忘れていったパイプを見て、7シリング6ペンスくらいと高級なパイプの値段を見きわめ、手のひらに吸いさしを少し叩き出してみせ、「こいつは1オンス8ペンスのグロブナ・ミクスチュアだよ」「半分の 4ペンスでもかなりのタバコがあるんだから、経済に心をくばる必要のない男だというのさ」と言った。後でグラントマンローが「私はホップ商人ですが、七、八百ポンドになりますので、相当気楽な生活ができます」と言って、自分はホームズに対して十分な報酬を払えるとほのめかした。マンローにとって、年80ポンドで小ぎれいな別荘風の家を借りることなど造作もないことだった。』


 これはホームズが報酬にこだわりがあったことを示しています。


 『ホームズが妥当な報酬額を遠慮なく請求できた依頼人は、前述の7、800ポンドの年収のあるホップ商の上層中流階級あたり以上からではないかと推測される。』ともあり、ホームズの優しさ(?)のようなことが感じられます。


 また、どのくらいの収入があるかを登場人物別にまとめた表があります。


 モラン大佐は年に6000ポンド、兼務の外務大臣は年に5000ポンド、医師は年に300~1200ポンド、ホップ商は年に700~800ポンド、教授は年に700ポンド、マイクロフトは年に450ポンド、ワトスンは年に210ポンド、株式仲買店員は年に200ポンド、名役者は週に10ポンド、一流水力技師は一晩50ギニー、夕刊新聞記者は週に2ポンド、女家庭教師は年に48~50ポンド、ベーカー街不正規連隊は日に1シリングなどが表にされていました。


 ちなみに当時、まともな階級の女性が働かないのが常で、一家の財産が底をついたりして働くことを余儀なくされたその女性達は、家庭教師をしていました。というのも、体面を保てたのが家庭教師くらいだからです。


 マイクロフトは(した)()の役人ですが、ホームズよりも優れた頭脳を持っているので、政府の知恵袋的な存在で、政府そのものとホームズも言っています。




【ホームズ時代の貨幣(かへい)価値】

 また、ポンドなどの単位が今の日本円で何円なのか、ということについても『ホームズおもしろ事典』で触れられていますが、2011年の日本円の単位なので古いです。新しく私が本頁で計算し直します。


 ホームズらが活躍(かつやく)した19世紀後半から1914年8月は『金1オンス(31.1035グラム)=3ポンド17シリング10.5ペンス』の交換比率が一度も変更されていないようです。


 当時、金1グラムは『934.5ペンス÷31.1035グラム』を計算して『30.044850258009ペンス』となります。


 2021年4月9日9時30分時点で、田中貴金属工業での1グラムの金買い取り価格が税抜きで6716円です。


 当時の1ペンスを計算すると『6716(円)÷30.044850258009(ペンス)』で、現在の日本円だと『223.53248368111円』、つまり『約223.53円』となります。



1ペンス=223.53円


1シリング=2千682.36円


1ポンド=5万3千647.2円


1ギニー=5万6千329.56円



 ホームズ時代のお金の単位は、現在の日本円に直すと上記のようになります。ということは、モラン大佐は年収約3億1千8百万円となります。半端(はんぱ)ないですね。


 ちなみに、『ホームズおもしろ事典』での計算だと、2011年3月10日時点では下のようなお金の単位になります。



1ペンス=126.4円


1シリング=1千516.8円


1ポンド=3万336円


1ギニー=3万1千852.8円



 上記のように、2011年と2021年だと価値が変わります。また、『名探偵シャーロック・ホームズ事典』でも、これについて触れています。


 パンやホテルの部屋代から割り出したようで、2012年時点で1ポンドが2万4千円程度、1シリングが1千200円程度、1ペンスが100円程度と書かれています。




【注意】

 本頁ではわかりやすくするために『ペンス』のみを使っていましたが、ペンスの複数形は『ペニー』となります。それを間違えないように、気をつけてください。

 計算したのが2021年4月10日なので、金の価格が多少異なると思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ