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名探偵を丸裸! シャーロック・ホームズ大事典  作者: 髙橋朔也 編著
ヴィクトリア朝イギリス
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ホームズ像

 世界には、屋外に建設されたホームズの像が四つもあります。その内、スイスと日本に一つずつで、イギリスには二つの像が建設されています。

 イギリスの二つのホームズ像は、それぞれベーカー街とエディンバラに、スイスのホームズ像はマイリンゲンに、日本のホームズ像は軽井沢にあります。



【マイリンゲンのホームズ像】

 スイスにあるライヘンバッハの滝で、一時はホームズが最期を(むか)えました。1987年に、そのライヘンバッハの滝があるマイリンゲン村で、短編『最後の事件』にちなんだ行事が行われました。

 その行事は十九世紀の衣装を着るのが必須(ひっす)条件の仮装ツアーで、ホームズがモリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝へ落ちたと思われていた五月四日の前後に行われ、ホームズとワトスンの足跡(そくせき)辿(たど)るもののようです。

 それからマイリンゲンではホームズにちなんだ村(おこ)しや観光開発が進められ、ホテル・ソバージュがホームズの泊まった英国旅館として認定されます。その後、教会を改修してホームズの博物館まで作られました。そのホームズ博物館の辺りはコナン・ドイル・プレースと命名され、世界で初めてとなるホームズ像が建設されました。

 そのホームズ像は鹿撃ち帽にインバネスコートという姿に、腕を組んで左手にパイプを持って、台座を兼ねている大きな石の上に両足を力強く開いて腰を下ろしています。その台座にはホームズ像の横に座れるスペースがあり、ホームズ像で唯一(ゆいいつ)肩を合わせて座っての記念撮影が出来ます。シャーロキアンとしては、この記念撮影が興奮(こうふん)しますね!

 マイリンゲンのホームズ像の後ろには改修されたホームズ博物館があり、ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と決闘(けっとう)した際にホームズが残していったステッキが展示されています。

 このホームズ像ですが、記念撮影以外にもシャーロキアンには嬉しい仕掛けがあります。なんとホームズ像の体中に、事件に関係のあるイラストが隠されています。例えば、鹿撃ち帽のつばの部分には蛇のイラストがあり、これは短編『まだらの紐』で凶器として使われた沼毒蛇でしょう。



【軽井沢のホームズ像】

 日本で初めて正典六十編を完訳した延原謙が百万円で軽井沢に別荘を構えて『ホームズ庵』の表札を(かか)げた縁で、松下了平さんらがホームズ像の建設を提唱してシャーロック・ホームズ・クラブの会員や軽井沢ゆかりの作家が資金を(つの)って、1988年に軽井沢の追分(おいわけ)に世界で二番目となるホームズ像が建設されました。

 軽井沢の開発にはイギリス人の影響が大きいようです。カナダ生まれのイギリス人宣教師ショーが、友人である東京大学講師のイギリス人ディクスンとともに軽井沢で避暑(ひしょ)生活を楽しんだことが切っ掛けで、旧中山道の衰退(すいたい)によって(さび)れていた軽井沢が避暑地・別荘地として再出発しました。

 1887年には東京大学の(やと)われ教授である地質学者ミルンがイギリスにはない活火山である浅間山を登り、その素晴らしさを報告した結果、浅間や軽井沢が有名になりました。

 軽井沢のホームズ像の服装は鹿撃ち帽にインバネスコートで右手にパイプを持ち、真っ直ぐ前を向いています。顔立ちは日本人風で、イギリス人には見えません。



【エディンバラのホームズ像】

 エディンバラのホームズ像は、エディンバラの中央駅であるウエバリー駅から東北方向に徒歩で約六分から七分の場所にある原作者コナン・ドイルが生まれたピアディ・プレース十一番地の家の前に建っています。

 建設は1991年で、世界にある四つのホームズ像の中で三番目に作られたものです。服装は鹿撃ち帽にインバネスコートで、顔立ちや下を向いて立っているポーズはシャーロキアンには好評のようです。



【ベーカー街のホームズ像】

 ベーカー街のホームズ像は世界にある四つのホームズ像の中で最後に建てられたもので、ホームズが住んでいた場所での建設が一番遅かったようです。

 建設は1999年で、アビ・ナショナル社がスポンサーとなりました。

 建てられた場所は、南北に通じるベーカー街と東西に通じるマリルボーン大通りの交差点の東北側であり、地下鉄ベーカー街駅のビルの南の出口をマリルボーンの通りに出たところです。

 服装などは、インバネスコートと鹿撃ち帽にパイプを手にする人々のイメージのものです。長身で立った状態の像なので、非常に目立っています。

 ベーカー街に建てられたホームズ像ですが、シャーロック・ホームズ博物館は建設に一切関わっていません。それなのにホームズ像の近くで博物館への客引きをしており、客引きする者の服装は像を真似たものになっています。

 今日で『ヴィクトリア朝イギリス』の章が終わり、明日から『ホームズ関連エッセイ』の章に入ります。明日は『「踊る人形」におけるホームズのミスについての考察』を投稿します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど。切り裂きジャックの正体がジョーンズ警部でスコットランドヤードが事実を隠そうとしたという説は面白いですね。 確かドイル自身は切り裂きジャックは女装した女だと語っていたらしいと、どこ…
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