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名探偵を丸裸! シャーロック・ホームズ大事典  作者: 髙橋朔也 編著
ホームズの概要
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ホームズの外見・内面

【外見】

 ホームズの身長は6フィート(約183センチメートル)と長身ですが、()せているために外見は6フィート以上に見えます。


 髪や眉毛(まゆげ)は黒色で(この点には、日本人なら親近(しんきん)感がありますね)、目は灰色で眼光(がんこう)(するど)く、鼻筋が通り盛り上がっており、(あご)(かく)()っています。


 ホームズを生み出したドイルは、インディアンのような容姿(ようし)を考えていたようです。


 ドイルはシドニー・パジェットの絵を『この絵は私の描くホームズそのものだ』と言ったと伝えられているので、ドイルの考えるホームズの外見はパジェットの絵のようなのでしょう。


挿絵(By みてみん)


 上の絵はパジェットが描いたホームズを私が描いたものです。


 パジェットが描くホームズの絵を載せたいのですが、著作権とかがややこしいので私の絵で我慢(がまん)してください! パジェットの絵が見たかったら、インターネットで調べてみましょう。簡単に見れますよ。




【内面】

 性格は冷静沈着で、インドア派のような安楽椅子探偵ではなく、事件解決のために現場に向かいます。


 拳銃やヴァイオリン、女性の(あつか)いに()け、ボクシングはプロ級。日本武術である『バリツ(架空武術。バリツは柔術のことではないかという説が有力。ただ、現在ではバリツ=バーティツ説も有力になっています。正体については後述)』を心得ています。


 力が強く、ホームズはロイロット博士が曲げた火かき棒を腕力だけで真っ直ぐにしました。


 進士順一さんなどは火かき棒を曲げるより元に戻す方がさらに強い腕力が必要だと指摘しているので、ホームズはロイロット博士より腕力が上ということです。


 拳銃の扱いに関しては、ホームズはベーカー街221Bの部屋の壁に向けて拳銃を発砲し、ヴィクトリア女王の略号である『V.R.』の文字を刻んでいます(ホームズの部屋を再現する際には、このポイントが重要になってくるようです)。


 このことから、拳銃を上手(じょうず)に扱えることがわかります。


 女性の扱いはうまいですが別にタラシではなく、女性の気持ちを掴むのが上手です。


 短編『犯人は二人』では、事件解決のために配管工になりすまし、エスコットという偽名を使って短期間(数日)でミルヴァートン家のメイドであるアガサと婚約もしています。


 女性との付き合いは避けるものの、短編『ボヘミアの醜聞(しゅうぶん)』ではアイリーン・アドラーという女性だけは認めました。


 これ以後、ホームズは女性を馬鹿にしなくなり、ホームズはアドラーのことを『あの女性(ひと)』と呼ぶようになりました。


 しかしアドラーのことを本当に『あの女性』と呼んでいるのか、これが疑わしい。短編『花婿失踪事件』にてホームズが冒頭で『アイリーン・アドラーの写真事件』と言っているからです。


 これについては、ワトスンが『ボヘミアの醜聞』で(おお)袈裟(げさ)に書いたのではないかと言われています。


 また、短編『ライオンのたてがみ』ではモード・ベラミー(じょう)という女性に不覚にも()かれてしまっています。


 嗅覚(きゅうかく)も優れていて、七十五種類程度の香水の香りを()ぎ分けられています。


 聴覚(ちょうかく)も優れていました。短編『唇の捩れた男』にて、ホームズは自分自身で耳が良いと言っています。


 また、関東のシャーロキアンである田中(たなか)喜芳(きよし)さんの実験結果に(もと)づいても、ホームズの耳が良いことがわかります。


 どういうことか、くわしく説明します。短編『赤髪(あかげ)組合』では、ホームズはステッキで石で(たた)んだ道路を叩き、その音を聞いて地下のトンネルの有無(うむ)を見抜きました。


 地下にトンネルがあれば音が変わるのは誰でもわかりますが、前述の田中さんの実験では『ある程度トンネルが深い位置にあると、敷石(しきいし)をステッキで叩いたくらいでは音は変わらずトンネルの有無もわからない』ようで、これに基づくとホームズの聴覚は優れていたことになります。


 長編『緋色の研究』で、ワトスンはホームズの能力を一覧表にしています。まずは下に引用します。



一、文学の知識──ゼロ。

二、哲学の知識──ゼロ。

三、天文学の知識──ゼロ。

四、政治上の知識──微量。

五、植物学の知識──不定。ベラドンナ、阿片(あへん)、そ

          の他一般毒物にはくわしい

          が、園芸に関してはまったく

          無知。

六、地質学の知識──限られてはいるが、きわめて

          実用的。一見して各種の土壌(どじょう)

          を識別。散歩後ズボンの跳泥(はね)

          を小生(しょうせい)に示して、その色と

          粘度(ねんど)によりロンドン市内のど

          の方面で付いたものかを指摘

          したことあり。

七、化学の知識──深遠(しんえん)

八、解剖学の知識──精確ではあるが組織的ではな

          い。

九、通俗文学の知識──該博(がいはく)。今世紀に起きた恐る

           べき犯罪はすべて詳細に知

           っている。

十、ヴァイオリンを(たく)みに(そう)す。

十一、棒術、拳闘(けんとう)および剣術の達人。

十二、イギリス法律の実用的知識深い。



 しかし、上記のホームズ能力一覧表にはワトスンの間違いがあります。


 文学の知識については、実際にゼロではないです。ホームズは何回かシェイクスピアから引用していますし、短編『ボスコム谷の惨劇(さんげき)』では現場に向かうために乗った電車で『ポケット版ペトラルカ詩集』を読んでいます。


 ホームズは短編『ギリシャ語通訳』で『黄道(こうどう)傾斜(けいしゃ)角度の変化』の知識を披露していて、天文学の知識もゼロではないです。


 また、ホームズの癖は作中でかなり語られています。その代表格が、麻薬でしょう。当時は合法ですが、ホームズが麻薬中毒だったことは有名です。


 コカインの7パーセント溶液を皮下注射して刺激を求めています。なお、難事件が舞い込んだ時は推理が刺激になるので麻薬を注射していません。


 長編『四つの署名』でワトスンはホームズに、今日注射するのはコカインかモルヒネか尋ねる描写があります。


 しかしホームズがモルヒネを注射する描写はありませんので、コカインを注射するホームズに言った、ワトスンの皮肉だと考えられています。


 紙巻き煙草も吸ったりはしましたが、基本的にはパイプを愛用していました。また、推理に詰まるとパイプをガリガリと噛むという癖があります。


 ホームズはパイプを吸う時間が短く、なぜ短いのかは『正典の謎』の章の『「赤髪組合」の謎』で後述。


 依頼人の話しを聞いたりする時は、両手の指先をくっ付けます。


 ホームズは捜査に直接関係のないような論文を多数執筆しています。ホームズの書いた論文の内容については『ホームズの論文』の章で、数個ほど説明します。


 ホームズは他人と会うと、相手の職業を推理で見抜くという癖があります。それは論文『生命の書』でホームズ自身が述べています。


 ホームズの推理法については『ホームズの論文』の章の『番外編 探偵学大全』と、次頁の『ホームズの捜査方法』で後述。


 誕生日は1月6日とする説が有力で、理由については『ホームズの概要』の章の『ホームズの誕生日』で後述します。

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