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39.ダンジョン『龍の息吹』ー四龍ー


 眼前の龍の四つ首は先ほど自らが殺した炎龍、雷龍、氷龍、樹龍に間違いなかった。




 先ほどと違う点は二つ。




 一つは四つ首が透き通るような蒼い一つの胴体から生えているということ。




 もう一つは四つ首の龍から放たれる威圧感が先ほどとは比べ物にならないほど凄まじいものであることだ。




「四つ首の龍、名前を付けるなら『四龍(クアトロ・ドラゴン)』ってとこか」




 冷や汗を流しながらギルハートが眼前の龍を見て言葉を漏らす。




 物静かなダンジョンが龍の威圧感で震えているように感じる。また少し空気の密度も下がったかのようにも思える。それくらい眼前の龍は異形で異常な存在であった。




 しばらく睨みあう両者であったが、やがて龍がまるで欠伸でもするように四つの口を大きく開いた。




 あまりに自然な動作だったため、ギルハートも一瞬動作が遅れるがすぐさまそれがブレスを吐く動作だということに気づく。




「【四重身体強化クアドラブル・エンチャント両脚(レッグス)―】」




 強化した両足ですぐさまその場から大きく跳躍する。それとほぼ同時に火、水、雷、木属性のブレスがギルハートのいた場所に底の見えない深い空洞を作り上げていた。




「出し惜しみはなしだ【五重身体強化クインテット・エンチャント左腕(レフトアーム)―】」




 四龍(クアトロ・ドラゴン)の眼前に着地したギルハートの左腕が先ほどと同様に白く輝く。




 それを水平に龍の胴体に叩き込む。四匹の龍の首を簡単に刈り取った一撃。それが龍の蒼い胴に白が混じり、激しい閃光を放つ。




 そしてその一刀両断を試みた一撃は龍の胴体に数センチ減り込んだところでその動きを止めた。




「嘘だろ。どんな硬度をしてやがるんだ!?」




 その時、龍の半透明の身体が紫電に光った。




「雷龍の電撃を体内で発生させたのか!」




 感電する前にその場から一足飛びで大きく後退し、龍との距離を置く。




 五重身体強化の反動で左腕の腱が切れる。




「おいおい、この化け物相手に両腕使わずに戦うとかどんだけドMなんだよ俺」




 頬に一筋冷たい汗を流しながら思わずそう呟くのだった。


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