21.親睦会ー前編ー
カレンの発言に俺とシャクスとユミルが目を合わせて固まる。一葉はハハハと困ったように笑ってる。
「ちょっといつまで私の手を握ってるのよ。早く離してくれない? それともあなたレズなの? 確かに見た目だけはキレイだけどなんか男っぽいし、悪いけど私にそっちの気はないの」
流石にコミュ力が低いと言われた俺でもわかる。これはどう考えても友好的関係を結ぶ気持ちは全くと言っていいほどないだろう。
どうしていいかわからず一葉の方を見ると
「ははは、カレンは名門の侯爵家『ベリアル』の出だから少しお堅いところがあるんだ。私の実家とベリアル家は昔から家同士の付き合いがあるのだが、初めて会った時は私にもそんな態度だったよ。でもデレたら可愛いから許してやってくれ」
そ、そうなのか。そういうものなのか。やはり前世、今世共にあまり多くの人間に関わってこなかったから性格のサンプルがないのだが、まあ誰に対してもそういう態度というなら納得できなくもない……のか?
「一葉意味わかんないこと言わないで。私が無能職相手と仲良くなるわけないでしょ。シャクス様がいなければ一緒のパーティーになるなんて考えられないくらいよ。それと早く手を放しなさいよね」
いや、やっぱこれ俺のことを目の敵にしてるだろ。絶対に俺のこと嫌いだろ。色々言ってやりたい気持ちになるがここでパーティー結成の機会を逃したらオクト亡き今、再度パーティーを結成することは困難を極めてしまう。
俺はなんとか自分を落ち着け、握っていたカレンの小さい手から自分の手を離した。
「ふんッ!」
すると鼻から息を吐き、あからさまに俺からツンッ目を逸らす。
「ちょっとカレンちゃん!……」
「そうだ!!今日この後みんなでお茶にいかないか!!王宮で話題になっている店があるんだ!!!ぜひみんなで親睦を深めようじゃないか!!!」
ムッとした表情で何かユミルが言おうとした瞬間にシャクスが焦ったように凄い勢いで言葉を並べる。
そういえばこいつがこんなに焦ってる姿は初めて見るな。
「王宮御用達の茶屋とは私も興味あるな。そこには甘いお茶はあるのだろうか。カレンは甘いお茶が好物なんだ」
「ちょっと一葉。私はそんなお子様じゃないわよ。私は甘いお茶よりもビターなコーヒーの方が好きなくらいよ」
「いや、カレン。お主は苦いモノは全般的に苦手じゃないか」
一葉がやれやれといったように発した言葉にカレンが何か言い返そうとしたタイミングでシャクスが口を挟む
「もちろん。上質のミルクティーもあるしブラックコーヒーも一級品だ。味の質は僕が保証しよう」
「でも、ギルちゃんと仲良くない人とは私……」
「さらに!! この店で出す苺のショートケーキは赤い宝玉とまで呼ばれるソロモン屈指の苺にフワフワのまるで雲のようなスポンジケーキと雪のようなくちどけの生クリームが完全な調和を果たしている超人気の逸品だ。本来ならば入店するのにも一苦労なのだがこの店は王宮ご用達の店だから融通がきく。今日は特別に人数分手配しよう」
「「王宮ご用達のふわふわ苺のショートケーキ!」」
ユミルとカレンが同時に一言一句違わず同じ言葉を発し、両者ともにだらしなく緩んだ表情をみせる。
「シャクス様からのお誘いとあれば断らないわけがないわ」
「お茶とケーキくらいなら私も良いと思う」
両者ともにケーキなんかに興味がないような口ぶりだがその目元はにやけている。
「それで一葉さんとギルハートさんも良いかな?」
「うむ。私は何も問題ないぞ」
「俺もユミルがいくなら別に構わない」
「よしっそれじゃあ決まりだ。放課後はパーティーの交流を深めよう。ダンジョンに潜る際に連携は必須だからな」
そう言って両手を叩き場を締める。
それぞれが自席に戻る中、シャクスが小声で「こんなに疲れたのは久々だ」と力なく漏らしていたのを聞き、やはり友達を作るというのは相当難易度の高いことなのだと再認識した。
ブックマークいただきありがとうございます。また少し書く気力が湧いてきました。




