1-3 金色の妖精アウルム、爆誕!
残心を忘れるのは良くない事です。
でもだからと言ってチュートリアルでそれを要求するのも酷だよね~
そんなレナたちに襲いかかるトラブルとは何でしょうか?
本編をどうぞ~
ルナとの共鳴がゆっくり薄くなっていく。一体化した意識が分かれていくのを感じながら加速された思考が落ち着いて行く。
一体化が解除されたらいつの間にか、私は精神的な空間(?)にいた。何もない空間だが、私が想像したせいか、スクリーンの様なものがルナの視界を映し出している。
精神空間の中にはデフォルメされたルナの分身(?)も居る。三等身でかわいい!
《つっかれた~~~~~~~~》
《ヘトヘト》
おお!喋った!それになんだかリアルのルナと違って表情豊か!
これってルナの魂とかかな?
《それにしても危なかったよ~まさか初戦であんな奴とやり合う羽目になるなんてさ~》
《ん、強かった》
《これでもう何も起きなかったらいいな~》
《休みたい》
《いや~私はシンクロが解除されたら肉体的な疲れが殆ど感じなくなったからどちらかというとゆったりし、た、って何これやばくない!?》
いつの間にか黒いモヤが私達に纏い付いた。リアルのルナの体にも、そして精神空間にも
それにこの感じ、もしかして呪い?
〖他殺を条件に発動する呪術です。殺した相手に対して死の呪いを発動するものですね。
因みに三人共掛けてあったので、呪いがかぶって効果が漏れ出ています。
勇者様は耐性がありますので暫くは無事ですので、まずは落ち着いてください。〗
いつの間にか精神空間の中にSFチックの投影画面が現れた!これってシステムさん?でもスクリーンに写っているのはSFチックの変化し続ける図形と字幕だけだ。残念
ってッそれよりも!
《ちょちょちょっこの世界ってこういうのもあり?戦争が呪い合戦とか?物騒すぎない?》
〖いえ、こういう呪いは成功失敗問わずとても高いコストを支払って丸一日ぐらいの儀式をして発動します。しかもハイレベルの術者でもたった一時間しか効果が持ちませんので非実用的です。それに効果は死者を贄にしていますので、死者の力に依存しますので、一般兵士とかに掛けても意味ありません。今回の様な高レベルの者が死地へ向うシチュエーションぐらいしか使えません。その代りもしも成功した場合、コストの数倍の効果があります。ハイエルフを殺したらハイエルフが数分で死ぬ呪いが、超越者を殺したら超越者が数分で死ぬ呪いが降りるので、ハイリスクハイリターンです。
ハイエルフと上位のエルフ二人を贄にしたこの呪いを無防備に受けてこんなにピンピンして居られるのは本来、超越者ぐらいですが、勇者様は肉体と魂の両方に耐性がありますのでこのままだと数十年後ようやく実害を受けるでしょう。
ですが呪いが重ねたせいで効果が漏れ出しています。余波の影響を受けた周りの人達は耐性がありませんので無事とは行きません。このままだと後遺症が残るレベルまで数分しかありません〗
《どうしたらいい?》《どうにかする方法がないのか?》
〖自分で考えたらどうです?〗
《《教えて(くだいさい)!》》
〖はぁ、もういいです。制御してみては如何ですか?〗
《《制御?》》
〖はい。残っている呪いを制御し、その力を他の事に消耗することで影響を無くせます。因みに、呪いに親和性が高いレナ様が行うことをおすすめします〗
《……一応聞くけれど、失敗したら?》
〖寿命が減ります〗
《どのぐらい?》
〖失敗の仕方によって異なりますが、数秒から数日です〗
なんだよ~寿命が減ると聞いてちょっとびびったけれど、たったその程度なら誤差じゃん!これなら気軽に失敗してもいいから試行錯誤しよう!
《それじゃあ、直ぐにやろっか!こんな呪い一瞬で制御してやるわ!》
《お願い》
ルナの応援を感じながら私は意識を呪いへ向ける。やり方とかは知らないが、何となく直感的にどうしたらいいのかが分かる。
ルナと共鳴する時と同じ感じに呪いとシンクロする。呪われた子達、アウルムと似た感じがするが、この呪いはアウルムとは比べられないほど弱い。
シンクロによって感じる強い(?)殺意を一瞬で押さえつけ、私は本当にあっさりと呪いの力を制御した。
〖本当に一瞬でしたね、お見事です。〗
《それで、消費するってどうやるの?》
〖空へ放つだけでいいです〗
《簡単だな、それじゃあ》
〖ですが〗
《ですが?》
〖それはかなり勿体無いことです。制御した以上、残っている力を利用して術式を発動する事もできます〗
《でも今使い道なんて》
〖あります。ハイエルフの生贄でしたらレナ様がアウルムと名付けたあの精霊を召喚できます〗
《生贄ってもう死んでいるでしょう?それに精霊って?》
〖はい。この呪いは原理上、死んだ者を生贄に相手を呪うので、力の性質は生贄で合っています。それを制御したらその力をそのまま得られますので、生贄の代わりとして使えます。
それと個体アウルムは定義上、精霊です。具体的な定義は後でご自分で調べてください〗
《ええ、と、どうやって召喚するの?》
〖さあ?〗
《さあ?って勿体ぶらないでよ~》
〖一応、私は貴方達を観察するために存在する人格です。なので一般的に認識された方法はともかく、まだ一般的ではない技術などを伝えるわけには行きません〗
《つまり自分で試せってこと?》
〖そうなります〗
《じゃあ、一般的な召喚はどうやるの?》
〖契約したことのない相手を召喚するには複雑な手順を踏む必要があります。そして契約したことのある相手でしたら契約時決まった召喚方法を行います〗
《……》
それ、言っていないのと同じじゃん!
《ああ、もう!こうなったら中二病の力を見せてやる!》
《おお!》
ちょっとルナ?どうして期待マックスで応援してくるの?三等身の霊体の目が文字通りキラキラと光っているけれど貴方、もしかして中二病?あ、そういえばルナってまだ七歳だったね
ううう~~期待が重いよ~~
《呪われし子供達よ、ええっと、その、生贄を捧げて?る?ううぅぅ…と、兎に角来て!アウルム!》
詠唱なんて考えたこともないわ!中二病は中二病でも私は痛いセリフなんて知らない中二病だから!精々中二病でラテン語とかを齧った程度だから!
ジトッと私を呆れたように見るルナなんて知らないもん!
それにほら!リアルではなんだかちょっとだけ空間(?)にひびが入ったでしょう?
せんせい~これをこじ開いたらいいでしょう?私、知ってます!
無理矢理呪いの力でひびを塞いで拡げる
《むうう~~お~も~い~~~~~》
これって地味に難しくない?でも負けないから!
そして数分後ーー
意外にも覚醒してからやっている事の中で一番時間がかかったが、パキりと言う声が響いた
《あ、開いた》
声が聞こえた後、大きなひびがあっさりと大穴となったーーとはいえ、その大きさはたった数十センチ
残っている力はほんの僅だが、これはもしかして足りないのでは?
そう思った瞬間、ちっこい金色の何かが穴から飛び出してきた。それが残っている力をパフンと吸い込み、すると穴が塞いだ。
「やっほ~久し振り~レナちゃん~
かわいいアウルムちゃんだよ~どう?どう?驚いた?驚いた?あんなに大っきかったのがこんなちっちゃくて可愛くなって驚いたでしょう?」
あ、よく考えたら元の大きさで呼んだらやばかったね、助かった~
「現実逃避は良くないな~レ、ナ、ちゃん~」
レナたちが無事なのは勇者を創り出す方法が呪いなのとレナがアウルムとあったおかげです。勿論制御したおかげで呪いの余波で一般市民が後遺症を残したりはしませんでしたよ?
力技で無理矢理召喚するなんて本来なら自殺行為、でもレナたちって空間属性の適性が恐ろしく高いからどうにかできた(レナトスが異世界から転生したから)
よっぽどの事すら簡単に出来ちゃう、それが勇者クォリティーってもんさ
次回予告:
ミドルブルー中央管理局第0管理センター、そこは世にも恐ろしい魔境
いい大人達が幼女の映像を食い入る様に見つめ、突如として叫びだしたり泣き出す者がそこいらにある
差し出される魔の手、果たしてルナの先は如何に?
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