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気の弱い鬼

開いていただき誠にありがとうございます!全四話です。

 昔々、あるところに【人喰山(ひとくいやま)】と呼ばれる山がありました。

 そこには恐ろしい鬼たちが住んでいて、腹が減っては人々を襲い、周りの村人たちを怖がらせていました。


 その鬼たちというのが少し変わっていて、人々を襲うのは専ら女の鬼の仕事でした。男の鬼は住み処を守るためにいつも山の奥の奥に潜んでいるのです。

 男の鬼は一匹で何匹もの嫁を娶っており、(おんな)(おに)は旦那様に気に入られるためにより良い獲物を捕まえるのにいつも必死になっていました。


 さて、人喰山のなかでも一番最後にお嫁に入った女鬼がおりました。

 とは言え、旦那の男鬼はでっぷり太った美味しい人間を狩ってくる他の妻たちにばかり構って、彼女のことは歯牙にもかけてくれません。


 実はこの最後にお嫁に入った鬼は、鬼にもかかわらずとても大人しくて優しい心の持ち主だったのです。彼女はずっと山の木の実や花を食べて生きてきたので体つきも弱々しく、逞しいものが好まれる鬼の世界では一等下の立場にありました。


 彼女はそれでもずっと人を襲わず僅かな木の実や動物の死骸を見つけては旦那様にお渡ししていました。しかし、旦那様の大好物は丸々太った人間です。全く人間を持ってこない末の嫁に業を煮やした旦那様はついに彼女にこう言いました。


「今度木の実なんて持って来たらお前なんざこの山から追い出してやる!」


 人喰山は鬼たちの聖域です。そこを追い出されては長くは生きていけないでしょう。

 末嫁はしくしくと泣きながら、角を隠すほっかむりを被って人間の住む村に降りていきました。




 村へ来たはいいものの、山の静けさを好む彼女にとって人間の村はあまりにざわざわとしています。

 右を見ても左を見ても見慣れぬものばかりで彼女はすっかり参ってしまいました。


 フラリ


 突然目の前が暗くなって女鬼はその場に倒れ込んでしまいました。


第1話、お読みいただき本当にありがとうございました!

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