表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/332

一時の妄想 兄の章

0.5話だと思って下さい。夜か朝に出します。遅くても昼。

 萌と飯を食べ終わって別れた後、俺は家への帰り道を辿りながら、碧花とのデートについて考えていた。

 どんなデートをすれば喜んでくれるだろうか。この時期で言えばやはり海水浴とか、プールとか、温泉というのもいいかもしれない。季節外れだけど。

 そうだ、夏祭りとかどうだろう。俺は碧花の水着姿も浴衣姿も見た事あるが、昔と比べて碧花の身体も随分成長している。中学生の頃でさえ大人と間違えられたあのスタイルで、今はどんな格好をするのか。純粋に気になった。黒のビキニなんて明らかに中学生や高校生の着用するものではない(似合わないだろう、という意味で)のに、彼女が着ると様になる。特にあのくびれ。程よく引き締まったお腹だ。巨乳の女子というのを全く知らないという訳ではないが、俺の知る限りそういう奴は胸以外がだらしない。これを言うからには俺は夜道で刺される覚悟をして言うが、胸の大きい奴は大概お腹周りが酷い事になっている。だが碧花は違う。顔をすりすりしたくなる様な美しさと、柔らかさと、硬さを持っている。最早作り物としか思えないくらい完璧な体だ。けれどあれはちゃんと肉の身体。作り物ではない。

 ビキニに関して俺は黒が好きだが、彼女ならば何を着ても似合いそうである。黒が好きというのは単に刺激が強いからという理由であり、困った事に俺は興奮するのを抑えようとしているのに、より強い興奮を求めてしまうのだ。男の性というものは実に悲しいものである。

 温泉についてだが、流石にそっちの浴衣姿は見た事がない。けれども、これはあまり頭には入れてない。どうせ修学旅行で見られるのだ。というか見に行くのだ。修学旅行には深夜テンションにも似た奇妙なノリがあるので、その状況であれば普段は何もない時でも……もしかしたら。彼女とそういう関係になれるかもしれない。

 俺も、期待していない訳ではないのだ。何かの間違いで彼女と……一度でもいいから、出来たらと。この学校で碧花を知る殆どの男子が思っている事だろうが。まあ実際の話をすると何も起きないし、そもそも起きる様な状況になるとしても俺が途中でヘタレて自らぶち壊す未来が見えている。実際に直面してみなければ何とも言えないが、どうせ俺はヘタレだ。

 今回も、女風呂を覗くくらいで終わるのだ。

 夏祭り……ああ、そう言えばこういう催しも浴衣だったか。ならば見た事がある。前言撤回だ。あの時はなんかの花が刺繍された白色の着物だった筈。普段黒色ばかり眺めているせいで、初めて見た時はやけに碧花が清楚に感じたものだ。他意はない。

 問題は、どれを見たいかという話である。正直な所、全部みたい。別にビキニでなくとも、ワンピース姿でもいい。それはそれで、俺にとっては目の保養になる。だがしかし、今回は彼女を満足させるデート。俺の要望ばかり通しては、彼女が満足できないではないか。


 困った。


 これは非常に困った。俺は助言を求めるべく、とある所へ電話をしてみる事にする。電話は数コールの内に繋がった。

「もしもし? お兄ちゃん?」

 俺の妹、天奈だ。あの時以降、俺への感謝なのか態度が柔らかくなったので、どさくさに紛れて電話番号を交換した。別に他意はなく、家族との連絡用なのだから、本来は無ければ駄目だと思う。

「なあ天奈。お前を女性と見込んで頼みがある」

「……何か、嫌な予感がするんだけど」

「女の子が喜ぶような場所って何処なんだ?」

 俺の質問を何だと思っていたのか、電話口から妹が露骨に安堵する声が聞こえた。一体彼女は俺の事を何だと思っているのだろうか。暫くムッとしていると、再び声が大きくなる。

「どうして急にそんな事を?」

「いやあその……聞いて驚くなよ? 俺実は……」








「えええええええええええ!」




 



「まだ何も言ってねえよ!」

「あ、ごめん。つい癖で……」

 癖? 俺の妹はいつの間に読唇術染みた……いや、電話越しなので読唇ですらない。読心術である……特技を体得したのだろうか。まさか俺の知らぬ間に週刊少年漫画染みた修行が行われていたとでもいうのか。或いは俺の家に修行場所にうってつけな場所があり、そこで日々の修行を重ねた結果…………


 漫画の読み過ぎである。


「で、何?」

「デートするんだよ」



……………………………



「ごめん。何て言ったの?」

「いやだから、デートするんだよ。校内一の美人と」



 …………………………



「援助交際?」

「違うわ阿呆! 只のデートだよデート! だからその……教えてくれないか、女性が行きたい場所っていうか、そこに行ったら満足するよーっていうの」

 何故俺が碧花と援助交際しなければならないのか。そもそも性欲処理なら俺がその気になれば碧花からしてくれるので、わざわざそんな形態をとらなくても……って違う違う。そうじゃない。妹の口から援助交際という言葉が出た事自体、俺からすれば驚きなのだ。

 まだ妹はキスで子供が出来るとか言ってると思っていたのに……俺の可愛い妹は一体何処で穢れてしまったのだろうか。嘆かわしい限りである。 

「まあ、私の意見で良ければ教えてもいいけど。何で電話なの?」

「え?」

「お兄ちゃんが家に帰ってくれば、直接話せるじゃん」









 あ。

 アバドーンも同じくらいにでますね。いや、半端に切って済みませんほんと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ