二幕「狂世界へようこそ」
「…っ…うっ…ここ…は…」
「やっと目覚めましたか。
…ようこそ、狂世界へ。
貴方方は招待されるに
相応しい資格を持つ人間です」
「なっ…お、お前、リリエス…だっけか?
狂世界ってなんなんだ、異世界的なものか?
何をするつもりなんだよ!
「狂世界の説明ですか…一言で云うと…
『『人間を嫌う世界』』
…ですかね」
「人間を…嫌う!?
じゃあ人間以外にこの世界は誰がいるっていうの!?」
「…狂い者。精神を破壊する人間、精神破壊魔と対になる存在です。
狂い者は精神破壊魔に全てを壊された存在」
「は、はぁ?」
「見てれば判ります…招待された人間は、
狂い者と同じように見られます。
ご安心下さい」
「…と、とりあえず、私たちは生きてられる…
…そういうことだよね?」
「…そういうことです」
「...っはぁ、生きてられるならいいけど...
これから私たちどうなんの?」
「狂世界を巡ってもらいます。数日かけて」
「それで、巡り終わったら元のセカイに帰れるの...?」
「ええ、まぁ」
「はぁ、よかった...」
ギュルルルルルルルル.....
「...あっ、お腹空いちゃった...」
「...もう、お姉ちゃんったら」
「じゃあまずは、レストランにいきましょうか。すぐ近くですし」
「お、レストラン?」
「はい。...ココロノチレストランです
極上の心の肉から普通の心の肉、厳選された心の血のジュース、それから、人の食べ物まであります」
「極上の...心の肉?心の...血?」
「心の肉は、生で食べても半焼きにしても、普通に焼いても焦がしてもとてもおいしいですよ。
人間の場合、すぐ慣れるか個人差がありますが...」
「な、なんかちょっと怖いよ...」
「すぐ慣れますよ、那月さん」
「えっ、名前教えてないのになんで...?」
「言ったじゃないですか。貴方方は選ばれし者。貴方方のこと、私はちゃんと調べてます」
「お...おう」
「さ、行きましょう二人共」
~♢ココロノチレストラン
「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ。...あ、招待された方ですね。
お食事料金は無料となります。あと、A級心の肉が一つ無料となります。」
「あ、はい...ど、どうも」
「ほら、早速幸運が。この世界はあんな世界よりとってもいい世界なんですよ」
「え、うん?」
「さ、席に座りましょう」
「うーん、いろいろあるな...まぁ折角一個無料だし、A級心の肉にするか。
あとー...心の血がけサラダで。」
「私もA級心の肉...と、人間用ショートケーキで」
「私は厳選心血心の肉にします」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
「...それにしても、狂い者とかいって見た目人間じゃねーか」
「ええ。そうですね。けれど中身は列記とした狂い者。狂った狂った狂い者」
「私達のこと、嫌ったりはしないんだよね...?」
「はい。むしろ歓迎されますよ、選ばれた者なのですから
どんどん狂い者に話しかけて、仲間を増やしましょう」
「お、おう」
生きていられることが分かって、安心した。
けれど、この世界があんなに酷いなんて、思ってもいなかった。
―破壊と、狂い。