一幕「選ばれノ姉妹」
―「うわぁぁぁあああっ、うおおおおおおっ!?」
大声が部屋に響き渡る。どうやら、夢のせいで飛び起きたようだ。
「もう、お姉ちゃん、うるさいなぁ...おはよ。
お母さんとお父さん、もう出掛けたよ。新しい役のオーディションで。」
「お、おう、おはよ...もう8時か。いやぁ、変な夢見てさ...」
「お姉ちゃん、変な夢しか見ないんだね..クフフ」
「んな事言うな!わ、私だってまともな夢くらい見るんだぞ!?」
「二次キャラとキスする夢...とか...?」
「そーそー、そういうy...じゃなくて!
あれだ、その、空を飛ぶ夢とか、あと、ほら...」
「クフフ...それってまとも?」
「じゅ、十分まともだろ!」
「で、どんな夢見たの...?」
「それがさ~...」
私の姉、来咲依月は、二次元やアニメ好きでボーイッシュだ。
そしてその妹の私、来咲那月。
二次元やアニメは好きだが、詳しいわけじゃなく初心者だ。
私たちの親は、声優だ。
普段とても忙しいが、最近は沢山のオーディションを受けたりしているので、
いつもよりかなり忙しいのであった。
その影響で、私たち姉妹は二次元が好きなのであった。
平和に平和に、過ごしていたのに。
あのメイドが迎えにきてから、涙が止まらなくて。誰にも会えなくて―
もう、元のセカイに戻っても、元のセカイにはなんて戻れない。
そう、思った。
―「で、転んだんだけどさ?」
「えー、お姉ちゃん、怪我しなかったの?」
「ギリギリセーフ!ってとこかなー、ははっ」
『...あの。』
「ん?」
『...狂世界案内人メイド。...クロロ・リリエスです』
「くろ...ろ...りりえす? 狂せか...えっと何がなんだか分からんん、ごめんなさい」
『ふざけないでくださいね...』
「え、ふざけてなんか....っ?」
「...お、お姉ちゃん!!」
「え?」
ザシュウウウウッ
『...』
「お姉ちゃあああああああああああんっ!!」
「ヴっ...あ゛...那..月....っっ」
それは、突然なことだった。
―お姉ちゃんが、車に轢かれたのだ。
「ちょっと!!なんのつもりなの!?お姉ちゃんを殺そうとしてるの!?」
『ほら...貴方もこうなりますよ?
...大丈夫です。痛くないし生き返れます。
これは貴方方を理解させるためにやったのですから』
「痛い痛くないの問題じゃない!!
何をするつもりなの…!?」
『…貴方方を狂世界に招待します
貴方方は「選ばれた者」。
…ほら』
「!!」
ザシュゥゥゥッ…
そこで意識は途切れた。