終幕「bat・happy?」
―「…っ…」
気付けば、私とお姉ちゃんは、交差点に居た。
何事も亡かったように、そこに、ポ ツ リ と。
「…那月…
…なぁ、那月…もうここに戻ったって…苦しみは消えない…
なあ、どうすれば…いいんだ…よ…っっ…!」
―どうすればいいのか。
―そんなの、私にだって判らない。
「…私は……あの残酷すぎる世界を救いたい。
那月…那月も一緒に…」
「…ごめん、それはできない」
「っ…? なんで、だよ…
いい人も、いたじゃないか……救いたい、あんな世界から」
「…そんなことは、きっとできない…
…それに、そんなの狂い者にとって『精神破壊魔』なんじゃないの?
…きっと心の限界がくるまで待つしかない。
…お姉ちゃんもリリエスから聞いたでしょ?
もうこれから、狂い者になれるのを待つしかない。
人間はもうその選択肢しか、ない。
自分を喪うしかない。」
「…っ…なんで…なんでだよ…
ぁぁぁぁぁぁ…っ…!!」
「…ごめん
…先行ってるよ」
苦しそうなお姉ちゃんに、愛想笑いを見せて一気に横断歩道を渡った。
「…」
隣に、年下の子がいた。
邪魔だったから越したら、キチガイみたいに、越してくる。
「越したがり」
!!!
なぜかそんな言葉が、頭を貫いた。
―越したがり。
…天罰奴隷、か?
…自分を喪いつつある。
「…っ」
「...ねぇ、キミ。」
「...はい...」
「...一番じゃなきゃ落ち着かない「越したがり」、それを壊す者...
「越したがりハンター」...やってみない?」
「...いや、お断り...します」
「...そう。...はぁ、また断られちゃったー。」
―もうこの世界も、天罰とか狂いとかに変化してる...?
―何もかも苦痛に見える...
―早く、家に帰ろう
ガチャリ
「...うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ」
思わず叫んだ。
全部のいい事忘れちゃって、嫌しか亡くなって、どうしたら解決できますか?
氷に閉ざされた狂い者、残酷にさせた破壊魔。
絶望と、絶望。
―もう、決めた。
―自分を喪って、あっちへいく。
―いずれ世界の理に気付いた私は、そうなるんだから。
―お願いします「「嫌われ者の化け者」」....様。
「自分を喪っても良い...もう限界になっていい。
私は狂い者になる覚悟があります。
貫いて、殺して、壊して、連れてって―」
そしてもう、叫んだ。
「っぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛゛あ゛あっあ゛あ゛゛あ゛あ゛あ」
―「...そこまでして、こっちに来たい?
めずらしい人間だね、破壊もされたことないのに。。」
「...そこまでしても、もう、いいんです。
生きてられるなら、もう...」
「...そっか。どうやら本気のようだねぇ...
じゃあ、その心の肉の飴をそこに置いて。お姉ちゃんが分かるように、ね」
「...はい」
―お姉ちゃん、ごめん。でも、いづれ私はこうなる。時間が速いか遅いかだけ―
「...それじゃあ、いこうか。」
「...はい」
綺麗な夕日と、玄関に投げ捨てられた、飴。
そこに、自ら狂い者になる私がいた。
―お姉ちゃん、これが「happyend」なんだよ―。
―だって、狂い者になるのが速いか遅いかなんだもん。
―batendしか無くて、happyendが欲しいなら、これがhappyendと思うしかないもの。
―ね。
☆happy
end ? ☆
bat




