九幕「戻っても、戻れない」
―それから、数日。
―リリエスと、色んなところへ行った。
―そして、元のセカイに帰る時が、来たみたいだ。
「…さて、よくここまできました。もうこの世界を廻る旅は御仕舞い、元の世界へ帰れます」
「…や、やったぁ…やっと帰れ…る…」
あまりにも狂った世界が苦痛だったのか、お姉ちゃんが疲れた声で言った。
「…あら、そんなに嫌でしたか?
…それじゃ、皆さん」
「!?」
気付くと、沢山の狂い者が私たちを囲んでいた。
「楽しかったでしョ?
また来たいでしょ??」
「ヒヒヒハ、ココロノチ、ヒハァァ!!」
「今度は狂い者に為ってここに来てねェ…♪♪♪」
沢山、それは沢山の狂い者が、沢山の狂い壊れた言葉をかける。
クルイモノザワザワ、ザワザワクルイモノザワザワ。
「…さて、皆さんお静かに。…それでは…
やっちゃってください」
……え?
その瞬間、『血』が私から噴き出した。
―お姉ちゃんもだ。
「ヒハァヒヒヒヒァァアハハハハハァァァ!!!」
「っ…うっ…ああああああっ」
「…大丈夫ですよ。狂い者にならない程度に心狩りをして、気絶させるだけ…」
「貴方たち、元の世界に戻っても苦しいと思うけど、限界を迎えたら私化け者が迎えに来る。
…ココロノチ、頂戴?フフフ」
「うっ、あ、あ、う…っ!!
…絶対お前らを…救う…!! …この残酷な世界から…一人残さず助け」
そんなお姉ちゃんの声と共に、意識は途切れた。




