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リア充応援計画  作者: 梅木 仁
こうして物語は幕を開ける。
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第六話ー闇からの救助と新たな出会いー

こんにちは、こんばんは。梅木仁です。

始めに投稿が遅れましたこと、お詫びします。

さて、それでは本編をお楽しみください!

階段を一階まで降りる。踊り場から南北に伸びる渡り廊下。

教職棟に向かう北向きのもの、反対に南に向かうもの。

俊と小生は南に向かう。渡り廊下はとりわけ壁のようなものは腰までしかない。

その先に教室くらいの一階建ての建物がある。仮に別棟と呼ぼう。左手の別棟と教室棟との間には芝生が広がり、右手は教室棟の昇降口と駐車場が見える。

小生と俊は別棟の二つの扉の前に立つ。

右が生徒会室。左は生徒指導室。

俊が着いてまもなく口を開く。

「なあコバ、左の部屋、何か感じる。」

「ん?特に俺はなにも感じないぞ。緊張しているのか、俊?」

「いいや、そういう感覚じゃない。霊のような・・・なにか重いものを・・・」

「どういうことだよ・・・そんなの怖いじゃねえか。」

「いや、それとな、その感覚がな、まだ新しいんだよ。古くさくない。若いんだ。」

突然勢いそのままにつらつらと話す俊に少し引いていた。

「若いってなんだよ。ますます怖いじゃないか。やめろよ、俊、そういうの!!」

「しょうがねえじゃねえか!!俺だって今すぐ逃げたいよ。」

俊は一度振り返って、教室棟に戻ろうとした。続いて小生も踵を返そうとする。


俊はいつもショートの髪型で、鼻がシュッと高く、目は切れ長でいわゆるイケメンと呼ばれる部類に入る好印象を持たれやすい少年だ。加えて野球部だったから色黒だった昔に比べ、しばらく受験だったためかその日焼けも影を潜め、一般的な男性と同じ肌色である。

そんな俊の顔色は青白くなっている。唇はさっきまで会話をしていたときは、確かに赤みを帯びていたのだ。それが紫色をして、うっすら白い膜のようなものも見える。そして、ガタガタと肩を揺らして震えているのだ。ほんとに俊は何か見えないものを、あるいは見てはいけないものを知覚してしまっているのだろうか。とにかく俊の容態の急変が突然かつ異常すぎておかしすぎる。

そのうち、三十秒くらい経って、小生も俊のそれが移ったかのように寒気を覚えた。寒い、胸のあたりがすうっと冷たく、空っぽになってゆくような気分だ。春なのにこんなに寒いのか。太陽が恋しい。とにかく凍ったように胸のあたりから首から肩の辺りまで冷たい。だ、誰、誰か、助けてくれ。目の前が暗くなってゆく。


「え、なに、この感じ、おかしい、おかしいよ。」

ん?誰かの声がする。

「どうしよう、なに、やだ。こんな感触いやだ。」

温かくて、包まれるような、暖まるような・・・。

「ちょ、ちょっと二人ともこっちに来てください!!」

誰かに引っ張られて小生は連れ去られてゆく。そこに小生の意思はない。そこで小生の意識は飛んでしまった。


突然目の前が明るくなった。

そこにはさっきまでいた別棟はなく、教室の黒板が目の前にある。

少し落ち着いてきたので落ち着いて周りを観測すると、そこは六組の教室だった。

「どうですか、落ち着きましたか?」

その声の主は、小生の隣の席の人の声だ。

「お二人とも、さっきまで隣の小さな建物に向かう途中の渡り廊下で直立不動でうーうーってうめいていたんですよ、覚えていますか?」

小生はなんとか口を開こうとしたが、うまく身体が動かない。口がパクパクしているだけだ。

「まだいいですよ。ちゃんと私がお話しします。何があって、何を見たのか存じませんが、お二人が見たのはきっと、この学校の霊たちです。安心して下さい。ここにはいません。そして、お二人は彼らに乗っ取られて、魂を吸われてしまうところでした。多分、突然寒気を感じて、そして胸から首のあたりまで冷たくなったと思います。それが証拠です。たまたま、校舎内を回っていて二階の東階段あたりにいたときに、ふと一階の昇降口あたりで、気持ち悪さを感じたので駆けつけたら、お二人がうめいていたんです。で、そこにいる九条さんって方と、一緒にこの教室に運び込んだんです。九条さんもどうやらお二人を運んだら疲れて眠ってしまったけど・・・ほら、後ろの席。」


九条さんのことはともかく、彼女の優しく包まれるような声に、心をそっとなで下ろす。ゆっくりと話してくれる彼女の話し方に、徐々に小生の身体も心も取り戻しつつあった。ふぅっと息を吐くと、何か貯まっていたものが吐き出されるような気がして楽になった。

「あーあー、マイクテストー、ええっと、まず助けてくれてありがとう。」

「うん、よかった、無事で。私の役目はここまでかな。」

「自己紹介してもいいかな。多分初見だし。」

「隣の席の、小畠くんだよね、先生に呼び出しをされていた・・・?」

「うっ、そういう覚えられ方は頭がいたいよ・・・」

「ふふ、ごめんね。悪気はないんだよ。たまたまだよ。」

そういって、小生が笑うと、彼女も笑ってくれた。ただでさえ恐怖の連続の後で小生はおびえていたのに、優しく温かい声の持ち主で笑顔になるとよりいっそう、声も温かみを増す。それだけで彼女の存在の大切さを感じる。よく見れば、黒髪で奥二重な目を見れば、黒い瞳に引き込まれそうだ。健康的な顔色も、小生の救出劇の後のせいか、すこし赤くなっている。ほっこりするような雰囲気というか、オーラを発し続けてくれる彼女に小生は心を許していた。


「ええ、うーん、ごめん。名前なんだっけ?」

「わからなくて当然だよ。私は佐々木由梨乃と言います。よろしくね、小畠くん。」

「コバでいいよ!佐々木さんはなんて呼んだらいい?」

「みっちゃんって読んでくれると嬉しいなぁ~」

「え、なんでみっちゃん!?どういうこっちゃ!?」


恥ずかしがりながら、顔全体を赤くしながら彼女は小さく言う。


「実は私、声真似主っていうジャンルで配信しているんですよ~。」


まるで好きな人に隠し事を誰かに明かしたときのように。

第六話を最後にお読み下さり、ありがとうございました。

投稿が遅れておりましたので、明日もう一話投稿いたします。よろしくお願いします。

詳しいお話はまたそちらで。これからもよろしくお願いします。

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