僕の日常
「ウェンディ国立魔法学園」
毎年入学試験は約4倍の倍率を誇り、入学できた者は、3年間寮生活を強いられるが高度な魔法を学べる屈指の学園である。
入学して4日経過して漸く、鏡に映る自分の姿に違和感なく見ることができた。
今までの軽装ではなく紺色の制服を着用しているから。
制服には防御魔法が施されておりサイズは自動調整するという驚きの上下だった。
首にはヨウが入学御祝いに貰った氷魔石のペンダントを着けている。紐も黒革製で腰に装着したベルトとお揃いである。
ベルトには父の形見の剣と母の形見の刀を装着している。
僕は1年3組の教室に入り、廊下側の後ろから2番目の席に座った。
「タカ、おはよー。」
①赤髪銀眼のサン。火属性、武器は弓。活発で明るい女子。
「おはよう。サン、ステラ。」
「お、おはようございます。」
②金髪碧眼のステラ。光属性、武器は杖。丁寧な言葉遣いは癖だという女子。
「みんな、おはよう!」
③緑髪緑眼フェイ。風属性、武器は扇。颯爽としている男子。
最後に無言で僕の後ろの席に座った。
④銀髪赤眼アッシュ。土属性、武器は鎖鎌。クラスで唯一の獣人族の男子。さっと右手を上げた。(彼なりの挨拶らしい。)
僕たちは、この5人でグループを作った。いや半ばサンの強制で決まったんだ。
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「今日は初の実技だ。毎回今の体操を行い体を温めること。さぁ、グループに分かれてくれ。」
僕の剣やアッシュの鎖鎌は近距離向き、サンの弓やフェイの扇は遠距離向き、ステラの杖は中距離向きと、攻撃方法によってグループが分かれていた。
「ステラは杖をレイピアに変幻させるの?」
「はい。一番軽くて速さを活かせるので、姉から学びました。タカは剣ですよね?」
「うん。基本は父に習ったんだけどね、この半年間で大剣使いの師匠に鍛えられたんだよ。メチャメチャ厳しくって参ったよ。口は悪いが尊敬する人なんだ。」
『へえぇ!?メチャメチャ厳しくて口が悪い、近距離教師のトイだ。皆、よろしくな!』
(ギャーッ!誰か空耳だと言って?)
僕は背後から聞こえる挨拶に顔面蒼白だった。
恐る恐る振り返ると、師匠のドヤ顔が待っていた。
「しし師匠ぉ!どどどうして?」
『んん?愛する妻にお願いされたから。』
(そうだった。師匠は自他共に認める愛妻家だ。)
「納得しました。」
先程の体操で息を上げる人はいない。僕も毎朝鍛錬しているので平気だったが、実技の授業は毎日あるので、放課後にアルバイトをする人達は難色を示していた。
『夏には体が慣れてくるから、暫く地道に努力するんだな。』
(やはり、師匠は甘くないなぁ。)
後に師匠はこの学園の設立当初から実技の教師で、自身の子ども達もアルバイトをしながら首席で卒業したと話してくれた。




