あやかし商店街(二の伍)~その後~壱
一通り鍋を食べ終えた四人は、後片付けした後、炬燵に入り温かいお茶を飲んでいた。
「そういえば、白雪さんはこれからどうするんですか?」
湯呑をテーブルに置いて、真司は白雪に聞いた。
「そうですね・・・当分は、また、ここでお世話になろうと思います」
ニコリと微笑むと、白雪は菖蒲を見た。
お茶を啜っている菖蒲は、チラリと白雪を見ると
「私は、かまわんよ。ここは、もう、お前さんの第二の家でもあるんやからの」
と言った。
そ知らぬ顔で言った菖蒲に白雪は少しだけ驚いたが、やはり、そう言われると嬉しいのだろう・・・驚いた後、可憐な花のような笑みを浮かべたのだった。
§
「あの、白雪さんは、今まで何処にいたんですか?」
「今までは、少し旅をしていました」
「旅ですか?」
「はい。温かい地域を転々としていました」
白雪は、口元に手を当て「ふふっ」と笑った。
「温かい内に、此方に戻ってくるつもりだったんですが・・・つい、遅くなってしまいました」
ふふふ、と笑う白雪。
「へぇー。あ、そういえば、今は見えないですけど、あの白い蝶は‥?」
「あれは、白雪の守護する精霊だ」
「あれも精霊ですか」
「はい。連絡係や人間界で言う保冷剤代りにもなります。」
「保冷剤?そういえば・・・確かに冷たかったですね」
真司は、あの白い蝶に触れた事を思い出していた。
(真冬の氷みたいに冷たかったなぁ・・・)