あやかし商店街(二) 参
「え?」
真司はもう一度聞き直した。
「えっと・・・雪女って熱いの苦手なんですか?」
すると菖蒲はコクリと頷いた。
「うむ。苦手だ。」
「えっと・・・その・・・白雪さんも雪女・・・でしたよね??」
菖蒲はまた頷いた。
「うむ」
「・・・・・・・・・」
真司は、何が何だかわからなくなり、軽く頭痛がした。
「あのね、あのね~白雪お姉ちゃんは特別なんだよ」
と、お雪は真司の様子をクスクスと笑いながら見て言った。
「白雪は雪女だが、熱いのは好きらしくてな。変わったやつじゃ」
「はぁ」
真司は曖昧な返事した。
(なんだか、もう、よくわからなくなってきたなぁ・・・)
はぁ、とため息をついた真司を見て菖蒲は
「なに。実際に会えばわかるよ」
と微笑みながら言うと台所へと向かったのだった。
(白雪さんかぁ)
「ほれ、真司。お前さんも、手伝いんしゃい」
「あ、はい!」
§
菖蒲と真司は一通り鍋の用意が出来ると、炬燵に入りまったりとしていた。
時刻は、そろそろ夕刻だ。
「ふんふ~ん♪ふふふーん♪」
真司と菖蒲の間で、お雪は寝転び鼻歌を歌いながら紙に絵を描いていた。
(平和だなぁ~)
炬燵のテーブルに頬を付け、にやぁ~と真司は笑った。
その隣で、ズズズーッと茶を啜る菖蒲。
あまりのマッタリさに、真司は段々と眠くなってきた。
(・・・暖いし眠くなってきたかも・・・)
「ふぁ~ぁ」
と伸びをしつつ大きく欠伸をすると、ふと、目の前に冷たい冷気が漂った。