なにもない世界
俺は目を覚まし、天井をみる。ただただ天井を見てさっきまで見ていた面白い夢の続きを思い出す。
外は見ない。見たくない世界が見えるから。
こうやって、ぼーと何もしない日が何日も続く、部屋には誰もいない。
「トントン」
一人で惚けていると扉が叩く音がした。来たのはあいつだろう。俺のところにくる人を俺は一人しか知らない。
「よっ」
「……」
無言で返事をする。やはり来たのは幼馴染だったようだ。俺と幼馴染は昔から仲が良くていつも一緒にいた。幼馴染はボロボロの椅子に腰を下ろす。
「今日はなにをしていたの?」
「別になにも」
そう答えると幼馴染は自分から話し始めた。
「私はねー、今日は梨花ちゃんと楽しい話をしたんだ」
「……」
無言で聴き続ける。そして俺は梨花という人物を知らない。くだらない話を数十分話した幼馴染は、唐突に切り出して来た。
「学校にこないの?」
「……いかない」
「なんで?」
「……なんもないから」
そう言うと両方ともが無言になってしまった。少し時間がたち幼馴染みが声を発した。
「学校はいろんな人がいるから楽しいよ、気が向いたらきてよ」
「そうか……」
俺は適当な返ししかできなかった、言葉が見つからないから。
「またくるね」
「あぁ」
そういうと幼馴染は外に出ていった。
俺には明日があるのかわからない。幼馴染は俺の生きる希望でもあった。
幼馴染とあうと俺は狂ってしまったのかと毎回思う。
時間が経ち何かが変わっている気がして、今日初めて起き上がりほんの少しの希望を持ちながら外をみる。
だが、相変わらず世界は焼け野原、建物はここ以外崩れ落ちている。テレビをつけてみる。映るのは...砂嵐。
やはり狂ってるのは俺ではなかったのか...
この世に俺と幼馴染以外の人はいるのだろうか。
「夢なら早く覚めてくれないかな」
ボソッと呟きまた夢を見始めるためにさっきいたボロボロの床に横になった。