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花と猫と叶わない願い  作者: 湯呑。
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儚く散った幸せ

初めて触れた温かい感触。

花火大会の帰り道、暗闇の中で初めて握った手は自分より小さくて細い、だけど凄く柔らかかった。そんな彼女の手。

彼女は頬を真っ赤にして戸惑いながらぎこちない手つきで俺と指を絡ませた。

凄く可愛かった。こんなに可愛い子が俺の彼女なんだって思うと嬉しくなって離したくなかった。


初めて抱きしめた身体。

花火大会の4日後が俺の誕生日だった。

彼女はメールで夕方の6時くらいに俺を公園に呼び出した。そこには俺の彼女がいた。

ちょっと露出が多い服を着てて俺はドキッとしてしまった。まだ付き合って3か月いってない俺達にはいろいろなことにドキドキしていた。

俺が彼女に声をかけると彼女は髪をなびかせながら驚いたように振り向いた。

そのあと俺は彼女から誕生日プレゼントを貰った。とても女の子っぽく可愛らしい包装だった。

木の下にあるベンチに二人で座り、手を繋いでいろいろ話した。二年生の時はこうだったよな、あの時告白してくれて嬉しかった、また一緒にゲームやろうな、とか。

時間が遅くなると彼女の親御さんに心配をかけると思った俺は立ち上がって彼女を送って行こうとした。

その時身体を抱きしめられた。

女の子らしい柔らかい身体と胸は彼女が近くにいるんだ、と教えてくれた。

だが不意に彼女に抱きしめられた俺は戸惑いつつも彼女の身体をそっと抱きしめた。

そして俺は少し腕の締め具合を緩め、初めてキスをした。

彼女はこれでもかというほどゆでだこも顔負けレベルに顔を赤くしていた。なんだろう・・・凄く愛しかった。


幸せだった日々がずっと続けば良いのにって毎日考えていた。

明日は何を話そう、次のデートは何をしよう、彼女への誕生日プレゼントは何にしようとか。





だがそんな幸せは7か月後にもろとも崩れ去ってしまった。





それが・・・俺の初めての「絶望」だった・・・

受検勉強に励もうとなり、勉強中はお互いメールを控えようと二人で決めた。少し寂しかったけど同じ高校を受けるから寂しい生活もすぐ終わるんだからちょっとだけ辛抱だと自分に言い聞かせてた。

ある日俺と彼女は放課後に学校の図書スペースで勉強をしていた。彼女は俺より頭も成績もよく、同じ高校でも特進部の理数科に行けるレベルで進学部が精一杯の俺にたくさん勉強を教えてくれた。

ずっとこの優しい声を聴いていたかった。

それから約2ヶ月後、遂に受験日がやってきた。緊張と冬の寒さに震えながら総合受験会場に向かい、そこから進学部の受験会場へと入った。

人数はかなり多くこれでここの学校の倍率が1.02倍なのか!?なんて思ったりした矢先、後ろから肩をポンっとやられた。

「悠里、おはよ」

聞き覚えのある優しい声。柔らかい手の感触。俺の後ろに立っている人物はまさしく――――――

「優香!?ここ進学部だぞ!?特進部は反対側の校舎!!」

流石に俺も慌てた。何せこの「暁高校」はどうしてこんな設計にしたんだと聞きたくなるほどに広いのだ。だが優香はケラケラと笑いながら言った

「私も進学部受けるんだよ?何故ならねー悠里と一緒のクラスになりたいから!」

初めて俺は優香の事をアホだと思った・・・

「優香なら特進は楽勝だろ!?ていうか進学部に入っても俺と同じクラスになれるかわかんないんだぞ!?」

またしても優香は笑いながら言った

「暁高校って1年生の時だけ同じ学校の人と同じクラスになるんだよ?知らなかったの?」

「まじか!?それ!!」

「まじだよー私が悠里の事想う位まじ!」

発想が可愛過ぎて死にそうだった。

その後俺は試験に確かな手ごたえを感じつつ試験を終えた。そして翌日の面接で落ち着いた態度で終えることができた。

そして1週間後―――

遂に合格発表である。俺は優香と待ち合わせをし、一緒に合格発表を見に行った。あの時と同じように手を繋いで。

合格発表覧には俺と優香の受験番号が並んでいた。

「悠里!!受かったよ!!これで高校も悠里と一緒だ!!」

「おぉ…!!これからも一緒だな、優香!!」

「えへへーw」

満面の笑みに見ているこっちも自然に笑みがこぼれた。

合格したことを両親に伝え、帰ろうとして手を繋いだ時だった

「危ないっ!!!!!」

叫んだのは俺だ。





目の前で血まみれの姿で地面に倒れているのは誰でもない優香だった





「ゆう…か…?」

唖然とした。声はかすれて声にならなかった。

その2秒後、俺は全てを理解し叫びながら血まみれの優香のもとへ走った。

「優香ぁぁぁぁぁっ!!!!!」

俺は馬鹿だった。

みなさんは赤信号の時に車道を横断しようと思いますか?

普通はしませんよね。

優香はトラックに轢かれそうな猫を助けるべく赤信号でも構わず車道に飛び込んだ。俺は優香が倒れているのを見て赤信号でも構わず飛び込んだ。

そして優香も俺も轢かれた。優香はトラックに、俺はワゴン車に。

轢かれた俺は宙に投げ出されつつも優香を見ることができた。きっと俺の最期に見るものだった。

あのケラケラ笑って見せた優香は、一緒に喜び合った優香は、ずっと一緒だった優香は、俺の目の前で儚く散った。


そんな俺の最期の記憶は今もあの道路に縛られ続けている。

いつか、優香とやり直すために。

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