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Shortstory

言わないけど分かってね

作者: 百円

スクロールはゆっくりめでお願いします。

 たった今、彼氏に振られた。


「もしもし」

「ああ、ひな?」

「うん。どしたの? なんでわざわざ電話?」

「気分的に電話したかった」

「ふーん」


 いつも通りの会話。だから、全くの不意打ちだった。


「ねえ、ひな。俺、ひなのこと嫌い」

「は?」

「聞こえなかった? 大嫌いになった。もう話しかけて来ないで」

「え?」

「ばいばい」

「え、ちょっと待ってよ」

「何? もう用件終わったんだけど」

「どうして? あたしの何処が嫌いになったの。あたし、何かした?」

「さあね。そんなん自分で考えれば」


 一方的に電話の切られる音。通話終了ボタンも押せないまま、プー、プー、と機械的に続く間抜けな音をぽかん、と口を開けたまま聞いていた。


 ***


 ――「絶対離さねえよ」


 今から一ヶ月ぐらい前に、あたしの手のひらをぎゅっと握って、はにかみながらそう言った彼。

 嘘つき。そう言ってあんたは自分から離れるんだね。一生くっついてられる度胸ねえんだったら最初っから言うな。

 いらいらしながら枕を殴った。ひとしきり枕を殴って、壁に投げつけ、そのままベッドに寝転んだ。

 ふと、壁にかけてある時計に目をやると、丁度、一日が終わってしまったころだった。

 はー、と大きく息を吐いた。それと同時に大粒の涙が零れた。偉そうで、意地悪で、素直じゃなくて、嫌なところもいっぱい見てきて、別れてやろうかって何回も思ったのに、いざ突然振られると、こんなにも悲しい。それが、ひどく悔しかった。こんなんだったら、自分から振っとくべきだった。

 突然、今の自分の気持ちとは全然合わない、ひどく明るい音楽が耳を刺した。元、彼氏専用の着メロ。そう気づいたときには、もう携帯の画面の下にある「新着メール1件」の文字を読んでいた。反射的に取ってしまった自分がすごく、情けない。メールが表示されるまで僅かな読み込み時間がもどかしい。画面に文字が写しだされる。





 (件名なし)4月2日00:01

 嘘だよ

ここまで読んでいただき、有難う御座いました。

良かったら、感想や評価をいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 恋愛短編として良かったです。 今後も執筆活動を頑張ってください。
2013/04/02 12:24 退会済み
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