ぼく、絶対に聖女じゃないのに異世界召喚されて、無理やりケツアゴ殿下と結婚させられそうなんだけど、最終的には結果オーライだったみたいです。
ぼんやりと道を歩いていたら、いきなり円形の光の環が足元に現れて、意識を失ったぼく。目を覚ますと、日本語を話す、謎の外国人劇団員たちに囲まれていた。
「―― 殿下、聖女の召喚に無事成功いたしました!」
「おお、この者が当代の聖女であるか。なかなかの美人だが、念のため、ちゃんと<浄化>のスキルを持っているか鑑定せよ」
「はっ!神眼の水晶にて確認いたしましたところ、<浄化>以外にも<解呪>や<ハイヒール>なども、すでにお持ちのようでございます!」
「でかした!褒美をつかわす!」
はいはい……異世界召喚のコントですね。分かります。
けど、ぼくが<聖女>って、ミスキャストじゃない?
「無理やり召喚してしまい、心苦しくはあるが、我が国は現在、瘴気による被害が深刻でな。お前の力がどうしても必要だったのだ」
悪びれず、棒でセリフをいう<殿下>と呼ばれた金髪。正直、イケメンにはほど遠い、ケツアゴだけど、そこは素人劇団だろうし、ひとまず見逃してあげるとしよう。
「ええと……ぼくはどうすれば、ここから解放されるのでしょうか?」
「悪いが、この召喚は片道通行でな……元の世界に帰してやることは出来ぬが、私が責任をもって、お前を娶ろう。私はまだ成人しておらぬゆえ、ひとまずは婚約となるが、来春には盛大な式を挙げることを約束しよう」
……まあまあ老けたケツアゴのくせに、未成年設定は、さすがに呆れちゃうね。そろそろ本気で解放して欲しいんですけど…… ―― ということで、ぼくはこのコントを破壊することにした。
「先ほどから、アナタたちは、ぼくのことを<聖女>とお呼びですが、ぼくは男ですよ?」
「ん……何を言ってるのだ、お前は?」
首をかしげるケツアゴ。
「いわゆる、男の娘ってやつです。ちゃんとチ○コもついてますし」
「はぁ? バカを言え……お前のようにかわいらしき者にチ○コなどが、ついているはずがなかろう。笑わせてくれるわ。はははははっ!」
ケツアゴにつられ、周囲のモブたちも、笑い出す。
「ほら、見なよ。ほいっ」
ぼくは、スカートをめくり、パンティーの中から、ぼくのゴンザレスを放り出してみせた。ぱおん。
「「「「「なっ……!!!?」」」」」
ぼく以外の全員が凍り付き、しばしの沈黙。
けど、最初に口を開いたのは、やっぱりケツアゴだった。
「おい、神官……この者は本当に<オトコノコ>とやらなのか?」
「は、はい……先ほどは見落としておりましたが、たしかにステータスに<種族:オトコノコ>とあります……ゴクリ」
「……ひと粒で二度美味しいってやつか……ゴクリ」
生唾を飲み込み、不穏なセリフを吐くケツアゴ。
イケメンだったら、うれションなセリフだけど、正直このひとはタイプではない。ていうか、そろそろ本気で、この場から逃げ出したい。
……途中から気付いてたけど、窓の外には、人が騎乗するグリフォンみたいなのが、さっきから何度も飛んでるし、どうやら本当に<異世界召喚>に巻き込まれちゃったみたいだね、ぼく……。なんかよくわかんないけど、魔法の使い方も感覚的に分かるような気がするし、もう何がなんだか……ぴえん(死語)。
「とりあえず、もう一度、キミの<オトコノコ>の部分を確かめさせてくれないか……」
ケツアゴが、とろんとした目つきで、近づいてくる。
「お、お待ちくだされ、殿下!何かにわるいものに憑りつかれているような目つきにございます!お待ちくだされ……あっ、<解呪>えいっ!!」
ぼくは、やけくそで<解呪>の呪文を発動させた。
すると、まばゆい光が殿下の顔を包み込み、ケツアゴが溶けて消え、ドキドキするようなイケメンが現れた。
「おお、さっそく私にかけられた呪いまでも……やはりキミこそが、本物の<聖オトコノコ>で間違いない! ぶちゅっ」
有無を言わさぬ、イケメンからの濃厚なキスに、思わずうっとりする、ぼく。
―― こうして、ぼくの異世界・男の娘ライフは、幕を開けたのであった。
Fin
……はい?




