3.鬼面者の学校に入りました。
「あの、何で私こうなっているんでしょうか?」
私の周りには、私と同年代くらいの男女が人だかりを作っている。ただみんな色々な半面を腰に持っている。
「ねー、碧師、この子誰ー?」とか「転校生ってこのコなの?あなたはどういう鬼面者なのかしら?」なんて葛花さんに質問したり私に質問したりしまくっている謎な状況。
「ん?なんでって転校生を紹介するのはおかしー?」
「いやいや、というかここで何するんですか⁉」
「言ったやろ、学校だ、って」
今いるここは、神社みたいなお社ととんでもない広さの館がある、京都の神泉山っていう山の奥深く。なぜここに来たかというと、それは少しさかのぼることになるーー
◇◇◇
「よーし、そうと決まれば青龍棟管轄で一番近い・・・神泉山の学校行くで!」
「あの、青龍棟管轄の学校って何ですか?」
「んーとな、鬼面者はただせさえ人が少ない、それなのに化物はあちこちにいる。だから、400前には「麒麟棟」っていう原初の鬼面者のかたたちが創り上げた鬼面者の本部は、集まるよりも四方に新たな本部を置こう、っていう話になって、東西南北に白虎、青龍、朱雀、玄武の名が付けられた鬼面者の本部が立った。そんでその内の青龍棟がここの管轄だから青龍棟管轄の鬼面者学校に行くぞってわけや」
そんなとこあるんだ。学校、もしかして友達とかできたり?・・・ちょっと楽しみになってきた。
「まっそういうことなわけよ。んじゃ、これから行くんやけどー。ちょいとビックリするかもやから先に謝っとくわ」
「えっ、何がですか?っという今からですか!?お母さんに黙って出てますし、今真夜中ですし!」
葛花さんはにんまり笑っていった。
「大丈夫、学校については乗りながら教えたるからさぁ」
乗りながら?その直後、横から強風が吹いたと思ったら。横に大の大人の身長くらいの大きさの生首があった。
「え、あ、え、・・・う、うわぁぁぁ!」
叫ぶと葛花さんに口を手で抑さえられた。
「静かに!今真夜中やで、ここらは人通りが少ないし、家もあんまないけど人が起きてまうやろ(汗)」
あっ、そうだった。と冷静さを取り戻し、改めて見ても明らかに異常で異質。怖すぎる。というかこれで叫ぶなという方が無理だ。だって目の前に生首だよ?な・ま・く・び!!
そんな心情を感じ取ったんだろう、葛花さんがデカすぎ生首に言った。
「飛頭、人の姿になれ。星凛ちゃんが驚いてもうてるやろ」
飛頭と呼ばれた化物は、あっとしたような顔をした。
「ああっと、すいやせん碧将様」
そう言うと、いきなり辺りが白い煙にまかれたかと思うと、そこには飛脚のような姿をした、江戸の人感あふれるおじさんがいた。
「いやーすいやせん、すいやせん。あっ、あっしは《飛頭蛮》という化物で、飛頭と申しやす。以後お見知りおきを」
完全に人じゃない、これだけは最初に感じていた。だけど、やっぱり化物だったんだ。でも、少し喋るとこの人は怖くない。なんか、雰囲気が親戚のおじさんだ。
「ど、どうも。桜麒星凛です」
「そんで、なんなんやけどー。飛頭、ちょいと神泉山の鬼面者学校に飛んで欲しいんだよ」
「あ~、へいへい。かしこまりやした。碧将殿の頼みならば」
そういえば、「碧将」って葛花さんの事なのかな?ぼんやり考えごとしていたら飛頭さんが元の姿になっていた。
「よし!んじゃ、星凛ちゃんちょっと俺にお姫様抱っこされてもらうで」
はい?とか思うのと、葛花さんにお姫様抱っこされるのは同時だった。
「えっ、ちょっ、なんでこうなるんですか!」
はずすぎるよ!
「まー、飛頭に乗るのにすこーしコツがいんのよ。そいじゃ、飛頭。行ってくれ」
私たちを乗せて、飛頭さんは飛んだ。
「あっそうそう。少し学校の説明先しとくわ。星凛ちゃんの行く神泉山学校は、まぁ~その名の通り神泉山の奥深くにあるんやけどー。星凛ちゃん神泉山知っとる?」
「は、はい。確か京都にあるんですよね。一回少し京都に用事があった時によりました」
「おー。よー知っとるねぇ。そう、京都にある神泉山学校では、というか鬼面者学校はだいたい夜に開校するんよ。その方が実戦経験も得られたりするしねー」
うん?今聞き捨てならない言葉が聞えた気がする。
「あの、葛花さん。「実戦経験」ってなんですか」
もしかして・・・
「ああ、実際に悪事や人に害をなした化物を鬼面を使って化物狩りをやんのよ。でもまっ、階級が上がらんと実戦はせんから大丈夫やで」
やっぱりか~!でも、階級があるんだ、よかった。
「まぁ、他にも色々知識を学んでもらうし、星凛ちゃんの鬼面も選んでもらうんよ。っあ、送り迎えは俺の部下の鬼面者に《天狗》の鬼面持ってる人おるから、その人に送ってもらうようはからうから」
葛花さんは、色々学校についてを大まかに教えてくれた。鬼面者の学校に行っている生徒のこととかを教えてもらった。そうこうしていると、神泉山学校に着いた。
◇◇◇
そんなこんなで今に至る。
「まーそういうことやから。星凛ちゃん、君はもう鬼面者学校の生徒だ」
葛花さんは、にこりと言った。
「ようこそ。鬼面者の世界へ」
叫ばれた飛頭ーー
(ああ、叫ばれてしまいやした。どうやったら驚かずに頂けるか試行錯誤でごぜぇやすなぁ)
新登場の飛頭おじさん!根はホントに親戚のおじさんです。ちなみに飛頭おじさんは、葛花の部下の鬼面です。こんな小話も入れていくので後書きにもすこし気にしていただけると嬉しいです!感想に気になった小話を聞いて頂ければ、後書きでご返信いたします。
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