2.いろいろあって、鬼面者になっちゃいました。
どうぞ!
「うう~ん」
ここは、というか何があったんだっけ。・・・あっ、思い出した。私またなにかに吞まれそうになって、それで変質者に助けられたんだ。じゃーここはどこ?
和室の部屋に敷かれた布団の上に寝かされてたみたいだけど・・・
「お~、起きよったん?もう体楽になっとると思うよ。俺がもう君の中におった霊鬼は祓っといたから」
・・・誰?
「あー、覚えてない?君が今思った変質者さんだよ。大丈夫、別にマジの変質者やないから。えっと、俺は葛花竜胆ちゅうねん。よろしゅう」
いきなり現れた関西弁でよく喋る男の人は、何故か般若みたいな半面を手にもっていて、柘榴色の髪と藍色味がかった瞳の人だった。ピアスが謎にこの人の奥深さを物語っていて不思議だ。
「あ、あなたが・・・私の・・・」
「そやで!命の恩人!」
「自殺を邪魔した変質者ですか!」
ちなみに葛花さんがズコッとなったのは言うまでもなくなのですが、だってわざわざ私の覚悟を思いっきり踏みにじってくれてしまったのだから!
「いやー、せやかてよ?覚悟を踏みにじったかて、まだその歳で有能な人材を捨てるのはもったいないやんかぁ」
「いや、でも私の覚悟、を、って、・・・葛花さん、なんでさっきから私の思ったことを言ってらっしゃるんですか」
さっきからこの人は、私の思ったことをズバズバ言い当ててる。この人何なの?
葛花さんは、今までと変わらない顔で意味不明な事を言ってのけた。
「あー、それは俺がこの鬼面を使う鬼面者であるからや」
「は?鬼面者ってなんですか?」
本当に何を言ってるのか分からなくなってきたけど・・・。
「んとなー、鬼面者っちゅうのはこの世の化物、んとまー分かりやすく言えば鬼とか幽霊的な?そいつらを払うために、はるか昔ら特殊な鬼面に死んだそいつらの魂を宿して、そいつらの異能を行使するんよ。ただ、面は己で主を決めるから、生まれつきの霊的な才とその鬼面に封じられた化物の気に入るような魂でなけりゃあ鬼面を使う鬼面者になれない。っで俺は人の心を読む「読心」の異能を使う《覚》っていう化物の鬼面者っちゅうわけ。あっ、でも安心してな、俺は全部が全部読めてるわけやないよ、鬼面者である副産物的な?鬼面を着ければもっと読めるけどねー」
「あ、の、化物?何をいってるんですか。そんなものいるわけ、ないじゃないです、か」
どんどん声がか細くなる、本心では分かってる。そうじゃないと私の中にいたなにかの説明がつかない。
「ほーら、本心では分かっとる。・・・せやけど、目を背けたくなるのも分かる。俺も元々そっち側で、星凛ちゃんみたいに小っちゃいころから霊鬼に入られてて、周りからいつも「気持ち悪い」「疫病神」なんて言われとってな?でも、俺の師匠が俺を鬼面者にしてくれたんや」
「葛花さんも?」
葛花さんは笑って言ってくれた。
「おう!なんなら星凛みちゃんたいに飛び降りて死んでまおうと思っていたくらいや。だからな、俺は星凛ちゃんを鬼面者にスカウトしに来たんや。星凛ちゃんには、霊的な才もある、後は星凛ちゃんの鬼面を探すだけ。どうや?死ぬ前に人助け、ちゅうか自分探しなんてしてみぃひん?」
自分探し。きっと今はそうした方がいいんだと思う。ならこの直感を信じてみよう!
「はい。なります、鬼面者。葛花さん、私を鬼面者にして下さい!」
この選択は未来に吉と出るのか凶と出るのか。さてそれは、まだ私にも分からないことです。
「自殺を邪魔した変質者」と言われた竜胆ーー
(えー、そこは「命の恩人です!ありがとうございます!」とかやないの~)
いやー、コメディー要素を盛り込みたかった稜です。
憧れがあったんですよ・・・漫画とか小説でクスって笑うシーンが!!
とまーこんな感じです。あなた様の心に少しでもかすめるものがあれば幸いです。良ければブックマーク等応援よろしくお願いします!