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1.自殺失敗しました。

 バッシャーン!強烈な音を立てて私の入っているトイレの個室に水が頭上から浴びせられました。


 もちろん頭のてっぺんから足先までずぶぬれ。新しく買った服、今日着てこなくて正解だったなー。はぁーーーーー。私、ただ今イジメの真っ最中。なんでこうなったかを話すと長くなるので省略すれば、私転校してきた時に私のクラスにいる超イケメンの兎秋(うとき)凪咲くんが私に話しかけてくれて、一軍女子に目を付けられたのがはじまり。


「あはははっ!ごっめーん、掃除してたら手がすべちゃった!でもいいじゃん、ブサイクが濡れれば少しは世界がきれいになるんじゃなーい?」


「やめなよー、ふふ。ブサイクちゃんかっわいそー」


「生きてる意味あんのーー?おーーーい、返事してよーあははは!」


 あぁ、本当になんなんだ。私は何も悪くない、しーていえば凪咲くんが悪い。どうしようかなぁ、取り合えず保健室行くか、な・の・で。


「ごめんなさい!ごめんなさい!きょ、今日はゆ、許して」


「ふーん、いいわよ。っとでも言うと思ったの?」


 は?


「今日は特別ゲストがいるんでーす!」


 特別ゲスト?誰のこと?


「おいでー」


 誰かがトイレに入ってくる気配がする。


「今日のゲストは、あなたの()親友。初田みゆちゃんでーす」


 みゆちゃん・・・。転校してきた私の唯一の友達、ショートカットで小動物みたいな子。私が一軍女子たちに目をつけられて、私が離れるよう言って、分かれた友達。


「今日はみゆちゃんから言いたいことがあるみたいだよ」


 言いたいこと?何だろう怖い。みゆだけは、何も言わないで・・・!


「ねえ()()()()()()()。君、生きてる意味あんの?」


 ああ、やっぱり聞きたくなかった。みゆはとっても、やさしくしてくれたのに・・・


 私が崩れ落ちると、満足気に去っていった。私は保健室ではなく家路についていた。そんなとき、帰り道の途中に見えた橋に私はふらりと向かっていた。


「ここから落ちれば即死。まず、痛みを感じた瞬間には死んでるような高さ・・・」


 私はふと気が付くと欄干に足をかけていて、慌てて足をおろした。


「まだ、覚悟を決めていないし、やることがあるから」


 私は元の家路についた。その時、私を一人の男が見ていると気が付かずに。


「おかえり。あら!びしょ濡れじゃないの」


 家に帰ればお母さんが迎えてくれた。ちな、お母さんは私がいじめを受けていると知らない。


「ごめんなさい。いやーちょっと橋の上の石を渡っていたらに足を滑らしまして・・・」


「あららー。鞄も少し濡れてるわよ。あっスマホは大丈夫だった?とりあえずお風呂入っちゃいなさい」


「うん、ありがとう。スマホは死守したから!」


 なんだかんだで私のお母さんはすごい、お父さんとは私が4歳の時に離婚してから女手一つで育ててくれた。お母さんはCGクリエイターで主に在宅勤務なのだ。


 お風呂は沸きたてでぽかぽかで温かかった。とりあえず勉強していたらあっという間に夕飯の支度ができたようでお母さんに呼ばれた。


「いただきまーす。おっ今日は牡蠣揚げだーー!」


「そうよ、今日はたまたまボーナスがあったからね。いっぱい食べなさい」


 私はご飯2杯とお味噌汁をお代わりして牡蠣を食べてお腹を満たした。()()()()()みたいだと思いながら。


「ごちそーさま。美味しかったよ、おやすみー」


「はいはーい。おやすみなさーい」


 その夜、私は真夜中に家を抜け出した。あの橋へ向かって。


「はーー。今日は月が綺麗だな。おぼろ月 死に急ぎたる 橋の上なんちゃって」


 ふぅーー、橋に手をかけて飛び降りようとした時だった。身体の内側からとんでも激痛と共に熱がせりあがってくるのを感じた。


「あ゛っ!痛っ」


 や、ばいな、これは、最近来なかったから油断してた。


 私の中には()()()がいるようで、幼少の時から、一人の時に限ってこうなっていた。しばらくすると意識を失いよく病院に運ばれたけど、原因不明でよくストレスという事になっていたのに。


 いつもと違う。圧倒的に強い痛みと熱、そして底知れぬ憎悪。誰の?


「やっぱりか、ちょっと待っといてくれや」


 誰かの声が聞こえる。今の私に近づいちゃいけない。本能がそう告げている。私は激痛に耐えながら橋から飛んだ。


「おい、馬鹿っ。待てっつったやろが」


 誰かに抱き上げられた瞬間、激痛や熱、憎悪から解放された。


「ふぅー間に合った。よかったわ」


 うっすらと月明かりの中に見えたのはピアスをした口が隠れる半面を付けた男の人だった。そこで意識が消えた。


◇◇◇


「あっと、寝たか。大変やったなー、そりゃ()()が小っちゃい頃から入ればなぁ。まーええわ、桜麒星凛(さくらきせいりん)ちゃん。待っとったよ」


 星凛と呼ばれた()を抱きかかえている一人の男の一歩後ろに下がったところにいつの間にか一人の人が立っていた。その人は顔を「滅」と書かれた封で隠していて、もはや男か女かはたまた人であるかも分からなくなっていた。


「碧将様。その方は?」


「ああ、星凛ちゃんは鬼面者になるために生まれた。今世の麒麟やで」


 碧将は薄っすらと笑った。

私が気を失う前・・・

(うわ。とうとう変質者に自殺止められたのか。もうなんか、そう・・・カオスandカオス!誰やーこの人マジで誰ーー!)


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