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六十五話 弟&許嫁vsアーロン

 言いたいことは言えた、つもり……。

 それから、私が帝国で何をしていきたいかってことも。

 だから『言っただけ』にならないように、はじめていかないとね!

 しばらくは、倒れてしまった人たちの看病に忙しく時間を過ごしていた。まあ倒れていた人のほとんどがアーロンの王子様スマイルを目にしてしまった女性たち。あまりアーロンの笑顔に免疫が無かった女性たちは、キャアキャア言うだけに留まらずに気を失ってしまったみたい。何と言うか……大変ね。

 城下町にも一定数の人の看病をするだけの場所(一時的に宿を貸してもらった)があったものだからそこで、倒れてしまった女性たちの意識が取り戻すまで私やラウル。もちろんアーロンやサイモン様たちも手伝いに加わってくれたし、城下町にいたお医者さんたちも総動員して具合を診ていた。ただアーロンの笑顔に意識を失ってしまっただけのようだから特に何か処置が必要だとかってわけではなくて安心した。ちょっと検査とかは意識を失っている間におこなっていたみたいだけれど体そのものは健康そのものだっていう女性ばかりで(健康なのは素晴らしいことね!)何か薬が必要だとか、そういう話にはならなかった。


「……アーロンの王子様スマイルが、ここまでの威力があるだなんて……」


「は?わ、私のせいですか!?」


「そうでしょう?アーロンが笑った時に、女性たちは倒れたのですから」


 何を当たり前なことを。

 アーロンは自覚が無かったのかしら?王子様状態のときのスマイルって初対面だったり、免疫が無い女性からするとかなりの破壊力がある。こう、胸をズキュン!とさせる感じの威力があるのよ。私はだいぶ見慣れてきているものだし、どっちかっていうと俺様アーロン様のときの意地悪っぽい笑みの方が好みだったりしているので王子様スマイルには免疫が付いてしまっている。お城にいる関係者は、そもそもアーロンと過ごしている時間が長いから、笑顔を見ても普通にしているものね。


「つまり、この騒ぎの責任は殿下にあると……」


 ラウルが口元に手を添えながら、まるで推理でもするかのように呟けば、『そうですね』と私は同意しておいた。が、それを不服そうにしているのはアーロン。『なんで私が……』と不満そうにしている横っちょでお城の関係者たちは苦笑いを浮かべていた。


「……う、んー……」


 そうこうしている間に、次々と倒れていた女性たちが目を覚ましたみたい。びっくりさせないようにゆっくりと声を掛けていかないとね。


「気が付かれましたか?」


「あ、れ……私……」


「広場で倒れてしまったんですよ。体が痛いとか、頭がぼんやりとしているとか……気分が優れないとかって感じはありますか?」


「いえ……特には……って、アーロン様!?」


 その女性の言葉に続々と反応したように、他にも気が付いた女性たちは同じ空間内に存在しているアーロンを発見するとキャアキャアと顔を赤らめながら小さく悲鳴を上げていた。アーロンには、ちょっと離れた所から様子を見てもらっていたのだけれどアーロンの存在って大きいのかしら?女性たちは目ざとくアーロンの姿を視界に入れると途端に騒ぎ出してしまった。意識が戻ったばかりでそんなに騒いで大丈夫かしら?


「ま、まさか……アーロン様が私を!?」

「か、かか、介抱とか!?」

「抱っこして運んでいただいたのかしら!?」


 あははー……女性たちの想像力って豊かで面白いなあ。もちろん倒れた女性をそのままにしておくことが出来なかったので、最初はアーロン自ら『私が運びましょう』と言い出してくれたのだけれど、それはそれで騒ぎになるのでは!?と思ったので『アーロンは、ちょっと引っ込んでいてください』と注意をしておいた。なので、女性たちにとっては残念かもしれないが、ここまで運んで来てくれたのは城の他の者たちである。でも、ここまでキャアキャア言っているので、真実を伝えるのはちょっと可哀想かしら?


「……その、ご気分は如何ですか?」


「「「もう、平気です!」」」


 視線はめちゃくちゃ浴びているなか、黙り込んだままでいることに耐えられなかったらしく口を開き、具合を伺うと見事なまでに女性たちはハモった。これまた、面白い図だなあ。


「こほん。……ここは、一時的に借りている城下町の宿です。気が付かれましたら各々帰っていただいて構いませんので」


 女性たちの視線はアーロンに釘付け。なので、ラウルは小さく咳払いをするとともに、女性たちとアーロンとの間に割って入ると、現状を伝えて女性たちの皆さんを見渡した。当然、邪魔をされた女性たちはラウルに対してあまり良い顔はしなかったのだけれど、寝かされていた場所が宿だと聞かされるとあまり長居するわけにはいかないと思ったのか渋々ベッドから立ち上がると周囲にいた城の者たちに軽く会釈をして去って行った。うんうん、足取りもしっかりとしているようだし、これなら問題無さそうね。


「……やれやれ、どうなるかと思いましたよ」


「それ、兄上がそういうこと言っちゃうのぉ~?だいたい原因は兄上だったんでしょぉ~?」


 女性たちがいなくなったことで他の部屋や死角にて待機していたであろうフランがオリーブを抱っこしながらひょっこりと顔を出してきた。あらあらオリーブは、眠いのかしら?時折、大きな口を開けて欠伸をしているようだけれどフランの抱っこが心地良いのかすぴすぴと眠っているみたいね。……なんだか、オリーブって気が付いたらずっと眠っていることが多い気がするのだけれど大丈夫なのかしら。よく寝る子は育つ、なんて言うけれどこれだけ寝ているからドラゴンっていうあの大きな存在になっちゃうってこと?うーん……分からないわね。


「ふ、フラン!?だいたい私はレンに向けて笑いかけただけなのに……」


「だからさぁ~、その兄上の笑顔をちょうど見られる位置にさっきの女の人たちがいたんでしょ~?多くの人がいる前では、ちょっとは抑えた方が良いんじゃない~?」


 ははは……フランの言うことも分かるわね。今回は、城下町で広場だったってことだからすぐに倒れた人を発見することが出来たし、対処も出来たけれど、もし離れた場所だったりして発見が遅くなったりしたら大変だものね。


「そう、ですね。アーロンもご自分のスマイルの威力が分かっていなさそうですから周囲には気を付けてもらった方が良いかもしれません」


 弟、そして許嫁となった私からも注意を受けたことによって『うぐぐ……』とたじたじになってしまったアーロン。なんだか言い負かされているアーロンっていうのも面白いわね。だいたいいつもあれこれ言われてたじたじになってしまうのはこちら側だもの。たまには、良いでしょう。


「……では、倒れた皆さんもそれぞれ帰ったようですので我々も……」


「え、もう帰ってしまうんですか?」


 私が、そう言うと途端に周りからは『はぁ?』とでも言いたそうな視線を向けられてしまった。え、何かまずいことでも言ったかしら?


「……何か、城下町に用でも?」


「だって、あちこちにお店が出ているではありませんか!ちょっとぐらい見てまわるとかは……」


「……その恰好で?」


 そうよ、まさにお祭りっぽくて楽しそうじゃない。でも、改めて自分の恰好を見下ろしてみるとドレス姿だったことを思い出した。……さ、さすがにこのままじゃ……まずいわよね……。


「……はぁー……広場までをぐるりと見て回るぐらいなら構いませんが、あっちこっち……ましてや、その恰好で裏通りになんて行けませんからね?」


 大きな溜め息付きではあったもののアーロンがそう言ってくれるのは、OKを出したようなものよ!


「ただし、一人ではもちろん行かせませんからね。私はもちろんのこと、ラウルやフランたちも一緒ですから」


「!はい、もちろん!」


 ちょっと豪華な同行者たちとなってしまったが、せっかく来たのだからと広場にて開かれているお店も見てまわることになった。先ほど壇上に上がって挨拶をしていた人たちが急にお店を見て歩くという光景に城下町の皆さんたちはぎょっとしていた様子だったけれど、『さっきの挨拶聞いたよ~!頑張って!』と声を掛けてくれる人もいたりして、楽しいお店巡りとなった。

 ……何度も言いますが、モテる男性は大変ですね(汗)そこにいるだけで女性たちの視線を集めてしまうだなんて……えーっと、今まで社交界とかではどのように過ごしていたんでしょうか??(汗)

 ようやくレンが許嫁に!!やっと許嫁になったぞーっ!!!


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