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六十一話 女の魅力を上げる方法

 私たちは、アーロンの許嫁宣言のために城に客を招くのではなく、城下町で、それこそお祭りのように盛り上げるなかで行っていくらしい。

 城下町であれば、貴族だの市民だの関係無く、気軽にお披露目することができると考えたらしいわ。

 別に城下町でアーロンの許嫁として紹介されることは嫌ではない。むしろ市民たちにも慕われているアーロンからすれば貴族の堅苦しいやり取りよりも城下町で親しみ溢れる感じで市民たちも楽しんでくれるんじゃないかしら。私だってお城で堅苦しい挨拶をするよりも、城下町でみんなでワイワイと騒ぎながら過ごす時間の方が楽しそうな気がするもの。


「んー、でも城下町に正装で行くか……それはさすがに迷うな……」


「え。あー……でも、今回は正装でキチッとした方が良いのではありませんか?」


「やはりレンもそう思うか。……ただ、そうすると俺が王子だということが一気に知られるわけだ……」


 えー……アーロンなんてしょちゅう城下町に行っていたのでしょう?だったら今更、王子だってことが分かったって構わないんじゃないかしら?さすがに私は他の者には無い髪色をしていて目立ってしまうという点はあるけれどアーロンが選んだ許嫁という立場を上手く使っていけば、以前城下町で石を投げられたようなことにはならないと思う。あのときは、同行してくれたラウルには申し訳無いことをしてしまったわよね。今、思い出しても私のせいでとんでもない目に遭わせてしまったわ。怪我は幸い、軽症で済んだけれど、別に怪我の有無とかじゃないのよ。市民から『豊穣の女神』伝説って良いイメージが持たれているのかと思っていたけれど、そうは思っていない人たち。むしろ帝国っていう国の中でも貧困で苦しんでいるという人たちがいるということを突きつけられて帝国の在り方っていうのかしら。そういうことをこれからもっともっとしっかりとしていかなくちゃいけないんだわ、って思ったものだわ。


「アーロン。あなたは良い意味で城下町の皆さんから慕われているではありませんか。むしろ、私の存在の方が一部の方からすれば良くは思われていないかもしれません……」


「ラウルと一緒に出掛けたときの事だったか。……帝国も広い国だし、立場もそれぞれ多くの人が住んでいるからどうしても貧困層という立場が生まれてしまう。これはどこの国においても起こる問題の一つだが……それをレンが一人で背負う必要は無いんだからな?これからは俺もいる。それに城には相談出来る味方もたくさんいるから安心してほしい」


「……はい……」


 最近、アーロンの言葉を聞くと、もしかしたら何でも出来ちゃうんじゃないかっていう気持ちにさせられてしまうようになった。不思議とアーロンの言葉に安心してしまうのよね。それってアーロンの言葉の強さっていうよりも、アーロンが持っている王族の血とかも関係しているんじゃないかしら。


「エマの話では城下町で俺たちが市民の前に立って関係を公表するのは数日後になるらしい。それまで、こちらで出来ることはしておかないとな」


「出来ること、ですか?」


「……俺たちの仲を、より深めておくとか?」


「じょ、冗談は止めてください!」


 アーロンがニヤリと意地悪気な笑みを浮かべながら言うものだから思わず身の危険を感じてしまったじゃないの。こういうときのアーロンって言葉でからかってくることが多いのよね。言葉責め、まではいかないのだけれど、私の反応を見て楽しんでいるみたい。


 今はお互いにソファーに向い合せのように座っているのだけれど、いつアーロンが立ち上がって私の近くにやって来るんじゃないかと思うとヒヤヒヤしてしまうわ。こ、こっちにはオリーブだっているのだし、無理強いに何かしてくるってことは無いと思いたいのだけれど……。


「冗談?まさか。夜、一緒に寝るだけで俺が満足しているとでも言うつもりか?」


「……ち、違うんですか?」


「……おい。俺は年頃の男なんだぞ?」


「そんなこと分かっています」


 私は平然と当たり前なことだと応えていくが、アーロンは頭を押さえて『やれやれ』と溜め息を吐いてしまったようだ。ん?私、当然のことだと思ったから言っただけよね。アーロンは違うってこと?


「……年頃の男女が同じベッドで寝て……お前は何も感じないのか?」


「!そ、それは……その……だ、だって最初に何もしないって約束してくれたじゃないですか!」


「あー、したなぁ……そんなこと。でも、俺がその気になればレンのことなんて簡単に抑え込むことは出来るんだぞ?そのまま……」


「わーわー!!その先は言わなくても何となく分かります!分かりますからそれ以上言わないでください!!」


 思わず私は両耳を押さえながら顔に熱が集まるのを感じていた。きっと真っ赤になっているに違いない。だって、アーロンがいろいろと紛らわしいことを言うからいけないのよ!


「ふふっ……そう言えばラウルも言っていたなぁ?レンが俺の子を授かるのもそう遠くは無いと」


「そ、それは!ラウルは誤解をしているだけなんですよ!ただ、一緒に寝ただけなのに!」


「……俺たちぐらいの年頃の男女がベッドを共にして何も無いと……本気で考えているのか?」


「うぅ……っ、それはその……」


「まあ許嫁の間は手を出さないと約束するさ。それを条件に一緒に寝ることを許してくれたんだろう?」


「そ、そうですね……」


 な、なんで私ばっかりいつもこんなにドキドキさせられているのかしら。だいたいアーロンは普通に話しているだけよ!?別に言葉責めをしているってわけでもないのに。もしかして、Mの本性が薄れてきてしまった!?もしくはナチュラルにアーロンは言葉責めをしているってこと!?わ、分からないわ……。アーロンだってもっとドキドキしても良いのに……わ、私の魅力とかが足りないってことなのかしら……うーん……魅力と言われても……その、別に体型とかは貧相とまでは言わないと思うし……一般的だとは思うのだけれど、アーロンはそれ以上のグラマラスボディーの方が好みだったりするのかしら!?あ、エマさん!エマさんに頼めば、もっと体の発育を向上させてくれるような薬を調合してくれたりしないのかしら!?……後日、こっそりと楽しんでみることにしよう。


「おい。また余計なことでも考えているんじゃないだろうな?」


「べっつにー……ただ、もう少し女性としての魅力を上げるためにはどんな方法が良いか考えていたところですよ」


「魅力を上げる?」


「はい」


 アーロンはびっくりした顔をしてから頭を覆ってしまいそうになるほど項垂れては深い深い溜め息を吐いていた。え、だって女性としては女性としての魅力をもっともっと高めたいって思うのは当たり前なことじゃない。そして、もっともっとアーロンをドキドキさせてあげるんだから!


「……レンはアホか」


「んなっ、アホってなんですか!」


「……自分の姿を鏡で見たことはないのか?あるよな、毎日鏡で自分の姿を見ているよな!?」


「もちろんありますよ」


「……くそ、これで無自覚か。末恐ろしいな……」


 ふふっ、もう少しだけ待っていてくださいね、アーロン!私、もっともっとグラマラスなボディーになってアーロンをメロメロにさせてあげますから!グラマラスな私を前にしたアーロンというものを想像してみた……時が止まったようにしばらく動けなくなるんだろうか。それとも時や場所を考えずに私を押し倒してイチャイチャタイムでも始まってしまったりするんだろうか……ふふっ、それとも超俺様になってくれて言葉責めとかしてくれないかしら!?『なんだ、その体は。俺に、そんなにいたぶられたいのか?ふふっ、いけない子だなぁ。俺の言うことに従えば可愛がってやる。もちろんベッドの上で、な』キャァァァァ!!!そんなこと言われたら私もいろいろと抑えが出来そうにないわね!!

 正装王子とドレス姿で城下町に来たらそれはそれは大事になりそう……そして、なんですって?グラマラスなボディーになりたいですと!?……あまり、王子様を刺激させない方が良いのでは……。


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