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五話 破廉恥な王子様、その名は『アーロン』!

 ラインハルト隊長、と呼ばれた人に抱えられながら馬に乗り、それはそれは立派な城の前へ!って、ちょっと待った!!!私は超ドS様に言葉責めをしてもらいたいのだけれど!?


 強引に一緒に城まで乗馬してきたラインハルトの私を見る目、そして声、言葉遣い!それはそれはとーーーっても私の好みにクるモノだった!けれども、もっと何かこう……もっと何か言われたいのよ!!

 馬から降り(もちろん降り方も分からなかった私は当然のごとくラインハルト隊長の手を借りることに)そのときにも『乗馬もまともにできないのか、貴様は……』と呆れられていたが、そのときの声も上から感じる冷たい視線もとっても素敵だった!そうよ、もっとその声で視線で私を罵倒して!!

 でも、ラインハルト隊長は基本的に無言が多い。無駄話はしない人間みたいで私の望むお言葉はそれ以上いただくことができなかった……残念!!!



 そしてあれよあれよと連れてこられたのはデッッッカイ扉の前。

 城だし、きっとお偉いさんがいるのよね……きっと。ってことは、王様!?『王の前で無礼な!頭が高い!!』と罵倒していただけるのかもしれないわ!!うふふっ!!!


 「ラインハルト・ウォルト、任務から帰還した」


 ん?そこは『帰還いたしました』とかって言うんじゃないのかしら?

 え、ちょっと言い方がフランク過ぎない?それともそういうマナーとかがある城だったりするのかしら?



「あぁ、入ってくれ」


 これまた歳若そうな男性のお声がかかると……(若い、だと?)ラインハルト隊長はデカイ扉を開けてなかへ。当然、私も中へ入るように視線だけで促された。(そのゴミを見るような視線も最高なんです!ラインハルト隊長様!!!できることならキツイお言葉もいただきたかったです!!)


 なかへ入ると、帝国の王様……にしては若い男性が!(世代としてはラインハルト隊長と同じぐらいかちょい下ぐらいの金髪が!そういえばラインハルト隊長もちょっと世話を焼いてくれたラウルも金髪だったわね。金髪が多めの国、もしくはそういう設定の世界だったりするのかしら?)


「ご苦労様、ラインハルト。そちらが?預言者殿の言っていた『女神』様?」


 金髪若者はとても優しそうな表情で(私が望むのはキツイ視線とお言葉です!)ラインハルト隊長と私を見てきた。元はデカデカとした椅子に座り、仕事?だろうか、机に大量においてある紙の山と向かい合っていたらしいが椅子から立ちあがるとスタスタと私たちの近くにやってきた。お、この若者も背は一般男子よりも高い!!男子は基本女子よりも背がかなり高い異世界設定らしいわね!!


「……この者が『女神』かどうかは分かりませんが、近くにいたドラゴンは大人しくしていたようです」



 そのー……何度か耳にしている『女神』ってもしかしなくとも私のこと?え、私は焼き討ちに遭った村の娘Aっていう感じじゃないのかしら?もしかしたら秘めた力の一つや二つでも持っているとか!?あ、でも私はドS様に罵倒されたいわね……希望は村人A(特殊な能力は無し)で良いです。

 異世界ならではの設定にちょっと期待を抱くものの(ファンタジー系とかのゲームもしていたし嫌いじゃないわよ?)そもそもこの異世界に来た根本的な理由を思い返せば私個人に何か特別な力とか能力とかは無くても良い!その変わりに超ドS様をたくさんください!!



「へぇ?ドラゴンを。……だったら本物かもしれないな」


 え、マジで?その『女神』とやらの設定有りキャラクターなんでしょうか?残念だなぁ。


 なるべく顔を背けながら小さく息を吐いていると(残念な意味で吐いた溜め息よ?)歳若い男子が私の手をおもむろに取れば男子がその場に片膝を床につくという跪く体勢を取ると(ちょっと王子様みたいかしら?)私の手の甲にわざわざリップ音を立てながらキスをしてきたのだ!


「んなっ!?」

「お初にお目にかかります。私の名は……

「なに、してくれてんのよ、この変態がぁ!!!」


 バチーンッッッ!!!


 広~い部屋に良い音が響き渡った。それは私が歳若い男子の頬を引っ叩いた音で、とてもとても良い音がした。

 しばらく歳若い男子もラインハルト隊長も目を丸く、というか目を点にした状態で固まっていた。が、我に返ったのはラインハルト隊長の方が先だった。


「こ、の……汚らわしい女が!!殿下に何を……」

「……ま、まぁまぁ……これぐらいで怒るなって。それにしても……見事な一発だったよ」


 ヒヤリーーー


 歳若い男子は頬を薄っすらと赤くさせながらラインハルト隊長を宥めると私に向かってそれはそれは腹の底が冷えるほどの冷たい視線と感情がみえない冷たいお言葉を向けてきてくれた。さすがにこれには私も背筋が凍り付くかと思ったが、そうです!これを待っていたんです!

 なんだか物腰も柔らかそうで優しそうな人だったから余計に冷たいお言葉が刺さります!もっと罵倒し、私を言葉でいたぶってくださいませぇ!!!



「取り敢えず、座って話そうか。ラインハルトも掛けてくれ。簡単な任務とは言え疲れただろう?」


 歳若い男子は同じ室内に設置されている豪華なソファーへと促してきた。

 うわ、生地とかモノは分からないけれど……た、高そう……!!絶対良いモノよね、これって。

 恐る恐るソファーの端っこに座るとまた何か言われるかと思ったが歳若い男子は『ニコニコ』と微笑んでいるばかり。基本的には穏やかな人なのかもしれない。……先ほどは叩いて申し訳ありませんでした。が、あなたのしたこともしっかりと思い返していただけると助かります!



「改めて……私は、アーロン・ディラン。この帝国、ディラン皇族の第一王子をしている。お嬢さんのお名前は?」


 お、王子様だった!王様……ではないわよね、確かにこの年齢では。


「あ、レンです」

「レンか。……君のご両親は?」


 あ、そういえばどうしてるのかしら?確か元いた場所が夜盗の焼き討ちに遭って、それで私は見た目が優れているらしかったから殺されずに『奴隷』として捕まっていたらしいから……こちらにいたはずの私の両親たちはおそらく……。


「生きては、いないと思います」

「そうか。すまないね、ツラいことを聞いてしまったようだ」


 いえいえ、全然!会ったことも聞いたこともない両親という存在には特に思うところもありませんからね!それに思うところがあるといえば同じく捕まっていた人たちの安否ぐらい……そういった話は王子様には伝わっているのかしら?


「君は、帝国……いや、この世界に伝わるという『豊穣の女神』伝説というものは聞いたことはあるかい?」

「いいえ、まったく……」


 私がゆるく首を左右に振ると苦笑いまじりに『じゃあ、簡単に説明しようか』とどこから話すのが良いかなぁと考えている素振りをしつつ、一回うん、と頷くとその端正な口を開いていった。

 異世界モノは何かと情報が多いのでなるべくさらさらと読めるように(見返したときに自分も確認がしやすいように)短めな話もあります。それでも中身がいろいろ詰まっていると予想されるのでゆっくりと読んで楽しんでいただけると幸いです!


 物語、内容、キャラクターに興味がわいていたという方『ブックマーク』『☆☆☆☆☆』を押していただけると幸いです。ちょっと変わったタイトルの作品になりますが異世界モノの一つとして愛していただけたら幸いです!

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