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四十三話 王子、襲来!

 今日もゴチになります!


 ギルバートと一緒に民家のおばさんに体に良さそうな食事をいただいて、お城でくつろいでいるときだった……。


 それは、突然やってきて、クレイン国に混乱をもたらせたのだった。

 『豆花茶』っていったかしら。ご飯の後は、このお茶をいただくことも恒例になってきている。紅茶みたいに高そうなティーカップで飲むわけじゃない。元の世界で言うところの湯飲み茶碗みたいなカップでいただくお茶。それでも体がホッとするのは事実よ。

 今日は何があったかとか、変わったことはないかとか。お城ですることがない分、私も城下で国民のみなさんの力になれば、と荒れた土地を農作業に使う器具で整えていったり、畑に顔を出せば虫に気を配りつつ収穫時の作物を捕っては同じ作業をしている人たちと『大量大量!』と一緒になって喜んでいた。

 ほんと、こう考えると大家族の一員になった気分よ。でも、ギルバートは少し違うみたい。二人になれるときには『妃になることを考えてくれたか?』『豪華な椅子は用意できないが妃として隣にいてくれ』とか言いまくってくる。

 そ、そりゃあイケメンから何度も何度も求婚に似た言葉をかけられるのは決して嫌な気分にはならないものよ。むしろ普通の女の子だったらとっくの昔に求婚に応じていたのかもしれない。そしてギルバートのお妃様になって幸せに、しかも国民たちも盛大に祝福してくれてそれはそれは幸せになるのでしょうね。クレイン国は、決して裕福とは言えない国かもしれないけれど、国民たちは幸せに暮らして笑っている。王様とか民、とかって立場は関係無しに良い関係を築いている。これってかなり尊敬できることかもしれない。

 でも、そのなかに私が入っていいかって聞かれると……やっぱりいけないと思うのよね。


「生涯で妃を変える王、だと?……いないだろう、普通」


 いや、念のために。一応、ギルバートに聞いてみたのよ。一度お妃様になった人と生涯過ごしていくとして、途中で運命の人と出会うことがあったとしたら新しいお妃様を迎えたりするの?って。そうしたら当たり前のように応えてくれた。でも、国によっては第一王妃、第二王妃とかって存在がいることもあるらしくて、つまり、それって正室とか側室とかって意味なのよね。少なくともギルバートにはそういう気は無いようで少し安心した。『この浮気者ー!』とかって女性に引っ叩かれる心配が無いってことじゃない。


「でも、もしかしたら私……人間じゃないかもしれないんですよ?魔物の類とかだったりしたらどうするんです?」


「レンが魔物?……っ、く……お前、冗談は止めろ」


 わずかに震えているってことはウけている?いや、冗談とかじゃなくて、だって普通じゃないでしょう。すぐに傷が治っちゃうとか。この世界にはあり得ない髪色をしているとか。魔物と意思疎通だってできちゃうんだから。


「でも、不思議だと思いません?私の体」


「……一度、抱いてみたら分かるかもしれないがな」


「きゃ、却下で!」


 すぐ、そういう話に持っていこうとするんだから!

 でも、私は自分のことを何処かできちんと調べた方が良い気がする。この異常な治癒力だってずっと続けていたら?もしかしたらそのまま存在が消えちゃう?とかになったらどうするのよ。魔物と意思疎通しまくっていていつか人間側じゃなく魔物側に味方しちゃうなんてことになったら……って考えちゃうわけ。もちろん私は人間も魔物も平和に過ごせる世界になれたらいいなぁって考えているわよ。


「だいたいギルバートは……」


 私が文句のような愚痴のようなものを言い続けていこうとしたときだった。

 やけに慌てた様子の国民の一人が城にやってきたのである。


「た、大変です!ギルバート様!」


「!魔物の襲撃か」


 魔物!で、でも、また私が意思疎通を試みて帰ってもらえば良いじゃない!でも、その国民は前に魔物がやってきたときよりも恐ろしい顔をしていた。やけに怯えていない?


「ど、ドラゴンです!それに帝国の第一王子も一緒なのです!」


「なんだと!」


 ドラゴン!それに、第一王子って……アーロン!?


 私はギルバートの静止の言葉なんて聞く余裕も無く城から外へとかけていった。アーロンだけならまだしも、ドラゴンってどういうことよ!まさかアーロンもドラゴンを手懐けたとかいわないわよね!?

 外に出るとクレイン国の民たちは突然のドラゴンの姿に大慌てしている。そりゃあそうだろう。ドラゴンは魔物のトップにいるらしいからそんじょそこらの魔物が襲撃してきたときとはレベルが違うのだろう。で、肝心のドラゴンとアーロンは!?


「動くな!我々は、こちらの国に襲撃に来たわけではない!こちらにいると噂の女性を確認したいだけだ!」


 この声って……ラインハルト?ラインハルトも一緒なの?でも、帝国騎士団の皆さんたちは見当たらない。もしかして、アーロンとラインハルトだけでやってきたのかしら。


「みなさん、どうか落ち着いてください!私は帝国第一王子のアーロンです。こちらに『豊穣の女神』がいるとの噂を聞いて足を運んだだけ。どうか話を聞かせていただきたい!」


 あ。

 アーロン……アーロンだ。でも一番びっくりしたのは馬に乗って来たんじゃない。なんと大きいドラゴンの背から降りてきたではないか。


「あー……っ、んん!?」


 アーロン!と呼びたかった。久しぶりにその名を呼んでみたかった。でも、そんな私の声を閉ざすようにギルバートの大きな手によって口を覆われてしまった。しかも『お前は、しばらく黙ってみていろ』と言われる始末。なぜ。

 ラインハルトもアーロンも目的は私なんでしょう?だったら私が出て行けばすぐに騒ぎは落ち着くじゃない。


「コイツを頼む。しばらくそばに。そこから動かないように捕まえていてくれ」


 近くにいた民たちにそう言うと一人、ラインハルトとアーロン。そして近くには大きなドラゴンが存在している場に歩いて行った。ちょ、どうする気よ。バカなことはしないでよ、ギルバート!


「……これはこれは。帝国のまさか王子様がこんな小国に何の御用で?」


「……こちらに『豊穣の女神』がいるとお聞きしたのでお話をお伺いに来たのですよ」


「あいにく、そのような存在はこの国にはおりませんが」


「……こちらにいる国民を全て集めていただいても良いですか?一人一人見てまわれば『豊穣の女神』かどうかはすぐに分かるのですよ」


「はぁー……だいたい、なぜ帝国の王子がそんなものを探している?」


「おや。未来の私の伴侶を探す以外に理由があるとでも?」


「伴侶?」


「えぇ」


 ぐぬぬ、ここからじゃアーロンとギルバートが何を喋っているか分からないわね。せめて、もう少し……と近付こうとすれば民に『お嬢さん、危ないって!』と制されてしまう。残念。……それにしても、このドラゴンは一体……。あれ、そもそも、アーロンってどうやってドラゴンを呼び寄せたの?城にいながらドラゴンを呼び寄せるアイテムなんて聞いたこともないわよ。城にいたのは……そうよ、城にいたのは……小竜と化していたオリーブがいたじゃない!まさか……この大きなドラゴンってオリーブなの!?


『……ん……レン……あい、たい……さびし、いよ……レン……』


 !!

 聴こえる!これは、ドラゴンの……オリーブの意思だわ!


「オリーブ!オリーブ!!お願い、泣かないで!」


 静かにラインハルトとアーロン、そしてギルバートのやり取りを見守っていたらしいドラゴンが少しだけぴくりと何かに反応したように見えた。すると大きな体以上に大きな翼を広げると大きな突風を起こしはじめてしまった。


「な、なに!?……っ……風が……!」


 オリーブの起こしている突風は以前アーロンが見せてくれた風魔法の何倍もの威力があって、クレイン国中に風を起こしていく。それはそれは強い風で、民家は壊れそうになるし、実りが付いている畑にも大きな脅威になった。

 これは……まずいまずい!早く止めないと!

 やっと来たかよ、王子様!

 でも、雰囲気的に危うい!!!だ、大丈夫なのか!?ドラゴンこのまま暴れちゃうんじゃ……。


 ドキドキハラハラ万丈記!良ければ温かく見守っていただけると嬉しいです。『ブックマーク』や『評価』などもしていただけると幸いです。もちろん全ての読者様には作品を書かせていただくことで愛と感謝をお届けしていきます!!

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