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三十話 黒髪赤目はまるで〇〇のようね。この世界に〇〇はいるのかしら?

 私の銀髪はものの見事に黒髪へと大変身!(変身と言ってもエマさんの用意してくれた一時的に髪色が染まっただけなのだけれど)


 ふふっ、みんな驚くかな!?みんなの驚く顔が楽しみね!

 きっとアーロンもフランもオリーブもアーロンの仕事部屋にいるだろう、と思い足を運んだのはアーロンの仕事部屋の前。

 髪?きちんと乾かしてきたわよ。濡れたままだと風邪を引いちゃうかもしれないものね。お風呂場でちょっとしたドッキリはあったけれど、お互いにいろいろと見えていなかったと思うし!少なくとも私は見ていなかったわよ。大丈夫大丈夫。


「お待たせしました!」


 あ、いけない。ノックをするのを忘れていたわ。まあ、大丈夫でしょう。

 ドアを開けて室内にいるアーロン、フラン、オリーブ……そして新たに加わったラインハルトの姿を視界に入れた。

 さきほどお風呂場でラインハルトに会ったばかりだからちょっと気まずいわね。向こうがなんとも思っていなくても私は意識しちゃうのよ!だって、ラインハルトだってきちんとした男性であって、その異性の裸を見ていなかったとしても見られた危険があったというわけで、気まずいじゃない!


「お帰りなさい。あぁ、素敵に染まりましたね。東国の血を引く者たちも同じような黒髪をしていますよ」


 真っ先に褒めてくれるのはアーロン。さすがね。素敵だとか綺麗だとか、そういう言葉で褒め殺してくるような人物なのよ、アーロンって。


「お~、真っ黒だねぇ。オニキスみたいに艶々してるじゃ~ん。綺麗~!」


 宝石のように例えてくるのはフラン。でも、意外とドSな部分が裏にあるのね!さっき確認したわよ。宝石を普段から目にしている機会が多いのかしら。パパッと宝石に例えちゃうあたりフランって侮れないわね。


「……一瞬、誰かと思った……」


 うん。あなたはそう言うのでしょうね、ラインハルト。お風呂場で会っちゃったなんて言えないものね。そんなこと言ったら……『レン?私と混浴するのは嫌がるくせにラインハルトとは良いのですか?……へぇ、じゃあ今度からは無理やり一緒に入るとしましょうかね。嫌?レンの嫌は恥ずかしいって意味でしょう?将来に向けて私の体にも見慣れていてください、ね?』とアーロンの言葉がギスギスと突き刺さることになるだろう。今のはあくまでも私の妄想なのだけれど。それにフランだって……『混浴良いの?だったらレンの体は僕が洗ってあげるよ。隅から隅まで、ね。嫌?ダメだって~。ラインハルトには見られちゃったんでしょ?僕もレンの体、隅々まで見たい……見させて』とかって我が儘ドSとして言ってくるに違いないわ!今のも私の妄想だけれど、きっと彼らはそう言うに決まっているのよ!


「これなら城下町に行っても変な目で見られる心配は減るでしょうね。でも、こうして見ると……やはりレンには銀髪の方がお似合いですよ。黒髪も美しいですが、銀髪はよりレンの美しさを引き立てているように見えますから」


 一応、ありがとうございますとお礼は言っておくけれどアーロンにそのまま言わせ続けているとどんどん変態ちっくな方向に進んでいきそうになってしまうからそこでストップをかけておいたわ。

 オリーブは……なんだか、丸い目をさらに丸くさせていないかしら。私よ、レンよ?もしかして見た目が変わっちゃったから誰か分からなくなっちゃったのかしら。


「オリーブ?私よ。……レンよ?」


「キュウウウウ……」


 う~ん、その『キュウ』って鳴き声はどんな意味があるのかしらね。通訳でもできれば良いのだけれど、まっっっったく分からないわ。大きなドラゴンのときは少しだけだったけれど人語で話すことができたのよね。私の頭の中に直接届いたって感じだったけれど。それでも意思が通じてるって気がして嬉しかったわ。でも、この小さな姿になってからはオリーブからの言葉は届いてこない。ただ『キュウキュウ』鳴くばかりなの。残念ね……。


「う~ん……絶対、とは言えませんが。きっとレンの美しい銀髪が見られなくなってしまってショックを受けているのではないでしょうか?」


 まさか。

 え、でも相変わらず私の顔を見ては『キュウゥゥゥ』と鳴いている。その声はどことなく寂しそうにも聞こえてしまって切なくなるわね。まさか本当に銀髪じゃなくなってしまって寂しいのかしら?


「オリーブ、大丈夫よ!この髪色は流してしまえば落ちて、また銀髪に戻るの」


 必死になってオリーブに訴えかけて果たしてオリーブは納得・理解してくれるか分からなかったけれどそう伝えることしかできなかった。


 夕食時になり、私の姿を初めて目にしたラウルは目をまん丸くして『レンなのですか!?』とびっくりしていた。そう、こういう顔を求めていたのよ。あ、別に私はイジワルだとか人の驚く顔を見て楽しむタイプではないわ。

 席を共にするというサイモンや預言者様も『面白い技術ですね。まるで魔法みたいですが』『ほほ、レン殿の近くにいると退屈しませんなぁ』とサイモンは感心したように、そして預言者様は相変わらず楽しそうに笑っていた。


 食事を運んでくれる給仕たちも私の姿に一瞬『誰?』となっていたがアーロンやフランとともにいることで私のことを認識してくれたみたい。やっぱり見た目が変わることって凄いのね。でも、アーロンだって髪色はガラリと変わっているというのに驚かれるのは私ばかり。まあ銀髪がいきなり真っ黒黒になっちゃったら誰だってビックリしちゃうかしら。


 でも、一言ツッコミたいのだけれど……銀髪のときもちょっと怪しげな雰囲気!って感じがしたわ。でも、黒髪になったらなったで、さらに……怪しくない?だって目の色は変わらずに赤いままなのよ。黒髪で赤い目。吸血鬼っぽくない?この世界にはそういう生き物っているのかしら。『くくっ、今宵はお前の血をいただく』。


 キャッッッ!!

 俺様吸血鬼様も素敵ね!!


 魔物の類はいるらしいけれど、吸血鬼ってそもそも魔物に入るのかしら?こういう異世界っていろいろな人種?生き物とかがいるのが王道じゃない。だから、何の気なしに聞いてみることにしたの。幸いみんな揃っていることだし。


「ここら辺には吸血鬼みたいな魔物って存在しているのですか?」


「吸血鬼?ゴブリンとかの仲間でしょうか」


「あまり聞かない種ですね。どういった種なのかご存じなのですか?」


「特に聞いたことは無いなぁ~」


「危険な魔物なら退治するまでだが」


 つまり、いないみたい。吸血鬼って言葉も知らない感じがするからこの異世界には吸血鬼はいないらしいわね。いたらいたでちょっと困っちゃうかもしれないけれど(夜な夜な血を求めてさ迷ったらさすがに怖いものね)いないなら、安心かしら。


 とにかく!

 せっかく髪が染まったのだし、明日には再び城下町に行ってみようかしら。エマさんに私の髪の染め具合を見てもらうのも良いわね。前回では見てまわれなかったお店もまだまだ多いみたいだし、ゆっくり過ごせるかもしれない。


「あー……だったら、明日は私が同行しますよ」


 とアーロンが名乗り出た。

 え、毎日の仕事は?良いのかしら。


「ふっ……大丈夫ですよ。私には頼りになる部下もいることですしね」


 気のせいかしら、今一瞬ラインハルトの方を見て言った気がしたけれど。まさか雑務をラインハルトに任せるのかしら。


 アーロンもすぐに王子様だとは気づかれないでしょう。町中で大騒ぎにするわけにはいかないものね。よし!明日は城下町へのお出掛け、リベンジよ!!

 黒髪赤目になってしまいました。髪は綺麗に染まったようです。が、主人公的には吸血鬼みたいに見えたようですね。確かに……。でも吸血鬼はこの世界にはいないようです。あら、残念。


 そして城下町へのリベンジを!!今度は何も無いと良いですねぇ!


 ちょっと変わったタイトルの作品ではありますが、見守っていただけると幸いです。良ければ『ブックマーク』や『評価』などもしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様に愛と感謝を!!

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