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二十八話 視線で責める!?イジワルな第二王子様

 フランが貰ってきてくれたらしいレモンパイは絶品だったわ!紅茶とも合うし、最高ね!

 もしかしてフランがたびたび出かけて行っている城下町にケーキ屋さんみたいなお店でもあるのかしら。今度私も城下町に行ったら感想を伝えたりしたいし、買い物もしてみたいわね。


「フラン。こちらのケーキはどこのお店のものなのですか?」

 じぃぃぃぃ


 な、何か変なことを言ってしまったかしら?あまりにもフランが貰ってきてくれたレモンパイが美味しいものだからどこのお店のものかと思ってたずねただけだったのだけれど。無言で、そして暗い灰色がかった瞳を私に向けてくる。無言で。ちょっと……いえ、かなーりいたたまれないわね、この状況。


「ふ、フラン?えっと、どうかしましたか?」


「……べ~つに。そんなに美味しかったの~?」


「はい。ですから今度城下町に行ったときには感想を伝えたくて」


 そう言うとまたじぃぃぃっとフランが無言で見つめてくるの。どうしたものかしら、これ。えーっと……ホントはフランも食べたかったとか?だったらまだ箱の中に残っているはずよね?えっと、ちょっと言葉責めならぬ、視線責めというヤツを食らっている気分になってしまって落ち着かなくなってしまうわ。あ、そもそも視線責めって相手を落ち着かなくさせるとか、そういうものだったわね。って、そんな責めなんて無いわよね!?


「フラン……えっと……何か言ってください。……その、困ってきちゃいました」


「え~?だって、こうやって見てるとさー……レンが可愛く見えてくるんだよね~」


 は?

 フランを見ると真っすぐに私を見る。そしてたちまち言葉を閉ざしてしまう。え、また!?こ、困ったわね。どうしましょう。えーっと……シンと静かな室内に落ち着かなくなる私。視線を下げたり、手元を見てみたり、いろいろと試してみるのだけれどそれでもフランはじっと私を見てくるから、その、そろそろ……。


「む、無理!無理です!そんなに見つめないでください!」


「ふっ……あはは!ごめんごめ~ん」


 両手で熱くなった顔を覆ってギブアップを伝えると途端に噴き出し笑いをしてきたフラン。手を伸ばしてきて私の頭をよしよしと優しく撫でてくれるとおかしく笑っていた笑い方を止めると柔らかい微笑みを浮かべてきた。


「うん。……レンって、やっぱり可愛くてさ~。こう、イジめたくなるっていうか~……加虐心が高まる気がするんだよね~」


「い、イジ……め?」


 フランが?

 え、まさかまさかのフランが!?フランがドSになるの!?

 基本的に『めんどうくさ男』のはずのフランが?『ねぇ、こっち向いて。いいって言うまで僕のこと見てて。あ、今、目反らした。だめだよ。そういういけない子にはお仕置きだね。僕の言うことにはちゃんと従ってよ。従えないの?悪い子。そんな子には体で教えなきゃ分からないかな。ねぇ、どこを責めて欲しい?どこが弱い?レンの弱いところ、めちゃくちゃにシてあげるよ』


 ヒェェェェエエアア!!!!

 あ、あぶな、あぶなっ!!!今、めちゃくちゃ鮮明にドSなフランをイメージしてしまったわ!え、フランってドSだったの!?今まで気が付かなかったわ。


「レン……レン?」


「は、はひっ!!」


「……大丈夫~?今、僕が話しかけても反応無かったみたいだけれど……何かあった?それとも……ふふっ、何か想像しちゃった~?」


 ひあっっっ!!!!

 ドSだわ!この対応の仕方はドSなんだわ!フランだったのね!身近なところにいるドSっていうのは!!!


「ひぇ、ち、ちが……な、んでもない……です」


「嘘つき。僕の……やらしい姿でも想像してたんじゃない~?レンはイやらしいなぁ~」


 違う違う!本当はドSのフランを想像……できてしまったんです!!

 くぅぅぅっっっ、こんな時に、かつて働いていたお店の中だったりしたらあっさりと応えられるというのに、ここは異世界!それに、普通の日常の光景の中なの!!!絶対にSとかMとか言ったって分からないわよっ!!切ない!


 ガチャ


「おや。騒がしいと思えばフランでしたか。賑やかな声が外にまで聞こえてきていましたよ」


 やった、アーロンが戻ったわ!


「おかえりなさ……い」


「え?兄上……だよね?」


 茶髪。現代で言えば、そうね。中学校を卒業した子たちが高校デビューに向けて髪を染めたりしちゃったのだけれど、それがちょっと上手くいかなくてほとんど黒髪。陽の光が当たるとこげ茶色に見えるって感じで失敗しちゃった感じ。

 でもアーロンは元が金髪だったから、今回は上手いこと色が付いたって感じね。ハニーブラウン的な色合いでガラリと変わった姿が戻ってきたわ。


「不思議な液体ですね。自分でもびっくりで魔法にでもかかったのかと思っている気分なのですが……どう、なんでしょう?」


 フランはしばらくぽかんと口を開けていたものの髪染めたの~?どうやったの~?と不思議そうにそして興味深そうにアーロンの髪を眺めていた。


「その色もとてもお似合いだと思いますよ。さきほどまで金髪でしたから違和感があるのかもしれませんね。でも洗えば落ちると聞きましたから不安でしたら流してしまえば良いんですよ」


「え、そんな簡単に落ちちゃうの~?せっかく面白い色になったのに勿体無いねぇ~」


「いえ、これもレンに安全に使っていただくための試し、ですから。特に髪にも頭皮にも異常は無いようですね。レンもこれで安心して使っていただけることでしょう」


 わざわざ自分で試すとか、変わった王子様だこと。違和感はかなりあるようで指先で前髪を触ってみてはう~んと唸っているアーロンに失笑してしまった。


「ところで二人は……アレ、その箱。もしかしてフランが?」


「そうそう、お裾分け~。レンってば美味しい美味しいって食べてくれるんだよね~」


「確かにフランの作るデザートは絶品ですからね」


 おや?

 今、なんと?『フランの作るデザートは絶品』?え、なんですと!?


「これ、貰いものじゃなくてフランが作ったものだったんですか?」


「あ、言うの忘れてた~。ごめんごめ~ん」


「フランは火属性の魔法を扱うと以前お話していましたよね?そして器用なところもあって、焼き菓子全般、デザートも作れますよ。城下町にある店に手伝いに行っているんじゃなかったんですか?」


 お、おお!魔法ってそんな、調理にも使うことができちゃうの?あ、たぶんできないわね。器用さもあって自分の魔法の威力のコントロールとかもできているから可能なんだわ。

 アーロンの話によると雑務という名の仕事は自分でできるからフランは自分の好きなことをすればいいと告げると取り組みはじめたのは調理関係。でも城にはシェフもいるから必要無し。たまたま城下町のケーキ屋にて手伝いをはじめたところフラン独自のケーキの類も生み出されて城下町ではたちまち人気の店の一つになっているとか。


「今日は臨時休業~。店のおじさんが具合悪いんだって~。だから、コレ作ったんだけどお店は開けないから処分するのは勿体ないし、持って帰ってきちゃった~」


 ゴチになります!!

 へぇ~、フランがお菓子作りの名人!第二王子様の新たな一面って感じね。お菓子なんて細かな作業も必要なものだけれどフランはちゃっちゃか無駄な動きも無く作っちゃうのかしら。


「そしたらね~、レンってばイやらしい顔してるんだよ~」


「は?」


「ち、ちが、それは……っ!なんでもないですから!!」


 フランが面白そうに茶化してきたものだからジロリとアーロンからの痛々しい視線に私のなかのドMはゾクゾクしてしまったのだけれど、ほんとに何でもなかったんですよーっ!!!

 アーロンの茶髪は典型的なハニーブラウン。ガラリと色が変わりました!!そしてドS風?フランの登場。といっても主人公の妄想ですが、ね。視線責めってあるのでしょうか?あ、あるのか!!ま、まぁ良いでしょう!!!ははは!


 これからも妄想力豊かな主人公ともども物語を見守っていただけると幸いです。良ければ『ブックマーク』や『評価』などもしていただけますと嬉しいです!もちろんそんなことをしなくても全ての読者様たちに愛と感謝をしています!!

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