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二十二話 驚きの夢。そして忘れてないわよ!あなたの存在!

 ドラゴンは不思議なことに、小竜の姿になった。名前を『オリーブ』と決め、ドラゴンの件はひとまず一件落着したわね。


 さて、アーロンはどんなふうに今の王様と王妃様たちを退かせるつもりなのかしら?まさか時代劇のように暗殺だとか、洋風の公開処刑だとかそんな痛々しい方法にはしないわよね!?

『国民の者たちよ!今までの王と妃はまがい物だったのだ!こちらを見よ!これらは元、国王と王妃の首だ。形だけの王と妃は今はもう無し!今この時より、本当の王と妃がこの国を、世を安泰なものへと変えていく!虐げられていた者たちよ!これからはその苦しみを我と妃もともに受け入れる!国に文句がある者は身分も地位も関係ない、いつでも城をたずねてくるが良い!この世界は一人一人の民があってこそ、それは国も同じことだ!王という立場、妃という立場を気にすることはない。我らはいつでも市民の声に耳を貸そう!!』



 はっっっ!!!


 慌てて目を覚ますとまだ夜明けは通そうみたい。私の横で、同じベッドで寝ているオリーブは寝息なのか寝言なのか分からないけれど『クゥクゥ』って言って眠っている。可愛いわね。

 それにしても変な夢を見てしまったわ。

 大勢の市民たちの前で堂々と言葉を述べていたのはアーロンだった。そして、そのかたわらには頭部だけの存在となってしまっていた国王様と王妃様の姿もあった。正直、あの首は誰が斬ったのかしら……そう考えると少し身震いしてしまう。

 確かに良いことを言っていた気がする。でも、普段のアーロンとはやっぱり言い方?雰囲気のようなものが全然違うようで、夢ならではってヤツかしら?見た目はアーロンなのに全然違う人に見えてしまった。私は?私はあの場にいたのかしら?もしかしたら、いなくなっていたのかしら?アーロンは妃と呼ぶ人物がいたらしいけれど、それは果たして私だったのかしら……。


『父上、いい加減その地位は私にくださいませんか?母上も御下がりください。そこにはレンを座らせます』


 ここ数日の間にいろいろなことがあったわね。

 まず、国王様と王妃様と面会のはずが、私が『豊穣の女神』なのかどうかが疑われてしまって、それを証明するために私は自分の足を短剣で傷つけた。が、それは温かな光によって傷跡すら残らなかった。どうやら癒しの魔法とはちょっと違うらしい。そしてドラゴンがやってきた。私の言葉が届いたのか分からなかったけれど、確かに私にだけ聞こえた言葉があったし、私が言葉をかけることによってドラゴンは大人しく。今やかたわらで小さく姿を変えて眠っている。


 現王制のことは配下の誰もが不満らしい。まず国王様がまったく王様らしくない。王様らしい発言といったものはしていないし、王様って独特のオーラ?従いたくなるっていう感じがまったく感じられないのよね。そして王妃様にいたっては高飛車。とにかく自分が一番よ!オーッホッホッホッ!って感じだ。部下や市民への態度も厳しそうと聞く。よくあの二人からアーロンとフランという王子様二人が生まれたものだ。そこにびっくりよ。

 アーロンは、しっかり者で王子様オーラが強い。私は好みじゃないけれど王子様スマイルを向けられれば配下であろうと市民であろうと心を奪われるかもね。一瞬垣間見えたSっぽい部分はアーロンの一面なのか、それとも私をからかうための作り物だったのか分からない。

 フランは第一印象としては『めんどうくさ男』ね。今も相変わらず城下町に出て行っては何かしているみたい。一応、王子様なのだけれど大丈夫なのかしら?でも、やっぱり王子様。しっかりしている部分はあって、静かに場を判断するのが上手いのかもしれない。

 一応、今のところ兄弟の仲が悪いという話は聞かないから順当に行けばアーロンが跡を継ぐのよね。もしくは、妃を先に得て子を授かった場合はフランが王になることもあるかもしれない。どちらでも立派な王様になってくれるでしょう。


 国のトップはボロボロだが、配下たちにはとても恵まれているわね。全知全能とまで言われている預言者様。博識のサイモン。騎士をまとめる騎士団長のラインハルトは厳しくも部下たちには信頼されている。女騎士で活躍しているラウルも部下からの信頼が篤そうだわ。ラウルは男性陣では少しままならない対応力だったり、私の身の回りのチェックなどもおこなってくれる。騎士にしておくには少々もったいない気もするわね。


 って、これじゃあ朝まで寝付けないじゃないの!

 眠いのだけれど、意識はふわふわしているのだけれど、完全に眠りに落ちるまでにはなかなかいかなくてモヤモヤしてしまう。ベッドに横になったもののうつらうつらするばかり。困ったわね……。羊でも数えてみようかした……と考えていたところだった。


『神威さん……神威蓮さん』


「……あ、私か!!」


 この異世界に来てから私は『レン』として過ごしている。だから、本名で呼ばれてもすぐに反応することができなかったの。これって随分とこちらの世界での暮らしに馴染んできてしまっている証拠なのかしら。


「って、この声は神様!?」


 久しぶりに耳にする神様の声。相変わらずその姿を確認することはできなかった。声だけが頭に響いてくるだけなの。


『随分と楽しい暮らしを送っているようですね。こちらに送った身としては不安でしたが、杞憂でしたね』


「あ、いえ……その、目的の人物とはなかなか出会うことができなくて困っているのですが……なんだかんだ言ってこの世界を楽しんでいるみたいです」


『それは良かった。久しぶりに力が安定したのであなたの様子を伺いに来たのですが……もしも蓮さんがこの世界にいるのが嫌だ!帰りたい!と願うのであれば元の世界に御戻しすることも可能だとお伝えに来たのですよ』


「戻る……元の世界に……」


『はい。私もそう頻繁にあなたに話しかけられる力はありませんから、これは千載一遇の機会になるでしょう。でも、もしまだこちらの世界に未練などがあるならば引き続きこちらでお過ごししていただいて結構ですよ』


 いろいろな出会った人たちの顔が頭に浮かんでは消えていった。なかにはちょっと人としてどうなの?という人もいたけれど、やっぱり出会う人のほとんどが良い人だ。異世界、ファンタジーの世界だと分かってはいてもドラゴンだって可愛い存在だし、一度しか見たことがない魔法も恰好良かった。未練……もしこのまま帰ったりしたら、きっと後悔するかもしれない。なら、答えは決まりかしらね。


「ごめんなさい、神様。私、もう少しこちらで過ごしてみようと思います。こちらで出会った人たちも大切に思えるようになってきちゃいました。なので元の世界に戻るのはもう少し待っていただけると嬉しいです」


『分かりました。今度、いつ話しかけられるか分かりませんが、どうぞご無事で。そしてあなたの生活、異世界に来たからこそのあなただけの物語を楽しんでみてください』


 そう言うと神様からの言葉は聞こえなくなってしまった。力とやらが無くなったのか、私と話すだけの力を失ってしまったのかもしれない。それにしても懐かしい声だったわね。聞いた覚えはないのだけれど、聞きやすい、耳馴染みが良い声だったわ。


 って、あら。そろそろ夜明けね。

 眠れない!って苦労していたけれど神様とお話できて良かったわ。神威蓮として話すことができるのはこの異世界において神様だけだものね。ここではレンだもの。

 さあ、今日もどんな一日がはじまるかしらね!

 夢ドッキリ。そして一話からすっかり存在を忘れられてしまっていた!?神様とのお話でした。神様って誰なんでしょうねぇ?もしくはどんな人なんでしょう??


 王制がどうなるかも気になりますが、ちょこちょこ出てくるキャラクターも謎が多いです。ちょっと変わったタイトルの作品ではありますが、見守っていただけますと幸いです。『ブックマーク』や『評価』もしていただけますと幸いです!そしてもちろん、全ての読者に愛と感謝を!!!

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