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十七話 超俺様アーロン様の降臨と風の魔法

 キャァァァアアアア!!!


 ステキ!!SU・TE・KI!!!


 アーロンって超俺様キャラになるのね!?

 今までなんで隠していたのよ!意地悪っっっ!!って、このままアーロンに『風』の魔法を使われたら……まさかまさか、私、あられもない姿にされてしまうのかしら!?

「そのまま目を開けていろ」


 いつの間にかアーロンの片手は私の腰にまわされているし、普段なら爽やか王子様スマイルを浮かべている顔は、意地悪気に口端を上げて『ニヤリ』と背後に音がしそうな笑い方をしているし!(その笑い方最高ね!!如何にも俺様キャラって感じがするわ!!)

 ど、どうしちゃったのかしら!?


 って、このままアーロンに『風』魔法を使われたら本当にドレスを切り裂かれてしまうのかも!?そ、そうしたら私は、あられもない姿に!?すっぽんぽんにされちゃう!?

 ひぇ……ま、魔法で私のことをイジめるつもり!?

 い、いいじゃない!

 何をされるか分からないけれど言葉責めだけじゃなく、魔法責めをするのね!?お、お手並み拝見といこうじゃないの!!う、ふふっ……(あら、やだ。興奮してついつい口元が緩んできちゃうわ)


「くくっ……余裕だな、女。……風よ……」


 特に呪文らしい呪文を吐くことなく、なんて言うか気合を入れる感じかしら?そんな呟きを洩らすと同時に私とアーロンを中心として周りに風がふわふわそよそよと吹いてきた。最初は、そよ風程度のものだったのだけれど、それが次第に巻き起こっていけば私の長い髪の毛は風によって乱されるがアーロンは冷静に私の様子を眺めているばかり。彼の碧眼の瞳は冷たく感じ(その冷たい眼差し最高よ!!!)、普段の瞳よりも深い深い色合いに感じた。


「う、うわ……わわっ……きゃっ……!」


 風が強まると体のバランスを崩し思わず目の前にいたアーロンの体にしがみついてしまった。すると途端に静まっていく風。ドクドクとうるさい胸の鼓動(主に心拍が上がっているのはアーロンの超俺様降臨モードを見てしまったから)を抑えながらアーロンにしがみついたしまった腕を離すと頭上から『ぷっ』と笑う声が聞こえた。

 あれ?と思って顔を上げて改めてアーロンの顔を見上げると『ふふっ』と可笑しそうに王子様スマイルを浮かべているアーロンが。

 あ、あら?

 超俺様アーロン様は?


 私の着ているドレスも切り裂かれるどころかなんともない。髪の毛が多少乱されているだけだわ。


「今のが『私』の風魔法です。お楽しみいただけましたか?」


 貴族のお嬢様たちならば王子様スマイルを浮かべて髪の毛をとても丁寧に整えてくれる姿を真正面から見たら心を打ちぬかれてしたのかもしれないわね。でも、私の好みじゃないわ!

 ま、まさか……からかわれただけ!?


「あ、アーロン!酷いじゃないですか!」


「え?だってレンが言ったんですよ?魔法が見てみたい、って。だから威力を抑えた魔法を見せてあげただけですよ」


「そ、そりゃあ確かに言いましたけれど……っ、その……」


「おや。もしかしてさっきの私の口調にドキドキしてしまったとか?それは嬉しいですね。レンは素直でしたし、私に抱き着いてきた姿もとても可愛らしかったですよ」


 うっ……だ、だから、こういうところ……っ……


「まさか抱き着いてくるとは思わなかったのですが、こんな可愛いレンを見られたのですからもう少し激しい風を巻き起こしてみれば良かったですね。そうしたらレンはどうしたのでしょうか?止めて、と助けて、と泣き叫んだのでしょうか?」


 超俺様モードが降臨していたアーロンは言葉は少ないながらもそのガツン!とくる圧の強さだけで興奮できるものだった。それなのに、通常モードのアーロンになると言葉数がすっごく多くなっちゃって変態的なセリフも多くなるから聞かされている身としては気恥ずかしくなるじゃないの!!(ドMはこういう言葉責めは嬉しくないのよ!!)さっきの!超俺様モードに戻しなさいよ!!めちゃくちゃ私の好みだったのよ!?


「だーかーらー!そういう変態発言は止めてくださいっ!!」


 バシッ!


 あ。

 今度は止められることなく、今度はアーロンのキラキラ輝いている金髪の頭部を叩くことができたわ。……さっきは、一体どうしたのかしら?


「いだ……っ……はは、レンからの愛は痛いですね。ふふ、これも許嫁候補の特権として有難く受け取っておきますよ」


 めちゃくちゃ力を込めて叩いているわけじゃないけれど頭を押さえて笑っている。まさか、アーロンもMだったりするのかしら!?え、でもさっきまでは超俺様モードで超ドS様っぽかったのに……。


「ですから!候補もなにも許嫁には、なりませんってば!」


「なりますよ。私が決めているのですから。もちろん弟にも渡すつもりはありません」


 こ、の……我が儘王子!!


「わ、私の意思はどうなるのですか?」


「そうですね……確実に、オトしてみせますから。レンが好きになれば良いのでしょう?」


 な、なんって自信だ!ここまで自信満々に自分に好きになるようあれこれ仕込むつもりなのだろうか。それとも自分の魅力そのものに自信を持っているナルシストなのかしら?


「あぁ、そうそう。さすがに身分不明な女性を寝泊りさせておくわけにもいかないので、近々、私の父上と母上に会いにいきますよ。……そんな嫌そうな顔をしなくても大丈夫です。あくまで行く当ての無くなった女性を引き取るという名目で説明させていただきます。それに父上も母上も『豊穣の女神』伝説は知っているでしょうから歓迎してくれるでしょう」


 あ。すみません。

 そんなに嫌そうな顔をしていましたかね?なんだか親に紹介されると、そのまま……リンゴーン、と鐘が鳴る光景を思い浮かべてしまった。もちろん結婚式のときの有名な鐘よ。ま、まあお世話になる身だし、挨拶ぐらいは必要なのかもしれない。でも、アーロンとフランの親御さんなのよね?……一体どちらに似ているのかしら?基本的に金髪しかいない世界(一部、東部からやってきた血を引く者だちは黒髪とのこと)だという話だから今のところイメージできるのは、金髪で王冠とかティアラとかで飾られている国王と王妃というイメージしか浮かばない。


「時間を取らせてすみません」


 これは本音。きっと王様王妃様だって仕事もあるだろうから、と思っていると、


「あー……父上たちはあまり大した仕事はしていませんよ。私がそのほとんどを担っている感じです」


 は?マジ?王子が仕事をしているって噂は本当だったのね!この若さで国に関する、まつりごととかもしちゃっていたりするのかしら。この国のことだもの。多少は気にしちゃうわ。


「仕事とはいっても書類雑務ばかりですよ。どうしても貴族たちとの顔合わせが必要なときには父上自らが出向いていきますが、そもそも貴族が集まったところでまともに政の話が出ると思いますか?ほとんど雑談ですよ、あんなもの」


 えっと、厳しめ?お父様である国王だけではなく、この国を担っている上層部の人たち全員に対してどこかイライラしているような気に食わないような……そんな雰囲気が洩れていた。仲が悪いのかしら?


 そして国王様と王妃様の都合もあるから、ということで数日後に私はアーロンとともに親御さんとの面会をすることとなった。が、この面会で私は今までに体験したこともない危機を迎えることになる。『豊穣の女神』伝説というものは人によって考え方や捉え方というものがだいぶ違うのだと身をもって知ることになるのだった……。

 出たね!で・た・ね!!!

 でも、あっさり引き下がっちゃったわね!?もうちょっと俺様アーロン様と対峙したかったわぁ……と自分でも考えていたりいなかったり。


 ファンタジーあるあるの呪文系要素はこの世界には取り入れないつもりでいます。だって長い呪文を唱えているうちにザクッッ!ってやられたら終わりじゃないですか!!なので、気合で魔法を生み出す感じで。

 ちょっと、いや、かなり変わったタイトルの作品ではありますが、これからも見守ってやるよ~という方ぜひ『ブックマーク』や『評価』をしていただけると嬉しいです。もちろんまだまだ『ブックマーク』には早い!という厳しいご意見の方も感謝感謝!お読みいただいている全ての読者に毎日感謝をしております!!

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