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十二話 私の心は筒抜け!?空気読める系の預言者登場!

「僕の許嫁にならない~?僕なら大歓迎~」


 はぁ!?

 ここの世界の人たちは皆さん話を聞かないのかしら!?

 ザ・王子様からの求婚の次は第二王子様からの求婚!?えー……フランじゃないけれど、めんどうくさい王子様たちだこと。

 その後、ラウルが部屋にすっ飛んできて私の支度を整えてくれると(昨夜はこの恰好のまま寝てしまって申し訳なかったことを述べると『大丈夫ですよ。お疲れだったのでしょう?』と優しい声をかけてくれたわ。王子様たちよりもよっぽど気が利くじゃない)朝食を済ました。

 豪華なメニューが出てくるかな、とおどおどしていたけれど、意外とテーブルに用意されていたものは簡素なものばかり。パンにサラダにちょっとしたスープ。あとはご自由にどうぞ的に果物の類が置かれていた。朝からそうガツガツ胃に詰め込みたくはないと考えていたからこれぐらいがちょうど良いわね。


「あ。そう言えば預言者の彼は今どこに?」


 朝食も終え、食後のティータイム(コーヒーだったり紅茶だったり日によって変わるみたいよ)のような時間を過ごしていると不意にアーロンが口を開いた。

 そう言えばその予言者ってどういう人なのかしら?魔法使いの一種みたいな感じなのかしら?『わははは!ワシの魔法で一撃必殺じゃあ!』っていう感じかしら?


「さぁ……いつも勝手に、どこかへ行ってしまわれますから行先までは……」

「そうか……」


 ラウルが困ったように返答をすると眉を顰めるアーロン。何か聞きたいことでもあったのか、それとも相談したことでもあったのかしら?


「で、お姉さんが女神だっていうのはなんとなく分かったんだけど~……なんで兄上の許嫁になるの~?」

「は?いや、その方が国のためになるじゃないか」

「別に僕の許嫁でも問題ないんじゃない~?」


 ど、どうなんでしょう?

 そもそも伝説として書かれている女神様とやらが国のお偉いさんと結婚しなければならないことは聞かされていなかったような……?もしも、そうなら私はアーロンと結婚しなくても良いってことよね!だったら私は安心して超ドS様を探しに行けるってことじゃないの!


「え~っと……レンは~?僕はどう~?」

「は?え、えーっと……フラン王子も魅力的だとは思いますけれど、私は立派な方と結婚できるような人間ではありませんし……」

「フラン、で良いよ~?立派……?ふ、ふふ……立派だって兄上~?」


 なんだか意味深に、というかアーロンを見て笑っているフラン。え、立派って褒め言葉じゃなかったかしら?貴族様たちの間では当たり前の呼ばれ方だったとかかしら?もしくは失礼だったかしら?


「とにかく!レンを最初に見初めたのは私なんですよ?私に求婚の権利があるのは当然でしょう」


 うわぁー……はじまったわね。

 アーロンの自分勝手な言い分というか、我が儘?王子様の発言が。


「だって僕は知らなかったんだよ~?もし僕が城下で最初に会ってたら僕に権利があったってことぉ~?」


 うん?

 ど、どうなんだろう……。

 でも、フランかぁ……。今のところの印象は『めんどうくさ男』。きっちり朝から正装をびしっと決めているアーロンと比べると(比べたら失礼かもしれないけれど)ちょっとだらしないところがあるかもしれない。あ、シャツの襟も崩れているし……。


「フラン……襟が……」


 ついつい手を伸ばしてフランの襟元を整えてあげると『ありがとう~』と柔らかい笑顔とともに返された。あ、この笑い方は兄弟結構似ているかもしれない。



「ほほほ、なかなかに面白そうなお嬢さんのようじゃな」


 突然、ドアが開いたかと思えばフードを目深に被って杖をついている……ご老人?で良いのかしら?たぶん声の質からして若そうには思えない気がするわね。


「これはこれは、預言者殿。ちょうどお聞きしたいことがあったのですよ」

「ワシも何やら楽しそうなことが待っていると視られたのでな。お邪魔させていただきますぞ」


 ……あー……魔法使いっぽいわ!

 あの杖の先からきっと炎とか風の魔法とかズバァァァ!と出しちゃうんじゃないかしら!


「残念ながらワシはそういった類の魔法は使えませぬぞ?女神殿」


 え。

 も、もしかして……。


「ワシには面白いモノを視える力がありましてな。女神殿の考えていることを伺い知るのは容易い容易い。ほほほ!」


 や、やっぱり心をみられた!?ばっちり!!

 ま、まずいわね……このままじゃ、私が超ドS様を探していることだってこの魔法使いには筒抜けなのではないかしら!?

 面白可笑しそうに預言者様の笑みは更に深まりつつ『おや?』と不思議そうな声をあげてから『ふむふむ』と考え込んだ後にまた『ほほほ』と笑いだした。


「今日は随分と機嫌が良さそうですね?」

「ほほほ、アーロン殿ほどではないですぞ?それに……人それぞれ面白いことを考えていらっしゃるようだ」


 ぎくっっっ

 ま、まずいわね……。心の声ってどうやって閉ざせば良いのかしら?……あ!『無になるとか!?』心を無にするとかって言うじゃない?あ、でもどうやって無にするのかしら?


「ねぇ~ねぇ~、預言者殿はどっちの許嫁になるのが良いと思う~?」


 また、その話になるのね……というか、王子どっちかの許嫁になることが前提なのかしら?


「ほほほ、恋だの愛だのというのは人の数だけ存在するというもの。ワシはどちらでも、ましてやこの場にいない者と女神殿が結ばれても将来的にはそう変わりはしないと思いますぞ?」


 ここにいない人?誰かしら?もしかして、その方が私が求める超ドS様かしら!?


「あ、あの!預言者様!ここにいない方というのは具体的にどういった方になるのでしょうか!?」


 あまりにも私の食いつきが良かったせいか、預言者は笑い声を続けた。よく笑う人なのねぇ。


「ほほほ!女神殿はいろいろな出会いをお求めかね?……城に仕える者、城下にて働いている者、裏の顔を持っている者……ほほほ、取り敢えず今ワシが視えたのはこの程度ではありますな」


 う、嘘だ!

 絶対にきっと名前は〇〇で、こういう仕事をしている人で、っていう感じで預言者には視えたに違いない!それなのにはっきりと教えてくれないなんて……って、あら、この意地悪な感じ……ちょっとドキッとしちゃったわ。

 ま、まさかこの預言者様が運命の超ドS様!?


「ほほほ、両殿下に申し上げる。この女神様はなかなか一筋縄ではいかぬようですぞ、ほほ!」


 両殿下、アーロンもフランもちらりと私が視線を向けると気まずそうにふいっとそっぽを向いてしまった。

 あ、あら?

 急にどうしたのかしら?


「預言者殿……一つ、良いでしょうか?改めて『豊穣の女神』について話を伺いたい。もしかしたら歴史の途中で違いが起こったこともありえるだろうし……預言者殿の全知全能を信頼している身として彼女のことをどうすべきか相談したいのですが」


 全知全能って、それってもはや『神』じゃない!

 すっご!そしてアーロンから随分と信頼されているみたいね。年齢は……被っているフードが深すぎて分からないけれど何歳ぐらいなのかしら?いろいろな知識を持っているってことよね、凄いじゃない!


「ほほほ、ワシは自分の歳なぞとうに忘れてしまいましたぞ」


 ……また、心を読まれてしまったみたいだわ。

 年齢不詳。ザ・魔法使いみたいだわ!


「それからアーロン殿、伝えられている話とワシが知る内容はそれほど違いはございませぬよ。ただ……その女神という存在はいつでも存在していた、とは限らないそうですぞ」


「では、いない歴史ではやはり世は荒れていた、と?」


「そうですな……ふらりと姿をあらわすときもあれば、ふらりとその姿を消してしまう。それが『豊穣の女神』伝説に残されている言葉ですな」


 ふらりふらり、と?

 それって……今回、私がこっちの世界に来たときみたいな状況に似ているのね。私が超ドS様に会ってみたいと願ったから来られたわけで、そう願わなければ来ることすらなかったものね。……え、今までの女神様たちも異世界から来たって感じだったりするのかしら?


 ちょっとこの預言者様の話はもう少し詳しく聞いてみる必要があるみたい!

 なにせ、私の目的が(超ドS様との出会いが)関わっているのだから!!

 いぇーい!噂の預言者登場!!おじいさんなのかそれともおばあさんなのか、もしくは見た目を変えているだけで実は若者なのか!?気になるところですねぇ。さすが魔法使い!でも、炎とか風とかは出せないって……ファンタジーだとどういう位置なんでしょう?僧侶系なのでしょうか??


 ちょっと変わったタイトルものではありますが、自分の大好きな趣味をぶっこんでいる作品になります。ご興味を持っていただけると幸いです!『ブックマーク』や『評価』いつでもお待ちしております!!

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