オーパーツの都市
誰もいない黒い世界で、声が聞こえた。
《第一イベントを突破したことを確認しました。クリア報酬として、『超重要人物とのエンカウント』を実行します。運命操作開始……………完了しました。》
その人はとても綺麗だった。髪は少し腰に届かないくらいの長さで亜麻色、目の色は金、白いシャツの上に青いサロペットスカートを合わせている。また、スタイルも良く私なんか勝てそうにないレベルだった。 そんな彼女に見惚れていると、
「……………………ふふ、見惚れちゃったかしら?かわいいわ〜。」
「ッ!?ち、違いますよ!それより、貴女は誰なんですか?あと助けてくれてありがとうございます。私は『矢心舞』《やごころ まい》です。」
「……………………ふ~ん。私は綿月豊姫、豊姫でいいわ。以後、お見知りおきを………なんてね。」
第一印象はとてもユーモアな人、だろう。私の経験上、「なんてね」と言ってる人はユーモアたっぷりだ。
「あの……………ここはどこなんですか?」
「あら、貴女旅をしてるのかしら?なら私の家に来ない?」
「え?いいんですか!?私は豊姫さんにとって見知らぬ人間ですよ?」
私を客観的に見ればただの不審者だ。普通、知らない人間を家に招くことはしない。何か裏でもあるのだろうか。
「いいのいいの、お疲れでしょう?」
それに、と続けて
「あの熊に勝てなかった時点で私には敵わないわ。」
その時私は確かに感じ取った。私一人余裕で倒せるであろう殺気を………
「だって………………襲ってきても返り討ちだもん♫」
「ヒッ!」
「あらごめんなさい?それに安心していいわよ。」
「……………え?」
「私が貴女の安全を保証するわ。だから安心しなさい?」
「ハ、ハイ………」
「それじゃ行きましょうか。私の家に。」
そう言って彼女は歩き出す。私は見失わないように慌てて追いかけた。
その後、門で玉兎さんと話したり未来からやってきたと言われても信じれる程の大都市に驚いたりしながら進んでいくと、
「舞、着いたわよ。私の家にようこそ、歓迎するわ。」
他の建物より一回り大きい豪邸にたどり着いた。
《第一チェックポイントに到達したことを確認しました。進展するまでしばらくお待ち下さい。》
その声を見たものは、別次元の観測者のみだった。