11. 呆気なく
放課後は毎日ハル兄様と帰るようになったので、お昼休みに殿下の執務室に行って諸々報告することになっている。
あれから男どもにもレティシアたちにも絡まれなくなったものの、誰が見ているかわからないので、図書館に行くふりをして、図書館の地下1階にある隠し通路を使って執務室に行く。
こんな隠し通路まで知ってしまった私は、生涯殿下の支配下に置かれるのだろう。
「やぁ、待ってたよ」
「すみません、授業が長引いて遅れてしまいました」
「さぁおいで、消毒しよう」
そう言って殿下は私を自分の膝に跨らせてキスをする。
結構濃厚なやつである。
プチプチと私のブラウスのボタンを外し、そちらも愛撫していく。
「昨日、息子にどこを触らせた?」
「肌は晒していません。ここに触れているのは殿下だけです」
「そう、良かった」
嫉妬まがいの発言をしてくれるのは、私に好きでもない男と恋仲のふりをさせている良心の呵責なのか、単に私を惚れさせてもっとコントロールしたいのか。
残念ながら、私は殿下にもっと触れてほしいと思ってしまっている。
殿下は私に触れるけど、私の処女をもらおうとはしない。
子種を簡単にばら撒くわけにはいかないのだろう。
私はやはり妾の子供。
王子妃を決める前に愛妾を置くわけにはいかないのはよくわかる。
胸の奥がツキツキと痛む。
ああ、愛しくて、憎い。
息子は案外簡単に金庫にアクセスできたようだ。
「アンジェラの言っているような書類はなかったよ」
本当に残念そうに言う。
純粋な、いいヤツなのだ。
顔が叔父様にそっくりでなければ良かったのに。
こんないいヤツと、絵に描いたような恋愛をして、結婚して、子供を産んで、幸せになれたら良かったのに。
「それとわかるようには書いてないはずです。当時は公爵家の息のかかった秘書がいたんです」
スルスルと嘘が出てくる自分が怖い。
自分は良い人間だと思ったことはなかったけど、こんなに簡単に嘘がつけるのも知らなかった。
「私にも見せてもらえませんか?」
そこからは簡単だった。
心配になるくらい純粋な息子は、私が見ている前で金庫を開けた。
その2週間後、カートライト侯爵は告発され、3ヶ月で当主の座を降りた。




