空からの手紙
夜明けの空の彼方には
雲の生まれる場所があるという
それはどこまでも青く、透明な場所
秋の始まりみたいな
高い空に浮かぶ
薄くなった雲を見ていると
行ってみたい、と思った
朝になる前
未明の時間に起きて
部屋を出る
青い風のなかで
湖の上に、扉が立っていた
水の上を歩いて、近くにいこう
森の風に守られて
白い扉の前に立つ
手をかけて、あとは、押すだけ
扉を開いて、ただ青い空があるのを見た
空に向かって
一歩、踏み出してみる
足もとには、青い、空
その遥か下には
紺碧の海が水を湛えながら
世界をめぐり
緑の大陸が広がり
渡鳥たちの大群が横切っていく
上空は、風が流れて
太陽の光球が、遠くに眩しい
朝だ
朝日が昇っている
大気が輝いていた
新しく生まれた雲が
空に流れていく
流れていく
気がついたら、地上で
朝になっていく空を見上げていた
還っていくために、生まれたんだね。
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