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平凡な俺の非凡な使命

「ステイタスオープン!」


名前:須藤香流

年齢:5歳(+享年38歳)

職業:園児(転職可能:見習い僧侶)

属性:S

身長:112センチ

体重:18.6キロ

習得スキル:なし

所属ギルド:ひまわり幼稚園キリン組


 俺は叫びながら空に向けて掌を翳すと、自分のステイタスを確認しているが、ステイタスが可視化されているわけじゃない。

 あくまで異世界転生ごっこ遊び、雰囲気だけの戯れである。

 しかし客観的に見ると、生まれ変わり以外のステイタスは凡人だと思った。


 幼稚園では神童扱いされているが、もともとの学力が低いので、何もしなければ賢さの優位性は、せいぜい小学生までだし、体力や運動性能は、生まれ持った身体機能に依存する。


 つまり生まれ変わったところで、俺は天才にもなれず、オリンピック選手にもなれないだろう。

 でも先を見越して今から努力すれば、何者かになれるかもしれない。

 転生の目的が愛する人と出会うためなので、勉強にせよ、運動にせよ、全ての努力は、愛する人と出会うために向けられるべきである。


 生まれ変わった目的が『愛する人に出会うため』って言われても、よく考えたら生物の目的は、愛する人に出会って子孫を残すことなんだから、それだって平凡なんだよな。


 元嫁あいつ以外の愛する人と出会うとの付帯事項はあるものの、好きな異性と結ばれることは、誰だって人生の目標としている。

 それは生命の本質であり、俺だけの特別な目的ではない気がした。

 転生者である俺が、平凡な幸せで満足が出来るはずがない。

 だから俺は、【より多くの】愛する人と出会うことを目的に付け加えている。


「俺は二度目の人生で、ハーレムキングを目指すことにした。俺が努力する理由は、そこにある」

 

 具体的には、どうしたら良いのか全く解らないので、とりあえず学力向上のために本を読み、体力向上のために朝夕のランニングを始めた。

 アホより賢い方がモテるし、弱い男より強い男の方がモテるからだ。


「カオルくん、今日も頑張っているわね」

「可憐なおねえさん、ありがとうございます!」

「可憐なおねえさん!? や、やだわ、恥ずかしい。カオルくん、園内では『ユリ先生』と呼びなさいよ」

「わかりました、ユリ先生」


 幼稚園の園庭で周回マラソンしている俺は、声援を送るユリ先生に手を振って応える。

 俺に『可憐なおねえさん』と呼ばれたユリ先生は、頬を赤らめているので、満更でもない様子だった。

 俺は、そんな彼女に手を翳さした。


「ステイタスオープン!」


名前:村上百合子

年齢:31歳

職業:幼稚園教諭

属性:M

身長:162センチ

体重:49キロ(推定)

習得スキル:ピアノ

所属ギルド:ひまわり幼稚園キリン組


 ユリ先生は未婚、彼氏なしではあるものの、5歳児の俺との歳の差を考えれば、ハーレム要員になり得ない。

 しかし腰がしまったスレンダな体型なのに上向いた張りの良い美乳、園児にからかわれて照れる仕草が男好きさせるユリ先生は、俺の好みのタイプなのだ。

 幼稚園の先生を口説こうする園児は、気味が悪いかもしれないが、俺の中身が40代のおっさんであれば、キリン組の女児は恋愛対象にならないので、恋愛対象が先生になるのは必然である。

 むしろ女児を口説こうとする40代のおっさんの方が不気味ではないか。


「それに幼稚園の先生が、初恋の相手は有り得なくもない」

「カオルくん、お疲れさまです」

「うむ」


 走り終えた俺は、ユリ先生に手渡されたタオルで汗を拭うと彼女に戻した。

 突き返されたタオルに顔を埋めるユリ先生の方が、よほど変質者だと思う。

 まあ5歳児の俺には、三十路の女に抑え込まれたら抗う術がないので、からかうのは、ほどほどにしておこう。


「ほどほどに」

「カオルくん、何か言いましたか?」

「いいえ。ユリ先生、僕は何も言ってません」


 二度目の人生を謳歌するには、生まれ変わっても平凡なままでは勿体ない。

 平凡な俺は、ハーレムを作るために努力する。

 ハーレムキングは、生まれ変わった俺の非凡なる使命なのだ。

 もっとも未来の歴史を知りながら、過去で生まれ変わったことが、そもそも知識チートなんだけどね。


(つづく)

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