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不条理なる管理人  作者: 古井雅
第十章 因果律の不協和音
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隠蔽者

 前回から引き続き見ていただいた方、ここから読み始めた方、いつもありがとうございます(*´ω`*)

 実はこのお話は、本来切っている部分から更に細分化させて投稿されています。なので、いろいろな部分で切り方が下手くそで、これからの課題となりますね。今回は特にその切り方が酷いので、完結までになにか考えたいですね(´・ω・`)

 次回の更新は今週金曜日14日20時となります。次回もご覧いただければ幸せです(*´∀`*)


 その話を断ち切るように、アイザックは先に進むことを提案する。


 一方のストラスは、アイザックの話した謎の人物について気になっていたが、それ以上の情報についてアイザックも知らなかったため、一旦その話はおいておき、先に進むことにした。

 とは言っても、この広域な地下道を闇雲に歩き回るのは無謀に近い。それならば、ある程度場所を絞って探す必要がある。検討をつけるのに重要な証拠は「カーティスの写真」のみであるが、これに対して、アイザックは困った一言を呟く。



「で、あのカーティスの写真に写っていた場所について、僕は思い出せない」


 その言葉にストラスは大きくため息を付く。


「広大なマップは覚えていてどうしてそこを覚えてないんだよ」

「得意不得意っていうのがある。でも、いくつか考えがある。まず、換気扇はどうあがいてもつけておかなきゃいけない。だからその音、もしくは空気が比較的マシなところをメインに探していく。んで、もう一つは電源元だ。電気をどうやって引いているのかはわからないけど、発電機まで買って持ってきた可能性は薄そうだから、予めおいてあった発電機を使っている可能性が濃厚だ。消費電力的にも、即席の発電機ではまかないきれないはずだし、放置された大型発電機を使っていると仮定したほうがいい。大型発電機が使われていたのは3箇所。意外に少ないでしょう? もうマップに目印を付けてるから、参照してね」


 アイザックに言われた通り、ストラスはマップに視線を落とすと、かなりの距離離れた場所に3つの目印がつけられていて、最も近い場所は「実験闘技場」という名前がつけられていた。


「はぁ……このおっかない名前の所か?」

「一番近い場所はそこだね。そこ、君が25年前に遊んでたところだよ」

「ごめん全く思い出せない」

「別にいいよ。そこはザイフシェフトが人間にスポアを組み合わせた実験体の実践を行っていた場所だ。場所的にあんまりまともじゃない。ここについては発電機をチェックするだけで問題ないと思うよ」


 それを聞き、ストラスは25年前での出来事を思い出す。

 確かに、ストラスは実験闘技場にて戦闘を行っている。それを思い出し、一つ調べる事があると提案する。


「いや、あの実験場は異常なほどキレイだった。もしかして、何かあったのかもしれない」

 その言葉を聞いてアイザックは露骨に疑問符を浮かべる。


「どういうこと?」

「言葉通り、あの戦場は恐ろしくキレイだった。それこそ、実験体に戦闘させることを前提にしていないみたいに、整然としすぎていた。お前はあそこの管理者的な立ち位置だったんだろう? 何か知らないか?」


 ストラスの疑問にアイザックは更に疑問を浮かべているようだった。

「いや、あの場所を管理していたのはルイーザだ。25年前の首謀者である彼が管理していたはずだけど……そんなに変だったの?」

「とても、あそこで戦闘が行われているようには見えなかったっていうのが本音だな」

「君のその感じって、すごく信頼できる感覚だと思うから聞くんだけど、もっと具体的に、どういう違和感だったの?」


 アイザックの問に対してストラスは一通り考えた後、語りだす。


「普通、ああいう戦闘の実験をするっていう場合、壁に傷とかがつくことが多くて”キレイ”っていう印象を受けることは少ないはずだ。それなのに、あの闘技場は傷一つなくて、闘技場っていうよりは整理された体育館って感じだったな。なんとなく、実験を目的にして作ったていうより、別の目的があってカモフラージュ的な感じに思えたんだよなぁ……」

「カモフラージュねぇ。内部だった僕もあんまりそれについてはわからない。でも、君がそういうくらいだから、もしかしたらなにかあるんだろう」

「随分、俺のことを信頼してくれてるんだな」

「バディだからね。バディには、全力の信頼をおいてるよ。僕は、あんまり人を信頼しないけど、ストラスのことは信頼してるよ」

「それはそれは結構なことだ。俺も、お前のことは信頼している」

「ありがとう。君の戦闘技能だけ信頼してるよ」

「おい」

「嘘だって」


 到底冗談に聞こえない言葉に、露骨に渋い視線を向けたストラスだったが、2人は早速闘技場に向かい始める。


 闘技場は街の中心に位置しており、座標的に見ればほとんどグルベルト孤児院の真下に存在する。距離はほとんど離れておらず、現在地から数分程度で到着するだろう。

 その途中、ストラスは先程のことについて尋ねる。



「なぁ、本当にその謎の少年についてわからないのか?」

「それについて、気になることでもあるの?」

「はっきりとは言えない。だが、25年前の事件も再来事件の系譜があったところを見ると、あの事件に何かしらの影響があると思うんだ。それに、今回もし、ベリアルやセフィティナが関わっているなら……」

「全員、サイライ事件に関わっている、そういうこと?」

 ストラスの言葉を遮るようにつぶやいたアイザックの一言に、大きく首肯する。


「あぁ。そういうことだ。何かしら関係があった可能性を見るほうが自然だと思うんだが」

「うーん、なんとなくその可能性も考えてるんだけど、それならどうして、セフィティナやベリアルは僕らに何も言わなかったんだろう。そこに行き着いて、どうにもうまくいかないんだよね」

「それは俺も思っていた。もし、この事件がサイライ事件と関係があるのなら、どうして俺たちに何も言わずに行動しているんだ?」

「言えない理由があるか、それとも僕らになにかさせたいか、どっちかかなとは思ってる。それでも意味不明さは否めない。今回の事件は、サイライ事件よりも、ザイフシェフトのときとも違う。これは極めて難解だ。何重にも絡む連中が今回のプランに加わっている気がする」

「厄介……もうそんなレベルじゃないな」

「僕はカーティスが見つかれば離脱するから、そこんところよろしく」

「絶対にお前も巻き込んでやるからな。大体、俺だってなんでここにいるのかわかんねーんだけど」

「そういえばなんで?」

「仕事だからだ!」


 ストラスが辟易した声を上げた直後、実験闘技場に到着する。

 大きな鉄の扉の前にたち、アイザックは声を掛ける。


「ここだよ。施錠されている可能性もあるけど」

「普通施錠されてると思うんだけどな」

「ま、壊していただいて……」

「なるほどなぁ?」


 まさかの提案に、ストラスは皮肉っぽく笑いながら扉をゆっくりと押す。

 すると、扉はすんなり開き、埃っぽい空気が一斉に通路へと解き放たれる。


「……開いたな」

「警戒してよ」

「いや、何も感じない。少なくとも部屋の中含め半径数十メートルには誰もいない」

「流石の変態感知能力」

「そういうことじゃないだろ。どうして25年前の施設の扉が施錠されてないんだよ。空気的に誰かが入った形跡もない。なんで、開いてるんだ?」

「そういえばそうだね。とりあえず調べようよ」


到着した2人は、早速闘技場の中に入っていき、すぐに真っ暗な闘技場の中を見回した。

 勿論、暗がりでは何も見ることはできないため、これまたストラスが用意した懐中電灯を用いて、深淵とも言える不気味な世界を照らした。


 中はたしかに整然としていて、丁寧な印象を受けるものの、思っていたほどキレイではなく、大量につけられた傷跡が生々しく床や壁に残っている。


「君が言っていた以上に汚いんだけど。もう君のこと信じられない」

「いいからとっとと調べるぞ。お前は発電機を頼む」

「はいはい」


 悲惨なコントをしつつも、2人は発電機と闘技場に分けて調べることになる。

 まずストラスは、闘技場を確実に調べていくことにした。


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