合流
前回から引き続き見ていただいた方、ここから読み始めた方、いつもありがとうございます(*´ω`*)
今回は急遽加筆した部分であり、かなりやっつけ感のある部分であることをお許しください。次回の更新は今週金曜日10日20時となっております。次回もご覧いただければ幸いです。
・グルベルト孤児院 相談室
アルベルトに喧嘩をふっかけたミラは、ルネから散々呆れと怪訝さを秘めた視線を向けられながらも、相談室に付けば饒舌に話し始める。
「まぁそんな顔をするな。ちょーと派手だったことは認めるけどな!」
「どのへんがちょっとだったのか聞きたいんだけどね。ていうか、ここまで来て憂さ晴らしだったら本当にぶん殴るからな」
「流石に勝算はあるって。俺がなんの考えもなくそんなことしないっていうのはわかるだろう?」
ミラはそう言いながらルネを一瞥すると、ほとんど信用していないという面持ちでルネは呆れを呈する。
「その勝算をさっさとお話してくださいよ」
ルネの言葉に習うように、ケイティはすぐにミラの言った「勝算」について尋ねる。
「ミラ様、ぜひその勝算についてお話しください。ただ、実際のところあそこまで強く出たのは、それなりの理由があると考えて差し支えないのですね?」
「えぇ、話は若干ややこしくなりますが、十分な勝算を持ってとった行動です」
ルネとケイティから怪訝な視線を浴びつつも、ミラは相談室にあったホワイトボードを引っ張ってきてペンを取る。
そして、そこに「第三の組織」「ルイーザ」「魔天コミュニティ」とそれぞれ書き、ゆっくりと話し始める。
「さて、今回の事件をまとめていこう。今回の事件は“25年前の事件を巡る水爆・方舟を巡る事件”であると言える。けれども、それに乗っかって魔天コミュニティでもいくつかの陰謀が乗っかったことからここまで事態が難化したと思われる。だが、恐らくそちらのゴタゴタを更に深く覗くと、第三の組織として活動しているノアやベリアルだろう。奴らがやろうとしていることは、アイザックが考えたものとほとんど変わらないと考えて問題なさそうだ」
「……テンペストの影響で方舟が誤爆する可能性がある、っていうところ?」
「そうだ。それを防ぐために、まずはコミュニティでウロボロスを起動し、テンペストの影響を最低限にした後、なんやかんやして方舟の権限をぶんどるって筋だろう」
「一番大切な部分をふわっとさせるなよ」
ルネのまっとうなツッコミに対して、ミラは大きく首を縦に振りながら「そこがなければ俺はこうはしなかったさ」と続け、ホワイトボードの第三の組織の真下に手段について書き始める。
「実際、今回ここまで第三の組織が回りくどい方式をとったのは、ウロボロスを起動することと何ら矛盾しない。だが、そこから先のことが情報としてほとんど出てきていない。そこから、彼らがやろうとしていることは、魔天コミュニティでもそこそこ名の通っているノアが脅しをかけるというやり方を取ろうとしているんだろう」
「そこまでやって以降ノープランってどうなのかな。確かに考えられなくもないような気もするけどさ」
「ノアくらいのヤツなら、それ事態は比較的無理がないだろうな。んで、ウロボロスの起動を行うために、魔天コミュニティを引っ掻き回して脅しをかけたのなら、順序的には清々しいほど筋が通っているといえるだろうな」
「なるほどね。ウロボロスを起動させるためには徹底的に圧力をかける事ができる。それでノアが圧力をかければ信憑性も爆上げだもんね」
「そういうことだ。んで、俺達はそれに乗っかるってことだ。あの変態野郎ならアドリブで口裏合わせることくらい簡単だろう」
そこから更に話が発展しようとしたとき、ケイティが話に介入する。
「ちょっと待ってください。まず、ウロボロスの起動の下りについて、もう少し説明をお願いします」
「あぁ、申し訳ございません。第三の組織はウロボロスの起動をスパイによりジワジワと追い詰め、最終的にウロボロスを起動せざる負えない状態に追い込むことで、国家側の判断としてアレを起動しようとしている、と思われます。それを進めると、確かにウロボロスの起動はそれでできるかもしれませんが、直接的な解決にはなりません」
「なるほど……ただ、それ全てが憶測であることも前提に進めなければならないのではないでしょうか?」
「勿論です。ですが、我々は第三の組織として活動している連中が仕事仲間であり、家族でもある。いわばプロファイリングに近いところではありますが、我々の目的は一致していますし、コンタクトが取れれば第三の組織と合流してトラブルすべてを解消することもできるでしょう。そこから考えれば、単純に馬鹿な考えであると切り捨てることはしないほうがいい。それに、我々が今回のトラブルに参戦するということは相手にとっても想定外の存在になりえ、第三の組織にとっても良い方向に進むでしょう」
「問題は、どうやって魔天コミュニティに殴り込むかって言う話だよね」
「そこなんだよなぁ問題は……、恐らくは転送装置的な何かはあるんだろうが、それを使うためにはアルベルトを丸め込む必要があるし、1時間で結論を出してくれるかは微妙なところだ」
「ダメっていう結論になればどうするのかね」
「その場合お前の出番だ」
「僕は何もできないけど……ね」
ルネがそう言いながら遠い目を浮かべると、ミラは「まぁ適当に脅せばなんとかなるんじゃないか」と口走りながら、ホワイトボードの内容をもう少し詰めるように、現状わかっていることを細かく書き始める。
この流れを見ていたケイティは、少し疑問を抱くように、ミラに尋ねる。
「……ミラさん、話が変わるのですが、一つ聞いてもいいですか?」
「はい? 何かありましたか?」
「いや……その、その腕の模様は、何なんですか? それに、先程ルネさんのお話は、どこまで本当なんですか?」
「どこまで、というと?」
ミラは素っ頓狂な顔でそうつぶやく。
一方のケイティは、どこまで自分の気持を激白していいのか悩みながらも、思っていたことを話し始める。
「いえ、ルネさんとの邂逅により、人生を滅茶苦茶にされたとか……」
「俺とルネの関係を見てもそう思います?」
「全くもって思えないです。貴方とルネさんには強固な信頼関係があるのはよくわかりますが、その腕の模様とか、エノクδとしての力をコントロールすることができたのは、どうしてですか?」
「あ〜……そのことですか。実際俺もよくわからないんですよね……。でも、エノクδとしてのルネの力がある程度安定させることができたっていう話は本当です。どういう原理なのかはさっぱりですけど」
「その腕は?」
ケイティがその質問を投げたとき、ミラは若干表情を固くし、首を横に振り「これについてもちょっとわからないですね」と笑う。
勿論のことそれが嘘であることがわかるのだが、それ以上の言及をさせない笑顔に、ケイティはそれ以上の言葉をかけることはしなかった。
一方、その時にミラの携帯が鳴り響く。
「はい。アルベルト様、結果を出すことはできましたか?」
「……あぁ、これからもステークホルダーとして、好意的な関わりをしたいと思う」
「であれば、以降のパールマンとの取引はこの私が執り行ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、よろしく頼む」
「そのためには、魔天コミュニティに赴く必要があります。どのような手段がありますか?」
「実は、こちらから魔天コミュニティに行くことはできない。基本的には相手からの行動ばかりだからな」
「…………そうですか、わかりました。早速行動させていただきます」
ミラは相手の言葉を待たずに電話を切り、今度は別の何処かに電話をかけ始める。
これに対して、ルネは何をしようとしたのかすぐに理解し、「それだけはやめてほしいんだけど」と笑い呆れたような素振りで大きく欠伸をした




