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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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道草、終わり

 ゴパルも沢に架かった小さな橋を渡って、石板の階段を上っていく。上からは、早くもロバ隊が降りて来た。中学生くらいの男の子が、十頭のロバの指揮をしている。

 児童労働なので、法に反しているのだが、まだまだ多い。少年の顔立ちも、グルン族のものではなく、色黒で彫りの深いインド系だ。出稼ぎなのだろう。

 ロバの背には、空き瓶と空き缶が袋詰めされ、山積みになって運ばれていた。工場でリサイクルするのだろう。ロバも小型で、身長百七十センチのゴパルが乗るには気が引ける大きさだ。


 ロバ隊に道を譲って、少年に一声かける。やはり、ヒンズー語訛りのネパール語で返事をしてきた。ハァとかヘェとかいう言葉が混じり、ケンカ腰の物言いになる傾向がある。

 少年の話によると、ロバ隊は、ガンドルンで空き瓶の回収をし、夕方までにナヤプルまで着かないといけないらしい。そのため、話もそこそこに別れる事にした。

 ちなみに、その空き瓶は、人が口をつけているので、ヒンズー教としては不浄な物となる。

 空き瓶の量が多い民宿と、少ない民宿の名前を聞いたので、その情報の礼にチップを支払った。不思議そうな顔をしている少年に、真面目な顔でうなずくゴパル。

「人気がある宿に泊まりたいからね。ありがとう、参考になったよ」


 少年と別れて、再び坂道を上り始める。結構、急な階段の斜面なのだが、フウフウ言いながらも一定のペースで上っていく。

 ゴパルは中年太り体型なのだが、野外調査を何度も行っているのか、意外にも体力がありそうだ。十数分かけて坂を上り切ってしまった。

 尾根では、先程の欧米人観光客が、ガイドと一緒に休憩をしていた。彼らに挨拶をして、行く手を眺める。

「やっぱりね……」

 また下り坂と上り坂のセットが待っていた。次のチョムロンへは、まだ少し距離があるようだ。

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