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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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豚チリ

 豚チリの肉は、豚のクズ肉や脂身を一口大に切り、塩を少々加えた湯に通して。アクを抜いたものを使う。この時に、豚の脂も多少抜く事ができる。目安としては、沸騰した湯に豚肉を入れてから、十分間以上、湯通しすると良いだろう。

 さらに手間をかけた場合では、香辛料をいくつか入れて香りをつけた油で、軽く揚げておく。

 油で揚げるのが面倒な場合は、豚肉に塩コショウして、ごく軽く炒めておくと良い。この際に出る豚の脂汁は、臭いので捨てる。

 ただ、グルン族は、脂身が好きな人が多いので、半分くらい脂身が占める場合もある。今回は、クズ肉が六割くらいだ。

 ちなみに、ロース等の良い部位の肉は、この料理には使わない。串に刺して香辛料をつけて炭火で焼いたり、大根と一緒に煮込んだりする。

 豚チリの作り方は、次のようなものだ。もちろん、店によって作り方が異なる。


挿絵(By みてみん)


 フライパンに半切りにした小玉ネギと、半分に縦割りして包丁で軽く潰した青唐辛子、潰したニンニクを入れて炒める。一人分の分量の目安としては、ニンニクを一玉半である。一片では無い。小玉ネギは、片方の手の平で一杯程度の分量である。

 小玉ネギは、薄い紫色の鱗片で、ウズラの卵よりも一回り大きいくらいだ。一口サイズの玉ネギである。小玉ネギはキツネ色にせず、刺激臭が残る火の通りに留めておく。火を通し過ぎると、甘くなるので良くない。

 青唐辛子は、野菜として食べるので、多めに使うと良いだろう。その方が、ダシも出る。これも軽く火を通すだけだ。

 火が通ったら、いったんフライパンから出して、器に移して休ませておく。

 

 フライパンに、半分に縦割りして包丁で軽く潰した青唐辛子を入れ、千切りにしたショウガと、下処理した豚のクズ肉を加えて炒める。

 焼き色が付いたら、半分に切ったミニトマトを加える。旨味成分を増やしたい場合には、ミニトマトの量を増やす。しかし、加えすぎるとミニトマトの甘みが強く出てしまうので、注意が必要だ。赤唐辛子粉をかけても良いだろう。

 なお、豚肉には十分に火を通しておくことだ。間違ってもレアに仕上げないように。

 これに、休ませておいた野菜を加えて絡ませる。

 最後に、塩コショウし、好みの香辛料と岩塩粉を適当にかけて炒め、完成だ。クミン、シナモン、コリアンダー、クローブ辺りがお勧めである。

 しかし、炒めすぎると香辛料の風味が、揮発して飛んでしまう。そのため、皿に盛った後で、ふりかけのように香辛料を追加で振りかけても良い。

 玉ネギと青唐辛子に、火が通り過ぎないように注意する。玉ネギや青唐辛子の刺激臭が、少し残る程度の火の通りが良い。

 一方で、ターメリックを使うと、カレー味になってしまうので推奨できない。ウスターソースのような、市販のソースを使う場合もある。トマトケチャップを使うと、怒り出す人がいるので、注意した方が良いだろう。

 青唐辛子が苦手な人は、代わりに獅子唐を使うと良い。当たり以外は辛くないので、大量に使う事ができる。


 基本的に、焼酎のツマミなので、それほど大量には食べない。炒める時間も短いので、豚肉も固く締まった食感である。脂身も固めだ。皮も使う事が多いのだが、毛を焼いたり抜いたりする処理を、面倒がってしない店が多い。なので、皮を食べる事は、あまり推奨できない。

 ワインのツマミであれば、イタリア産のピノグリージョといった、安い白ワインが適しているだろう。基本的に、安物の赤や白ワインで良い。オーストラリア等の新世界産で、シラー種を使っている安い赤ワインで十分だ。安い発泡ワインとも相性が良い。また、豚チリなので、ビールとも相性が良い。


 同様の青唐辛子炒めは、鶏肉や山羊肉、去勢山羊の肉でも行う。外国人観光客向けに、牛肉もメニューにあるのだが、これは海外からの冷凍肉の輸入なので、品質が悪い。

 なお、肉の種類に応じて、香辛料の種類を変える事が普通である。山羊肉のような風味の強い肉であれば、カバブで使うような香りの強い香辛料を使う。


 この民宿では、豚皮は使っていないので、全部食べる事ができる。

 小玉ネギをシャクシャク食べながら、赤唐辛子粉がしっかり付いている、豚肉の脂身を食べるゴパルだ。青唐辛子は、縦に半分に切られていて、これは野菜として食べる。もちろん辛いが、青ピーマンのような香りがして、ヘタごと食べる。さすがに軸は固いので、食べない方が良いが。

 湯気がかすかに立つ程度の、ぬる燗にされたシコクビエの焼酎のコップ酒を、一口飲む。

 素焼きの壷を使った、薪かまどを使った蒸留方式だったようで、木灰の香りが口の中に広がる。この香りは、周辺に多く生えているネパールハンノキだろう。

 アルコール度数は、日本酒程度だろうか。酒の色が、ほんのり白く濁った透明色なので、水で薄めていないのだろうなあ、と思うゴパル。

 なお、辛党でない方には、大量の冷たい水を推奨する。

 

 ゴパルが、薄っすらと湯気が立つガラスコップを、テーブルにトンと置いて、満足そうに一息ついた。

「山村に行く楽しみの一つが、この酒とツマミですね。玉ネギも固くて良い具合です。豚もあまり臭くありませんね」

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