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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
暑いと夏野菜を植えたくなるよね編
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ナヤプルで待ち合わせ

 ディワシュは既にナヤプルで酒を飲んでいると、小型四駆便の運転手が教えてくれた。ゴパルが運転手に伝言を頼む。

「あんまり飲んだくれていると、体に良くないと伝えてください」

 運転手もグルン族なのだが、素直にうなずいた。

「だよナー。サランコットの民宿街に野菜とか配達しててチャイ、その儲けが結構出てるそうなんだナ。調子に乗って飲兵衛になってるんスよ」

 野菜配達だけではなくて、トラック運送やタクシー業までやってるらしい。そういえば、シイタケのほだ木を運ぶ時にトラックを使っていたなあ……と思い出す。


 ナヤプルに到着していつもの居酒屋に向かうと、ディワシュとサンディプが数名のグルン族のオッサンと一緒に愉快そうに騒いでいるのが見えた。クルリと歩く方向を変えて、足早に立ち去るゴパルだ。

(ヤバイヤバイ。あの中へ入ったら酔い潰れてしまうよ)


 ジョムソン街道に出て、空中テラスが建ち並んでいる茶店街に立ち寄る。そこで一軒の茶店に入ってオヤジに挨拶した。

「朝六時にジョムソン行きの旅行バスが来るんですよ。それまでここで休ませてもらっても構いませんか?」

 快諾する茶店オヤジだ。

「ははは。さてはディワシュどもが酒宴をやってて、逃げてきたな。いいよ、粗末な寝床しかないけど使ってくれや」

 その通りなので感謝するゴパルであった。

 この茶店は、首都からの荷物を預かってもらったりもしている。今はもっぱらラメシュ達が一時倉庫として利用しているそうだ。居酒屋を使っているのは、今はゴパルだけになっているらしい。

(行ったら酒を飲む羽目になるんじゃ、ラメシュ君達は避けるよね。さて、チヤを飲んで何か軽く食べたら仮眠でもとるかな。さすがに歩き過ぎたよ)


 朝五時半にオヤジがゴパルを起こしてくれたので、顔を洗ってから朝食を摂るゴパルだ。茶店なのでチヤとクッキーなのだが、ゆで卵とヒヨコ豆の香辛料煮込みも一緒に出してくれた。ゴパルが一口食べて目を輝かせている。

「おっ。美味しいですね、この豆煮込み」

 オヤジがニコニコしながら他の客にも料理を出していく。店内には結構大勢の人達が居て朝食を摂っていた。

「そうかい? お代わりもあるぞ」


 やがて六時になり、ほぼ時間通りに一台の小型バスが到着した。

 協会長が降りてきて、ゴパルに合掌して挨拶をする。さすがに今回はスーツ姿ではなくて登山服だ。ただ、前回ABCへ来た時のような重装備ではないが。

「おはようございます、ゴパル先生。盗賊団を見かけたそうで、通報ありがとうございました」

 相変わらずの情報網だなあ……と感心するゴパル。

 ちょうどトイレ休憩のようで、バスの車内から続々と身なりの良いネパール人達が降りてきた。そのまま茶店に入ったりしてチヤを注文している。

 カルパナも降りてきて挨拶をゴパルと交わした。

「おはようございます、ゴパル先生。ナヤプルは涼しくて良いですね」

 インドやテライ地域では熱波が発生していて、その影響でポカラでも気温が上がっていると話してくれた。興味深く聞くゴパルだ。

「そうなんですか。熱波発生のニュースは聞いていたのですが、ポカラもですか。山に居ると気がつかないものですね」


 カルパナもトイレに向かったので、バスに乗り込もうとすると協会長が呼び止めた。

「このたびは、ツアーに参加してくれて感謝しています。ゴパル先生の席はカルパナさんの隣にしていますので、ゆっくりしてください」

 そう言って協会長も茶店へ入っていった。両目を閉じて頭をかくゴパルである。

「ここ最近、選択権がない気がするなあ……まあいいけど」


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