キノコも採集
食用のキノコも目ざとく見つけて、採集している。特に、今の時期が旬のチチタケを、重点的に収集しているようだ。
このキノコは、広葉樹の幹に生えるキノコで、裂くと白い乳液が出る。シイタケのような見た目で、色は杏子色である。味の方も、シイタケと似たような風味だが、渋味がある。雨期に生える野生キノコの中では、美味い部類だ。
ただし、似たような形状で有毒のキノコも多いため、採集する際には注意が必要である。
それら採集した物を、ペーハー三・五の乳酸酢酸混合液が入った、小さなプラスチック製の試験管に、個別に突っ込んでいく。
ペーハーというのは、水溶液の酸性やアルカリの程度を示す、化学的指標の一つだ。一から十四まであり、七が中性になる。酸性では一が最も強い値で、六が最も弱い値だ。
KLの一つは、ペーハー値が三・五である。そのため、この溶液に耐える事ができる菌や、細菌である必要がある。
この溶液は飲めるのだが、あまり美味しくはない。喉に絡むような酸味である。
食用だと分かっているキノコや、イラクサの新芽については、さらに厳しい基準の混合液にも突っ込んでいる。こちらはペーハー二・五の強酸である。人工胃液とでも呼べるものだ。
こちらは口に入れた瞬間に、強い酸味を感じる。が、これも美味しくはない。
ともあれ、胃液に耐える菌であれば、生きたまま腸へ届く。整腸剤として、医療用でも使える可能性が出てくるのだ。
これらの条件を耐えた菌や細菌が、今後のKLの構成菌として採用される候補になる。もちろん、その前に毒性試験を何種類か行うのだが。
ちなみに、乳酸菌の多くは糖蜜、黒砂糖、パーム砂糖由来である。牛乳ヨーグルト由来は不適なものが多い。
糸状菌や放線菌などの多くは米ぬか嫌気ボカシを空気に曝したモノと、もろみ、ネパールで酒づくりに使われているマルチャ由来だ。納豆菌や無害な枯草菌については、稲ワラに着く黒いカビ玉が由来となる。
光合成細菌は健全な水田とマングローブ林の泥を採取し、その上澄み液を紫外線殺菌してから確認する。生卵を加えて培養し、液が赤くなれば採取できている。




