キノコ採集大会の後で
それでも三十分後には正気に戻ったラメシュ達三人であった。しかし皆、肩を落として落胆している。
「毒キノコでした……ゴパルさん」
ゴパルもがっかりした表情を浮かべて、ため息をついた。
「私のも毒キノコだった。ははは……」
そして、周囲を見回して顔を青くした。
「あれ……? ここはどこだ?」
ラメシュ達三人が呆れる。
「ちょ……ちょっとゴパルさん。道に迷ったんですか? 何度も通った道なんでしょ」
ゴパルが周囲をキョロキョロしながら頭をかいた。枯れ葉や枯れ枝が髪に付いていたようで、パラパラと地面に落ちていく。
「そ、そうなんだけど。あれ?」
そこへ、唐突にカルナが森の木々の間から姿を現した。彼女はいつもの野良着版のサルワールカミーズ姿に、薄手のジャケットを羽織っている。足元はサンダルだが。
「やっぱりここに居たか。なかなかジヌーに到着しないから、また道に迷ってると思ったけど大当たりね。この山羊ども」
合掌して挨拶をしながら礼を述べるゴパルだ。ついでにカルナとラメシュ達を紹介する。
「助かりました、カルナさん。しかし、よくここに居ると分かりましたね。森の中なので見通しが悪いのに」
カルナがドヤ顔になって鼻で笑った。
「フン。この辺りは庭のようなものなのよ。怪しい足跡を見つけて後を追うなんて簡単だし」
そして細目を少し吊り上げた。
「キノコや山菜泥棒とか、この辺り多いのよ。アンタ達はハズレの毒キノコしか採ってないけど」
平謝りするゴパルとラメシュ達三人だ。それを見てカルナが腰まで真っすぐに伸びている黒髪を、サッと手で払った。ゴパルと違って落ち葉や枯れ枝は付いていない。
「ゴパル先生にはラプシの実やキノコの種菌とかで世話になってるし、研究って事で見逃してあげるわ。さあ、早くジヌーまで行きましょ。ご飯が冷めてしまうわよ」
ジヌーに到着すると、カルナの父のアルジュンが経営する温泉ホテルの食堂へ案内された。そこで食事を摂るゴパルとラメシュ達三人であった。
その後、カルナが面倒を見ているヒラタケ栽培の様子を見て記録し、そのままセヌワへ向かって登っていく。
その後ろ姿を見送ったカルナが、一息ついた。
「やれやれ……もしかするとゴパル先生みたいなのが、さらに三人に増えるって事になるのかな。だったら嫌だな」
ゴパルがラメシュ達三人をカルナに紹介したのだが、本人には覚えるつもりは無かったようである。
さて、ゴパル達はABCに翌日到着したのだが、その次の日にはゴパルが風邪をひいて寝込んでしまったらしい。そんな話を強力隊から聞くカルナであった。
父のアルジュンと一緒にジヌーでチヤ休憩をしながら、呆れ顔を浮かべている。厨房の奥では、カルナの母が叔母達に『ゴパル風邪で倒れるの巻』を楽しそうに宣伝している姿が見える。ゴパル伝承ネタがまた一つ増えたようだ。
ラメシュがゴパルの看病をしているという続報を強力達から聞いて、さらにため息をつくカルナであった。
「まったく……何をしに来たんだが」




