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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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服装

 サリーは、一枚の布を折り畳んで腰に巻き、余った布を肩に回して着る。上着の半袖シャツは、基本的にオーダーメードである。袖の長さは好みで、肘より先まで伸ばしている者も多い。ヒンズー教徒では、既婚女性が着る正装とされている。

 サルワールカミーズは、サラサラした生地で仕立てた、半袖や長袖シャツにズボン、肩には布のストールをかける。シャツは膝丈まであるが、好みである程度は調節できる。シャツには腰までスリットが入っている。未婚女性が着るものだったが、最近は着るのが簡単なので、既婚女性も着るようになっている。女子学生の制服として採用されている事も多い。

 野良着は、民族ごとに大きく異なる。ポカラ近郊ではバフンやチェトリ階級が多いので、サリーの半袖シャツに準じた、前合わせの丈夫なシャツに、巻きスカート、さらに腰布をグルグルと帯のように巻いて、鎌や財布等を挟み込んでいる。頭にも日焼け防止を兼ねて、簡易な頭巾を被る事が多い。

 足元は、どれもサンダルだ。サリーとサルワールカミーズの場合は、脛を見せないので、足の甲までサリーの裾を下げ、くるぶしまで覆うズボンを履く。一方の野良着は、そんな事をすると洗濯が大変になるので、膝下までを覆うだけに留めている。


 男にも伝統衣装があるのだが、老人が着るだけで、イベントや祭祀で着る程度である。多くの男は、洋装のシャツとズボンにサンダルだ。

 ゴパルとしては、もっとじっくりと人々や、建物、作物を観察したかった様子だ。しかし、尾根筋の平坦な道なので、ミニバスが加速して走っていく。おかげで、それぞれを見る時間は、一秒も無い。


 それでも、とある茶店で、見知った男がチヤをすすって寛いでいる姿を確認した。

「ええと……確か、スバシュさんかな。ここでハウス栽培をしているのか」

 これまた一秒ほどしか、視界に留まらなかった。具体的にスバシュ氏が何をしていたのか、表情を含めて、よく分からなかったゴパルである。ただ、茶店の看板に書かれていた地名だけは、何とか読むことができた。

「ナウダンダか。畑の作物や、植木の種類を見ると、首都よりも標高が高いな。千八百メートルのカカニの丘と同じくらいかな」

 イチゴの苗が、低い畝の畑に植えられているのが見えたので、そう思ったのだろう。カカニというのは、首都の郊外北にある地名で、イチゴや大根の産地である。雪は降らないのだが、霜は降りる気候だ。


 前方から南方にかけて、さらに高い山が迫ってきている。北方からも同じくらい高い山が近づいてきていた。これらの山は、標高二千メートル級なのだろう。


挿絵(By みてみん)


 ネパールでは、この程度の高さの山は、丘と呼ばれている事が多い。サランコットの丘が、この辺りでは代表的だ。外国人から見れば、丘では無く、標高が千六百メートル弱ある立派な山なのだが。

「この辺りが、分水嶺かな」

 小さな食堂があり、数台のインド製の小型車が停まっている。避暑をするには、この気温が理想的なのだろう。

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