表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
568/1133

ポカラへの飛行機旅

 さすがに西暦の太陽暦で十一月にもなると、乾期が本格化してきていた。首都からポカラへ飛ぶプロペラ機の窓から、見事なヒマラヤ山脈の白く輝く峰々が見える。

 思わず窓に顔を貼りつけるゴパルであった。今回利用した飛行機は、片側一列の座席だったので眺めが良い。

「おお……よく見えるなあ」

 飛行機が飛ぶ高度は六千メートル程なので、ゴパルの目の高さでヒマラヤ山脈が見えている。

(ええと、まずアレがバクタプールからよく見えるガネシュ連峰でしょ。その西がマナスル連峰か。ゴルカの町はどこかな?)


 ゴルカはネパールを統一建国した王朝の本拠地である。丘の上に町があり、そこの展望台から見るマナスル連峰の雄姿は有名だ。

 マナスル連峰への登山観光もできるのだが、アンナプルナ連峰ほど気楽に行ける環境では無い。民宿の数も少ないので、本格的なキャンプをしながらの登山になる。

 飛行機はトリスリ川の上空を西へ向かって飛んでいるので、下を見ると見事な段々畑が山々に刻まれているのが分かる。マナスル連峰に近づくにつれて畑も小規模になり、ついには放牧地だけになる様子も見えた。

(マナスル連峰の森や畑では、まだ採集旅行をしていないなあ。何か面白い菌やキノコがあると良いな)


 マナスル連峰を過ぎると、すぐにアンナプルナ連峰が見えてきた。実際、両者を分けているのは一本の川だけなので、ほとんど隣り合わせだ。

(お、アンナプルナ連峰だ。雲がかかってないぞ。やった)

 初めて、連峰の全容を一望する事ができたゴパルであった。白と黒で描かれた、巨大な屏風のような山容だ。

 マチャプチャレ峰がアンナプルナ連峰に繋がっている様子も見え、その頂上はまさに魚の尾の形をしている。

 氷雪の下方には、冬枯れした大草原が帯状に広がり、黒緑色をした針葉樹帯との対比が美しい。針葉樹帯の下方に広がる広葉樹林帯では、黄葉や紅葉が最盛期を迎えていた。

 ただ、日本の紅葉ほど色鮮やかでは無いが。その下方には、常緑樹林帯が斜面を覆い尽している。

 段々畑や棚田では、稲や蕎麦、粟の収獲が終わっていた。空き地が目立つ。

(森が広がって、田畑が飲み込まれているなあ。耕作放棄地って、かなりの面積があるんだね)


 そのように感じていると、飛行機が高度を下げ始めた。アンナプルナ連峰が、周辺の山々に次第に隠されていく。

(五分間も見れなかったか……残念。でもまあ、クマリ様に縁のある寺院にお参りして正解だったかな)

 生神クマリが住んでいる地域は、タメル地区の南にある。そのため、バラジュ地区から気楽に行ってお参りができる距離だ。普段クマリ神は館の中に住んでいるので、ゴパルが目にする機会は無い。

 すぐにポカラ盆地に差し掛かり、国際飛行場の上空を旋回しながら着陸態勢に入った。

 ガコン!という音と衝撃と共に、着陸用の脚が下りた。気流も安定しているらしく、それほど大きな揺れは感じない。

(さて、着いたら宿にチェックインして、パメのPDA培地の確認だな)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ