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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
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ヒンクの洞窟

 ヒンクの洞窟の茶店でチヤ休憩をして、オヤジと軽く雑談をした。既にオヤジは、ゴパルが仏塔に詣でた事を知っていたようだ。ニコニコしながら、ゴパルにチソを一本サービスしてくれた。

「今度は仏旗を何枚か奉納すると良いらー。ワシが使ってるポカラの店で買えば、安いぼ」

 ちゃっかり商売してくるオヤジに、にこやかに応対するゴパルであった。チソはオレンジ風味の炭酸飲料水で、色は鮮明なオレンジ色だった。


 それを飲み干して、先程飲んだチヤの代金をオヤジに手渡した。

「そうですね。これから長期間アンナプルナ内院に住む事になりますし、ご厚意に甘えて仏旗を買っておきますよ」

 オヤジが嬉しそうに、懇意の仏具店の場所を教えてくれた。意外な表情になるゴパル。

「へえ。レイクサイドにあるのですか。てっきりチベット寺院の門前通りにあるのかと思いました」

 オヤジが意味深な笑みを浮かべた。

「あそこは本格的な店だぼ。ヒンズー教徒の旦那が行くと、波風が立っちまうらー。レイクサイドなら外国人相手だから、気楽だぼ」


 王政時代では、仏教徒をヒンズー教徒に改宗する政策が活発だった。それに起因する諸々があったので、心配してくれたのだろう。

 ゴパル自身は、家族がヒンズー教徒になっていても、特に何も気にしていないのだが、忠告に素直に従う事にしたようだ。

「そうでしたか。ご配慮感謝します」


 ヒンクの洞窟の茶店を出立すると、急勾配の下り坂が延々と続く山道になった。膝に注意しつつ、足首をひねって捻挫しないように下りていく。腹の脂肪がボヨンボヨンと揺れるのを実感して、少し荒れた眉をひそめるゴパルだ。

「むむむ。こんなに脂肪があったとは。減量しないといけないなあ」

 口にするばかりで、実行していないゴパルであった。

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