ナヤプルへ
実際に、ナウダンダから先は、一気にナヤプルまで下り道になっていた。
下り坂では燃料の節約でエンジンを切るバカ者も居るのだが、カルパナはちゃんとエンジンブレーキをかけながら道を下りていった。
まあ、百二十五CCバイクで比較的軽いので、エンジンブレーキをかけなくても、車輪に付いたブレーキだけで十分に減速できるのだが。
標高が今度はどんどん低くなっていくので、再び耳抜きを何度か行うゴパルであった。
雨期とは違い、道沿いに流れている沢の水量も少なくなっていた。
次第に森の緑の色が濃くなっていき、気温も上がっていく。セミの音が聞こえてきたなあ、と思った辺りで無事にナヤプルに到着した。
カルパナが無線通信機を付けたヘルメットを介してゴパルに知らせた。
「お待たせしました、ゴパル先生。到着です」
ナヤプルからは、ガンドルンへ向かう土道が伸びているので、その道へバイクで下りていく。そして、バスパークの中へ入り、見知った小型四駆便を見つけた。
近くの居酒屋から、ディワシュが飛び出てきて、派手に両手を振った。既に顔が赤く、足元がふらついている。
「ようこそ、いらっしゃーい! カルパナちゃーん! と、ついでにゴパルの旦那ああああ」
がっくりとうなだれるカルパナであった。それでもバイクのバランスが保たれているのは流石だ。
「もう……まだ日中ですよ」
ついで呼ばわりされたゴパルも苦笑している。
「オマケ扱いの私に免じて、許してあげてください」




